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トンニャン#48 大天使ラファエル

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ラファエルの巻」のような意。話の位置は前回の「アポロンの巻」の次。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「それにほとんどの教祖達は自分の像を作って祈るようにとは言ってないんです」
「偶像崇拝ですか?」
「いや、まあ・・・人は弱いものですからね。この地球上の民が、信ずる姿を模したものに祈る事で、少しでも心が豊かになり、穏やかな日々を過ごしてゆけるなら、それも良いのではないかと。何もかも、すべて伝道者達の言った事ではなくても、本来の天帝のお考えが伝われば、それで。民は愚かではありません。それは癒しの天使であり、何度となく人間界に降りたあなたなら、わかってもらえると思いますが」
ラファエルは軽く何度か頷くと、レモングラスティーを入れなおして、またアポロンに勧めた。

「わたしはね、ラファエル。真理はひとつだと思っています。このたった一つの真理への道に、いずれすべての民が気づく時が必ず来ます」
「あなたは、本当に民を愛しているのですね」
「えぇ、そして信じています。それに、この世に偶然はなく、すべてが必然です。いつか善も悪も無い、愛だけで繫がっている世界がやって来ます。それは、すぐそこまで来ている、と思えるのです」
アポロンは、そこまで話すと、やっとティーカップに手を伸ばし、レモングラスを口に含んだ。
「・・・方舟の事は、どう考えておいでですか?」
ふいのラファエルの質問に、アポロンはティーカップを持ったまま、すぐに言葉を発する事が出来なかった。

「かつての方舟も、ソドムとゴモラも、天帝のお考えです。わたしは天帝の決められた事に、意見を言える立場ではありません。ラファエル、あなたはどうお考えですか?」
「わたしは・・・」
ラファエルは少しためらいの色を見せた。
「わたし、いえ、わたし達四大天使は、天帝のお考えに従って天帝のために、自分の出来得る事を、決して労を惜しまず行ってきました。これから先も、同じです」
「・・・ミカエルとルシファーは双子でしたね?」
「え・・・えぇ、ルシファーとミカエルは双子ですが・・・。」
「まだ・・・ルシファーと呼んでいるのですか?」

「いや、その・・・。つまり、先ほど話しましたとおり、わたし達は幼なじみなんですよ。ですから、つい癖で・・。それに、確かにルシファー・・いや、ルシファーとミカエルは双子ですが、ミカエルには二心はありません。その名のとおり、彼は神のごとき者、最も天帝に近い天使です。わたし達四大天使は、この身を天帝に捧げています。それは生まれた時から変わっていません」
「・・・本当にあなた方は仲がいい。まるで自分の事のようにミカエルの話をするのですね」
「いえ、誤解をされると困るので繰り返して言いますが、かばっている訳ではなく、本当の事なのです。ミカエルは、本当に・・」
アポロンは、ラファエルを制止するように手の平を顔の前にかざした。
「わかりました。わたしは、ミカエルを疑って言った訳ではありません。ふと、思い出したものですから」

「実はその、ルシファーの、魔界に関係する話を少し、聞いていただきたいと思いまして」
「魔界、ですか?」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#48 大天使ラファエル

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

※トンニャンが全部読めるマガジンはこちら
https://note.com/mizukiasuka/m/mf04f309d9dfc

次回トンニャン#49 大天使ラファエルへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n8df9310de36a

前回トンニャン#47 大天使ラファエルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n542570cd0624

最初からトンニャン#1は
https://note.com/mizukiasuka/n/n2fc47081fc46

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