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トンニャン最終章#13 フェアリー  リジュ

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「サルガタナスの巻」の次、「リジュの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

ガブリエルは、いきなりアスタロトの鼻の先まで近づいた。と、同時に、弾き飛ばされたようにサルガタナスとマルコシアスは、アスタロトから少し離れた先にいた。
 

「久しぶりね。アルテミス」
アスタロトの顔色が変わった。
「あなたは、本当は太陽神アポロンと双子の妹・月の女神にして処女神アルテミス」
「・・・知っていたのか・・・」
「そうよ、私は強き者ガブリエル。本来戦いの女神アテナ。同じ処女神のアルテミスを知らないはずがない」
 「今は関係ない」
 

 「そうね。アルテミスは恋をした。しかし、兄の太陽神アポロンは、処女神である、あなたの恋を許さなかった。だから・・」
 「だから、アナトと名を替えて、バアル(ベールゼブブ)の妻となった。アスタロト・ベールゼブブと名を替えて、ほかの神になりすました」
 
「でも、ばれた。何故か、パワーズ(能天使)に見つかって、ベールゼブブとともに、魔界に堕とされた」
 「アナトもアルテミスも、とっくに捨てた名前だ」
 「それでも、あなたは、アルテミス。愛する者たちを、助けずにはいられない」
 
 
「アテナか。懐かしい名だな、ガブリエルが、そう呼ばれていたのは、以前のノアの洪水が起きる、ずっと以前のこと」
ウリエルは、自分の言葉にハッと我にかえった。
「いや、今そんな話している場合じゃない」
 
ウリエルが手を合わせると、大きな光に包まれた。見れば、この大嵐の中、ウリエルもガブリエルも濡れてさえいない。
バリアなどなくとも、彼らの光は雨など通しはしない。
 
「アスタロト、ひとりだけなら助けられる。選べ」
「ひとり?何を言ってるんだ!」
「アスタロト、我々四大天使とて、天帝の洪水にあらがう力は無い。せめて、ひとりでも多く助ける手助けができるかもしれない。それだけだ」
 
アスタロトは頭を抱えた。
「無理だ。選べない」
「月の女神アルテミス。あなたも戦いの女神だったはず。ここは戦場よ。戦場と同じ状態よ。何を迷う。迷っている間に、二人とも沈んでしまうわ。ごらんなさい」
ガブリエルの指差す先に、今まさに渦の中央で飲まれようとしているリジュとサーティの姿があった。
 
 
リジュは気を失いかけていた。
誰だろう。手を握られている。
まだ、かすかに見える眼で、自分の指の先を見る。
サーティ様?
 
渦に落ちた時、一緒に落ちてきたサーティが、リジュの手を握っている。
そのサーティも、渦にはあらがえない。ルシファーの娘といえども、この洪水には何の力も無い。
それでも、サーティは、リジュの手をしっかりと握り続けていた。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#13 フェアリー  リジュ

※子供頃に描いたトンニャン過去編、その時からミカエルは軍神マルスとして描かれています。でも、このアテナとアルテミスは、ちょっと強引かも?
ちなみにウリエルをギリシャ神話になぞらえると、光の神⇒火の神⇒鍛冶の神となりへパイトス、つまりウェヌスの夫になってしましまいます。
また、ラファエルは、癒しの神⇒治癒の神⇒プロメテウスとなりますが、プロメテウスは太陽神アポロンの息子なのです。
まだまだ熟考が必要となりますね。今回は却下で。

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https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン最終章#14 リジュへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n3f35cce73d36

前回トンニャン最終章#12 リジュはこちらから
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