エンドレスヒール＃20　－3.11

2023年3月12日 16:39

この物語はフィクションです。登場する人物、団体名は架空のものです。
３月３日（木）（震災一週間前）

和美は職場を欠勤中だ。
三日の欠勤の二日目。
今日も病院に点滴に来ている。
ツベルクリン反応。肺結核の結果は明日の１１時以降だ。

昨日、あれから家で調べてみた。
肺結核が、今でも日本の死亡率ベスト１０に入る死病であること。
ツベルクリン反応は、４８時間後に大きさを計る。
５ミリ以下、陰性。
５ミリ～１０ミリ未満が擬陽性。
１０ミリ以上は陽性で、肺結核となる。

二日目の段階で、腫れは無く、小さく感じる。
これも勝手にポジティブに考えているからだけか。
和美は、再びメーリングリストに助けを求めた。
肺結核でありませんように。
なんとか、肺炎で終わりますように。

全国のノアヒールのメンバーが和美にエネルギーを送ってくれている。
有難い。
有難いが、今は、まだ何も考えられない。
そうだ。生きているうちにやっておかなければならないことがあった。

それは、忘れていた成人式の写真。
今年は、三男の成人式だった。
和美は、それが終わるまで、元旦から倒れるわけにはいかなかったのだ。
それもノアヒールのメーリングリストに助けられてなんとか終えた。

その時の、三男の成人式写真を、まだ本人や、和美の両親に送っていなかった。
明日、どんな結果がでるかわからない。
やるべきことを、済ませておこう。
言いたいこと、言えなかったことを伝えておこう。
和美は、写真を送る準備と、それに添える手紙を書き始めた。

続く
２０１１年４月６日（水）