見出し画像

トンニャン過去編#38 ルーシー・エイビス(原題「天使チェリー」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。話の位置は「エミリーパスト」次。「ルーシーの巻」のような意です。

「よく天上界から抜け出してきたわね」
「・・・ルーシーが一人になるのがわかっていて、じっとしていられなかったのよ」
「確かに人の寿命も知る事は可能だわ。でも、それがわかっていて、人間界に来るのはどうかしら?世界中にはルーシーのような子がたくさんいるじゃない」
チェリーは反論できずに口をつぐむ。

「このセカンダリースクールでの修行は、いずれケルビム(智天使)となるためでもあるわね。まだ、ケルビムではないけれど、チェリーの上官は、ケルビム指揮官大天使ガブリエル」
「何もかも、お見通しなのね?」
「おそらく修行の身だから、ガブリエルは、法則と秩序を守るパワーズ(能天使)指揮官ラファエルに引き渡す事はないわ。それより、あなたの婚約者のクビドの父、ミカエルに相談する可能性が高い」
 
チェリーはトンニャンが去った後、コーラの身に起こった事を思い出した。
「トンニャン・・・。あなた、ルシファーの友人なの?」
トンニャンは唇を歪めて微笑んだ。
「そうよ。そして、ミカエルも私の友人だわ」
「ミカエル様も?ミカエル様とルシファーは・・・」
「そう、双子、対の天使よ。ルシファーの天使だった時の名は、暁の子ルシファー。誰でも知っている有名な話。性格は・・・相当違うけどね」
 
「これから、どうするつもり?」
「ルーシーを、一人にしておけない。なんとか、本当の両親と会わせてあげたい。それまで、帰れない」
トンニャンはフッと息をついた。
「仕方のない人ね。ミカエルには私から言っておくわ。もう少し、チェリーに時間をくれるようにって」
 
 
 
エレン・ピースは、ひとり自分の部屋で、紅茶を楽しんでいた。このプリンス・オブ・ウェールズは、エレンのお気に入りだ。
 
その時、一陣の風がエレンの前で渦巻いた。エレンは、窓が開いていないはずの部屋で、目を押さえて風の去るのを待った。
風はやがて静かになり、エレンが目を開けると、見知った者が立っていた。
 
「トンニャン!!」
エレンはトンニャンに抱きついた。
「酷いわ!何も言わずに出て行くなんて」
「ごめんなさい。急に用事が出来たの」
「どこに行ってたの?」
「東」
「ヒガシ?」
「そう、日本という国よ。エレンも一度行ってみるといいわ。良い所よ。四季がハッキリしていて、いつ行っても綺麗だわ」
「そう、日本」
エレンは少し首を傾げたが、気を取り直して、トンニャンに微笑みかけた。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#38 ルーシー・エイビス(原題「天使チェリー」)

※トンニャンシリーズ、「魔女裁判長リリス」の次は、書籍「炎の巫女/
阿修羅王」の「阿修羅王(全6話)」の前編3話「力の神インドラ」「猿神ハヌマーン」「シッタルタ」と続きます。もしもnoteに発表すれば、1話が5回、3週分となります。続きを3週分、空けて。そしてその間、トンニャン過去編を続けて発表します。

【「炎の巫女」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

次回トンニャン過去編#39 ルーシー・エイビスへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/nbcdba61755d0

前回トンニャン過去編#37 ルーシー・エイビスこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nf8b34a13e006

トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

もしよろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。いつも最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m(*^_^*)