見出し画像

エンドレスヒール#21 -3.11


3月11日(金)18時近く(震災当日)

圏外の携帯には、もう連絡を取るすべはない。
固定電話に、もう一度チャレンジしたが、やはり通じない。
ここで和美は、やっと公衆電話を使うことを思いついた。
公衆電話は、コンビニにあったはずだった。
車を出し、一番近いコンビニへ行く。
中は真っ暗なのに、人がたくさん並んでいるのがわかる。

また、ここで 和美は出遅れたことを感じた。
皆、すでに食料等の被災グッズを買い求めていたのだ。
しかし、まず電話。夫と両親の安否が第一だ。
まず、夫に電話する。携帯と会社に電話したが、受話器はむなしくプープーとなっているだけだった。

仙台の両親も同じだった。全く家電話に通じなかった。
試しに子供たちの携帯に電話してみたが、すでに通じなくなっていた。
途方に暮れた和美は、もう一度暗いコンビニの店内を見てみた。

こういう時の人というものは、あの行列に不安をあおられるものだ。
乾パンや缶詰等、充分に揃えていると思っていた和美も、不安になった。
なにしろ、電気が消えてからラジオが無いのだから、全く地震の情報が無い。
夫や親にも連絡が取れないのだ。
私は、仙台で一人かもしれない。

息子たちも、妹夫婦も関東にいる。
誰も回りにいなくなったら。
そう思うと、せめて買えるものは手に入れたいと思った。

6時を過ぎて真っ暗になり、店内も真っ暗。レジはロウソクを立てて、電卓で計算していた。

続く
2011年4月7日(木)

エンドレスヒール#21 -3.11


かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

【炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回 エンドレスヒール#22 へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n2cc6a4995625

前回 エンドレスヒール#20 はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nf61952103f8d

エンドレスヒールをまとめて読めるマガジンは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921

もしよろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。いつも最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m(*^_^*)