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悠里子へ

 お久しぶりです。最後に連絡もらったの、いつだったかな。なんとなく就職決まったみたいな話は聞いた気がするから、15年前くらいかな。(なんか、ちょっとした思い出を数えてみると大体10年以上経ってることが増えてきて、うちらも30代になったんだなと最近よく思います。ゆりこはそんなことない?)

 ゆりこのことを考える時、わたしの頭の中も小学生に戻っちゃうから、どんな言葉遣いで書いていいかよくわかんなくて、ぎこちなくてごめんね。

 この前、久しぶりに島本の家に帰ったんだ。おじいちゃんが死んじゃって、おばあちゃんが施設に入って、親も今は2人とも東京で働いてるから、ずっと空き家になってて。

 親は定期的に風を通しに帰ったり、植木屋さんを呼んだりしてたみたいなんだけど、ここ2年はコロナでなかなか飛行機にも乗りにくくて、ついに家を売ることにしたんだって。それで部屋の片付けをしようと思って帰ったの。

 そしたらさ。小学生用の学習机の、お腹のところの一番大きい引き出しわかる?あの中に、私が幼稚園から高校卒業までの間にもらった手紙がぱんぱんに入ってたの。

 その中で、一番枚数が多かったのが、ゆりこがくれた手紙でした。

 わたし、ゆりこがこんなに手紙をくれてたのに、返事を出した記憶が全然なくて。それなのに、ゆりこは小学校を卒業してから何年も経ってもずっと定期的に手紙をくれてて、なんか、本当にありがとうって思ったしごめんねって思ったの。

 ずいぶん時間が経ってしまったけど、本当にごめんね。ありがとう。

 ちょっとだけ言い訳をすると・・・小5で大阪から広島に転校した時、大阪の友達はみんな「手紙書くね」って言ったけど、あっという間に返事が来なくなって。

 だから、ゆりこもすぐにそうなると思ってた。

 でも、ゆりこはそうじゃなかった。小5の秋に転校してきて、たった1年半しか一緒に過ごさなかったわたしに、何年経っても、ずっと手紙をくれてた。

 そのことを、あの頃のわたしはどう受け止めたらいいかわからなかったんだと思う。

 小学校を卒業してから20年以上経ってやっと、ゆりこがわたしと心から仲良くしてくれてたんだってわかった。

 今はゆりこ、どうしてるかな。たぶんあの頃とはわたしもゆりこも変わってしまったとこがたくさんあると思うから、どんな風に言ったらいいかわからないけど。

 小5で転校してきて、緊張してたあの頃のわたしと、仲良くしてくれてありがとう。

 また近況が聞けたら嬉しいです。

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