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カオル #12

「だからね、それからほとんど家に帰ってないの。

友達のところにプチ家出。

学校もさ、なんか かったるくてさ。」

柚季は ちょっと笑った。

「友達の友達に、

晃二と同じ中学のやつがいてさ、

たまたま 家 教えてもらったの。

でも、遊んでるけど、男とは遊んでないよ。

カオルさんに言ったことは本当のことなんだ。」

柚季の目が また恋する乙女のまなざしに変わった。

「あのさ、きわどいこと、聞いていい?」

晃二は咳払いしながら 横を向いた。

「本当に・・・一回きりで、いいの?」

晃二は言ってから、盗み見るように横目で柚季を見た。

柚季は大きくうなずくと、

「夢だから・・・。

現実になったら、覚めて終わりでもしかたない。」

と はっきりした口調で言った。


久しぶりに来た街は騒がしく、

カオルの心を落ち着かなくさせていた。

やはり、晃二が休みの時に 付き合ってもらえばよかった。

カオルは少し後悔していた。

この頃、ひとりで休みの日を過ごすのがつまらない。

杉原の家に来たばかりの頃は、ひとりでいるとほっとした。

他人との初めての生活は、

心ならずもカオルの負担に なっていた。

杉原も仕事が忙しく、また、なかなかカオルと休みが合わなかった。

それでも杉原に迷惑かけたくない、いや気にいってもらいたくて

カオルは一生懸命 まじめな生活をした。

杉原の息子の晃二とも、

できるかぎり仲良くするよう努力してきた。

だから、たまに杉原と休みが合うと、

カオルは嬉しさをかくしきれなかった。

でも今は・・・いや、杉原に対する気持ちは変わってない。

しかし、晃二の存在がカオルにとって どんどん大きくなって

こんな休みの日は、やはりひとりではなく、晃二と過ごしたい。

晃二と・・・。

晃二はこの間のこと、どう思っているのだろう。

つとめて話題にすることなく、忙しく過ごしてきたが

こうしてひとりでいると ふと気になりだす。

金髪ちゃんの来訪のおかげで、うやむやになってしまい、

あの家にいずらくなることもなく

何の変わりもないふりをして時間だけが過ぎていった。

でも、忘れるはずがない。

あんなこと・・・!

「カオルさん!」

呼び止められて振り返る。

「げっ・・・。」

カオルは絶句した。

そこには、宮野柚季(みやのゆき) 、

あの金髪ちゃんが上気した顔で立っていた。

ありがとうございました( ゚Д゚)

カオル#13へ続く

カオル#12

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かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

カオル #13こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nbdd765a24efd

カオル#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/nb8d33d9d576f

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