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トンニャン#5大天使ミカエル(軍神マルス)

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ミカエルの巻」のような意味。話の位置は、アスタロト公爵の#5と#6の間のお話です。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

トンニャンは首を横に振りながら、またため息をついた。
ミカエル、本当にルシファーが戦いを望んでいると思うのか?
魔界の三大実力者ルキフェル・アスタロト・ベールゼブブ
この実力者達がそれぞれ好き勝手に自分の国を作り、お互いをけん制しあいながら、少しでも自分達の領域を広げようとしている。
魔界には決まりなど、あって無いのも同じだ。
その三大実力者が、それでも大きな事を起こさず、均衡を保っているのは何故だと思う?
あわよくば、ルシファーの地位を狙っているやつらが、だぞ」
「それは・・・」

ルシファーの・・・大魔王ルシファーの力が彼らより勝っているからだ。それがわかっているから、三大実力者もおとなしくしている。
魔界にルシファーがいなくなれば、やつらはすぐにでも争いを始めるぞ。
人間も天帝も天使も、いや、同じ悪魔でも関係無しに」

ミカエルの椅子の震えは止まっていた。
ルシファーが三大実力者に執って変わられる事は無いと思うが、それでも何が起こるかわからない。
その為ルシファーは、自分の完全な分身である、リオールを欲したのだ」

ミカエルは額に手をあてて、ひじをついた。
「ずっと、ルシファーには勝てなかった。
天帝の軍を率いた時も、彼が将で、わたしは副将。
それでも、わたしは対の天使であるルシファーが好きだったし、尊敬していた。
その彼が、天帝を裏切った時、わたしの体は、望むと望まざるにかかわらず、ルシファーと剣を交えていた。勝てるはずがなかった。
それなのに、ルシファーはわたしの剣で、地に墜ちていった。」

トンニャンは立ち上がり、ミカエルの頭の上にそっと手をおいた。そして、円を描くようにその髪を撫でた。
「もう苦しむ事はない」
トンニャンの髪を撫でる手の平から、光が発せられ、ミカエルの全身を包み込んだ。

「大天使ミカエル、いってすべき事をせよ。我の思うまま、信じるままの道を行け」
ミカエルを包んだ光は、やがて球体全体に広がり、そしてその光のパワーは、ミカエルの体の中に吸い込まれていった。

ミカエルが顔を上げた時、もうそこには誰もいなかった。彼は球体の中をひととおり見回すと、立ち上がった。

ルシファー、聞こえているのだろう?あの時、おまえが墜ちていった時、あれ以来久しく会うことの無い、わたしの唯一無二の対の天使よ。
次に会うのは、やはり戦場なのか。二度とわたし達は、交わる事はないのだな。わたしだけが、いつまでも思い続けていたのだろうか。

だがルシファー、わたしはもう思い煩うまい。わたしは大天使ミカエル
天帝に次ぐセラフィム。ミカエル以外の何者でもない。
天帝に仕え、善の為に、軍神マルスとしてこの身の全てを捧げよう。
ルシファー、今度こそ本当にお別れだ。
大魔王ルシファーよ、いずれ相まみえん」

ミカエルは自分で作った球体を始末し、異次元の世界から、天上界に向かった。
遠く地の果てで、ルシファーが頷いている、そんな姿が見えるような気がした。
二〇〇六年平成十八年七月三十日(日)二十三時

ありがとうございましたm(__)m

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