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トンニャン過去編#22 ネッド・グラウンド(原題「天使チェリー」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「あの衝撃的な出会いから、必ずまた会えると信じていたわ」
「そんなアンだから、また来ちゃったのかな?」
トンニャンはアンから身体を離した。
「でもダメよ、アン。私はあなたの友達になれても、恋人にはなれないわ。アンにはネッドが・・・」
「ネッドの事は言わないで」
「アン、彼の気持ちわかってるんでしょ?もう、ずっと前に告白されてるはずよ」

「何でもわかるトンニャンは嫌いよ」
「じゃあ、どうすれば?それだけ見えるアンなら、私の言ってる事、わかるわよね?」
「・・・わかってるわ。でも、この気持ちはどうしようもないじゃない!!」
アンはプイと横を向くと、すねたように走り出した。

 
「隠れてないで、出てきたら?」
アンの後姿を見ながら、トンニャンが後ろの木に話しかける。
おずおずと出てきたのはネッド・グラウンドだ。
「キスシーンあたりから見てたでしょ?」
ネッドは顔を横に向けた。
「アンを探しに来たのね?ネッド、アンはちょっと熱に浮かされてるだけ。自分で言ってたでしょ。女の人が好きなわけじゃないって」

「でも、アンは・・・」
「誰だって若い時は、幻も見れば、熱も出すわ。そのうちアンは、ちゃんと自分の本当の気持ちに気づく」
「なんでトンニャンがそんな事わかるんだよ。それに、その本当の気持ちの相手が、俺かどうかなんて、わからないだろう?!」
「ネッド・・・」
ネッドは、トンニャンが何か話そうとするのを振り切って、アンとは別の方向に走っていった。

 
 
ドン!と人とぶつかって、相手が倒れていくのが見えた。
「ごめん。大丈夫?」
トンニャンと別れて走っていたネッドは、全く前を見ていなかった。
すれ違い様に人とぶつかってしまったのだ。
「えぇ、大丈夫よ」
ネッドが倒れた人の手をとると、彼女は素直にその手につかまって起き上がった。
「ほんとにごめん。怪我しなかった?」

彼女は立ち上がると自分の身体のまわりを見回した。
「なんともないみたい。あなたは、確か同じクラスの?」
「ネッド・グラウンドだよ。きみは、ルーシー・エイビスだよね?」
「そうよ。ネッド、ずいぶんと急いでいたみたいね」
「いや、そういうわけじゃないよ」
ネッドは少しうつむいたが、思い直してまた顔を上げた。
「ルーシー、おわびに何かごちそうさせてくれよ。と、言っても、たいしたものをおごれるわけじゃないけど」
 

 
「チェリー、最近アンたらおかしいの」
「どうしたの?」
トーニが暗い顔をして、うつむき加減で話を続ける。
「ネッドとアンが幼なじみだって教えたよね」
「近所なんでしょ?」
「そう、なんだけど。ネッドは前からアンが好きだったの。
でも、アンにとってはただの幼なじみで、どうも他に好きな人がいるみたいだったのよ」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#22 ネッド・グラウンド(原題「天使チェリー」)

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。
今回は1970年代に描いた、トンニャン過去編「チェリー・エンジェル」の続きです。

トンニャン過去編#23ネッドグラウンドへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n540896068c10


トンニャン#21 ネッドグラウンドこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/naf5544d6111e

#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

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