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ある独白#20

太陽光を遮断しないと動き続ける彼らは、

電池を抜いておしまい、というわけにはいかなかった。

家族同然に暮らしてきた人々から引き離され、

次々と壊されていった。

いや、殺されていったのかもしれない。

残された家族の中には愛する者を失って希望をなくし、

自殺者が相次いだ。

一人暮らしの老人、妻や夫として二人きりで暮らしてきた者、

わが子として慈しんで育てていた夫婦など、毎日のように

新聞をにぎわした。


竜次は生きていたRP7(アールピーセブン)型ロボットの最初の一人であり

最後の一人として

なぜなら竜次には、「葛城竜次」としての戸籍があった。

きちんと耀子として、耀子が生まれた四年後

燿子の亡き母と葛城博士の実子として入籍してあった。

そして、葛城博士はマスコミに対し、こうコメントした。

竜次は私と妻の子供です

以前新型ロボットとして発表したのは、息子の竜次

似せて作ったロボットでした。

あれは最初の製品のため、欠陥が目立っていて、

他のRP7型ロボットを販売する前に壊してしまいました」

「今、竜次姉の耀子と暮らしてますよ。

竜次は子供の頃 体が弱く、学校にも行かせなかったので

ロボットのリュージと混同されてしまったんですね。

大学に行ったのは本物の竜次ですよ。

あまりに似ていて、ロボットのリュージと間違えた人も

いたみたいだが」

「いや、妻を竜次が生まれた時に亡くしましてね、

私も世間との交流をたち引きこもっていた時期が長かったから。

誤解を受けたかもしれませんね。

とにかく戸籍を調べてもらえればわかります。

葛城竜次は間違いなく耀子の弟ですから」

母が亡くなった時 耀子は四歳だった。

母の死因が弟を生んだ時難産だったからとは

耀子も知らなかった。

その時生まれた男の子を竜次として出生届けを

出していたなんて。

では、ほんものの竜次はどうなったのだろう。

耀子の中にいくつかの疑問が浮かび、

父に問いただしかったが、

マスコミの目があって簡単に電話したり

会ったりはできなかった。

ただひたすら、この粛清がやむのを

待つばかりだった。

ありがとうございましたm(__)m

ある独白#20我が永遠の鉄腕アトムに捧ぐ

(ちょっとロビタっぽいと思ったあなた!
あなたは手塚ファンです!!!)


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かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

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#21へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n585219060534

#1最初からは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nb5ab031cb177


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