見出し画像

3.文庫同人誌。本文データの作り方(Word)

突然ですが、文庫ページメーカーさんって知ってます?

文庫ページメーカーさんには、数字を漢数字に直してくれたり、改行のあとは一段下げてくれる神機能があるんですよ。

文庫ページメーカ―

なんと便利な機能でしょう。




いきなりこんな話を始めたのには理由があって。
こちらは新米ひよっこオタク。今までは「ワードで小説を書く→文庫ページメーカーに流してTwitter投稿」という流れに身を任せてきたわけで。


文庫同人誌の本文の設定が分からないんじゃ~~い!!!


そんなザコシロウトが、初めて文庫同人誌を出した時に使った、我流の設定を晒していくよ!!


ちなみに……
ワードやテキストファイルで本文を完成させた後に、以下の要領で作った印刷用ワードファイルに流し込んで入稿するのがお勧め。書くときは自由にのびのびと筆を進められるのが一番なので。


簡単な自己紹介
・同人誌頒布経験ナシ
・Pixivとか文庫ページメーカーとかは使用経験あり
・作業環境はWord

今回はPCに入ってたWordを使いましたが、一太郎もお勧めだそうです。ただしお高い。学生ならアカデミックあるかも。


残念ながら貧民系オタクなので一太郎は未入手。Wordでゴリ押しします。



組版? とかよく分かりません。


原稿をいい感じに組むことを組版と言うんだそうです。(ちゃんと知りたい人はググってね!)

この組版なるもの、別ジャンルの字書きさんに聞いたら、委託でぽいっと丸投げしているとのこと。ツテなりココナラなり、そのときによって組版を委託する方法は違うんだとか。

どのみち、お金を払って人に組版してもらうというやつ。


誰かに頼ってやってもらう。これも一つの解決策です。


作業をして下さった方への感謝と謝礼も忘れずにね。(ここ大事!)


た・だ・し! 
「なんでも自分でやってみたい」病に罹患していたので、そういう選択は特にしなかった。

その結果、いろいろ試行錯誤して設定したので、ここに記す。異論は認める。むしろ向上案ください。


その前に……


頒布した同人誌の基礎情報はこんな感じ。
・文庫サイズ(A6)
・本文390ページ

本稿では、二次創作同人誌について取り扱います。同人誌本文の画像もございますので、ご理解のある方だけお読みください。また一部加工を施しており、実際に頒布した同人誌とは異なる部分があります。


1.印刷所さんのワードテンプレートを拝借

一番楽なのは、各印刷所さんのウェブサイトにあるワードテンプレートを使うこと。

A6文庫ってのをクリック。

画像1

タイトルにHeaderってついている方を選択。

画像3

「編集を有効にする」をクリック。

編集を有効にする

左上のページ番号のところをダブルクリック&章のタイトルを入力(今回は「章のタイトル」って文言を入れた)。

章のタイトルを入れる

右上の赤い×をクリックすればOK!

改行して確かめてみると、ページ番号はすべてのページに、章のタイトルは奇数ページだけに入る形に。わぁ便利。

奇数ページにだけ文字が入った結果


2.余白の設定

余白は、ここから設定できる。

余白設定の前段階

実際に使った余白設定がこちら。

本文余白設定

さらに文字数と行数はこちら

文字数と行数


この設定の文章を、ワードで見るとこんな感じ。

本文ワード2-1

画像左上と右上にある、紫色の〇を見て欲しい。

Word君は横書き文化圏(英語圏)出身なので、二つ並べると左側が1ページ目、右側が2ページ目の順になる。なんとも日本人にはなじみのない仕様。

仕様なので諦めて欲しい。


さらに、余白の「外側」が製本した時の内側で、「内側」が製本した時の外側になる。なんともあべこべ。


さて、中央側(奇数ページ右側と偶数ページ左側)に余白が多いのがお分かりいただけるだろうか。


で、なんでこんなに左右で違った余白設定をしたかというと……。

ノドの計算をしたから!

ノド解説

ノドって何? って人は、このサイトに載ってるから見てみてね! ちなみに私も同人誌作るまで知らなかったよ!


ノドという、綴じたときに食い込むところの計算をしないといけない。

もしテキトーにやると、こうなる。

自宅印刷 綴じ


これは自宅プリンタで出力&クリップ留めした、お試し印刷だけど。
(※A4サイズのコピー用紙をちまちま1/4サイズに切って自宅プリンタで印刷して校正してた。)

自宅印刷 バラ2


製本したら紙を綴じる部分が食い込んで読みづらくなるのがよく分かる。


ちなみに、ノドのために余白を設定しなきゃいけないってことに気付いたのは入稿の2日前。


おっっっっそ。


ギリギリすぎる。
急遽色々検索したけど、文庫で400ページ弱の余白設定なんて前例があんまりなくて困った。

そもそもまともな人は初めてで400ページ弱の文庫同人誌を出さないか、出してもちゃんと事前に調べるはず。




いや言い訳するとね……普段、読書はキンドル派だからさ。。。 ノドとかそーゆー発想に至らないんだわ……(小声)


で、よく分かんないまま、てきとーに設定したのがこれなんですよ(再掲)

↓設定

本文余白設定

文字数と行数


↓完成した本(390ページ文庫本)

ノド1

ノド2

完璧かどうかは分からないけど、そこそこ読みやすい設定ができたとは思う。

厚みが薄ければもちろんノドも少なめでも大丈夫だと思う。



……ごめん、嘘です。同人誌はこれ一冊しか作ったことないから、ページ数が大きく変わったら余白どれくらいがいいか分からないんや……許してくれ。



3.文字のポイントとフォントの設定

ポイント:8.9
使用したフォント:源暎こぶり明朝 v6

ポイントってのは、文字の大きさのことね! 数字が大きくなればなるほど、文字も大きくなるよ!


みんな大好きホープ21さんが同人誌の文字の大きさについて解説されています。A5サイズ同人誌の話ですが、よければぜひ。


また、るるるさんは文庫についての解説も。ありがたや……!


買ってくれたみんなには、おじいちゃんおばあちゃんになってからもワイの同人誌を開いてくれたら嬉しいなって思ってるから、文庫本として一般的な大きさの9ポイントに近づけたよ!(愛が重い)



入稿直前まで、フォントは游明朝にしようとしてた。これね。

画像24


でも、「同人誌 フォント」で検索すると、どうやら「源暎こぶり明朝」というフォントが熱烈な支持を得ていることが発覚。


以下、サイトより引用
「「源暎こぶり明朝」は個人創作活動などに活用できる〝普通〟であることが特徴の仮名を持つ文芸・縦組み・長文向け本文明朝体です。」

“同人創作活動に活用できる”

“〝普通〟であることが特徴”

“文芸・縦組み・長文向け”


こういうのを探していたんです!!!


気分はそう、ひとつなぎの財宝を見つけた某麦わら海賊団。


同人活動という、あくまで公式様のお目こぼしの範囲内で、時には自ジャンルのキッズの動きに肩身を狭くしながら、時には公式様へのお布施の至らなさで自分のハンカチを嚙みながら、細々と暗闇を這いずり回る同人活動への、光……!!

私のいるジャンルは、ありがたいことに公式から同人活動のガイドラインが出ているんですが、そもそも同人活動は公式様のお目こぼしのもとで行うもの。つまりグレーゾーン。

世間様への申し訳なさに背中を丸めながらカタカタとキーボードを叩いていたオタクにとって、フォントの作者様が「個人創作活動などに活用できる」と明記しれくださるのは本当にありがたいのです。ありがとうございます、ありがとうございます……!


感謝の涙を流し、五体投地してフォントをダウンロードさせていただきました。感謝。


↓すっごくどうでもいいんですけど、OfficeWordちゃんが反抗期だった時のツイート

こんな予想外も起こり得るから、みんな気を付けてね!(ただし予防法は分からないよ☆)


4.禁則処理


有名なセリフ「禁則事項です!☆」


……今の若い子たちに通じるのかな(遠い目)

ええと、禁則処理というのは、句読点とか閉じ括弧などが行頭に来ないように、また開き括弧などが行末にこないようにする処理のことです。人間が目視でチェックしなくても、Wordが自動でそういう処理をしてくれるんです。

禁則処理「っ」


高レベルに設定することで、「っ」など、行の頭にあるとちょっとかっこわるいな~というものを、前の行の後ろにねじ込んでくれます。Wordくんってば優秀!

慣れてきたら「ユーザー設定」にチェックを入れて禁則文字を追加/削除も可能!


難しいことは言わん。とりあえず「高レベル」を選択じゃ。


5.綴じ方の設定

そのほかの設定は、「右綴じ」かつ「無線綴じ」。
縦書きの文庫本はみんな同じなんじゃないかな。以上! 



いや解説サボんじゃねぇ! って思うかたは以下のPDFとURLを開いてほしい。先人たちがすでに分かりやすく解説されておるのじゃ。


↓超絶かわいいイラストで綴じ方について解説されているPDF


↓PDFを開けない人はこっち。印刷・製本についてのFAQ

6.ここまでのまとめ

文庫390ページの本を作ったときの設定
余白:上15mm、下12mm、内側10㎜、外側15mmm
印刷の向き:縦
印刷の形式:見開きページ
文字数:40
行数:15
禁則処理:高レベル
フォント:源暎こぶり明朝 8.9pt.
綴じ方:右綴じ、無線綴じ


ここからは「商業っぽい文庫同人誌を作りたい欲」が、ほんっとーにカンストしてしまったがゆえに生まれた意味ワカンナイ話。


7.とびら

文庫本には扉というものがあるじゃん!! と思い立ち、急遽作成したのがこちら。

とびら画像

イラストレーターでフリーの原稿用紙イラストを二枚上下に重ねて、そのマス目を埋めるように「〇〇文庫」と書く。


ね? ナントカ文庫って、出版社のレーベルっぽいでしょ?


視点人物のキャラクターが小説家なので、小説モチーフの何かしらは入れたかった。そこで思いついたのが原稿用紙模様の扉。

本当は「Stella文庫」という文字の上に万年筆のイラストを置いていたんだけれど、うっかり消して入稿。で、こんな感じに↓

とびら写真

個人的には、ここだけは余白の設定をもう少し左右均等にしても良かったんじゃないかなと思う。扉は、本を開いて一番最初のページだし。ノドの食い込みとかあんまり気にしなくてよかったかも。


8.目次

↓これがデータで

画像21

↓これが実際の本

目次写真



縦書き文章の中に数字を入れると数字が90度傾いてしまうので、縦中横ってのを使うよ! 

これを使えば数字がちゃんと縦向きになってくれる。

目次 縦中横

目次を付けたのは、390ページに二つの話を収録しているので、早い段階で話の文量の配分が分かったほうがいいかな~という親切心から。

……ふつーは半分ずつのページ配分だと思うじゃん??

まさかの1話目が70ページちょっとで2話目が300ページ近いと思わないじゃん???



うん、私もこうなるとは思っていなかったよ。



9.タイトルページ

タイトルページ データ

タイトルページ

憧れの字書きさん(↓前話参照)

の文庫同人誌に、タイトルページがありまして。敬愛のあまり真似してしまった。ページ数が増えると、当然印刷代もかさむんだけど……


オタクは推しに弱いので!!!!(2回目)


10.登場人物紹介

世界線の違う、いわばパラレルワールドのような2話を載せたので、登場人物紹介はあったほうがいいかな~って。


2話目は劇中劇というか、原作で登場人物たちが演じている役たちを主人公に据えた二次創作なので、登場人物たちの名前や性格が若干違う。

だから、各話の前に登場人物紹介を置いてみた。


登場人物紹介って形で、自CPを簡潔にまとめるいい練習になったから、みんなぜひ同人誌に登場人物紹介のページを作ってほしい。



11.あとがき

あとがきも楽しみだったりするのよ!! 同人誌を読むときの醍醐味!!
PixivとかTwitter投稿だと、あとがきがないことも多いし。せっかくなら制作秘話とか聞きたいし。



ということで、たっぷり1000文字以上あとがきを書いた。



12.奥付

本のタイトル/頒布日/発行者名(ペンネーム)/連絡先/印刷所名 を入れる。
いつ・だれが・どうやって発行したのかを明確にする。ここ大事。


あと同人誌の奥付でよくあるのは、「非公式のファンブックだよ。処分するときはちゃんとしてね」って言う旨の注意書き。

今回書いたのは以下の文言。


「この本は個人的に作られた非公式ファンブックです。
公式・実在の人物・企業・団体等とは一切関係ありません。
処分する際は同人誌専門の中古書店に売却していただくか、中身が分からない状態にした上で可燃ゴミとして廃棄してください。」


奥付は本当に大事。

ちなみに連絡先は、PixivとTwitterだけじゃなくてメールも書いておくのが吉。

13.偽予告


完全なおふざけページ。さっきの奥付のまじめさが一瞬で吹っ飛ぶ。

偽予告

きっかけは、手元の市販の本に次回予告があって、かっこいいな~と思ったこと。

もちろん今回作ったのは個人のささやかな同人誌なので、続編の予定は今のところナシ。つまりこれは偽予告。

でも、とってもわくわくしながら作った記憶だけはある。


それに推しが嘘つきの文豪なので、「ま、全部嘘なんだけどね」と言いたくて。(本音)





……実はここに載っている本の表紙は、発行した同人誌の表紙ボツ案でもあって。

初期に考えてた七宝装丁があまりにシブくてつまらなかったから、結局別の装丁を自作して入港したんだけど、初期案をこうして偽予告の本の表紙として復活させてみた。

七宝デザインなのは、推したちが身に着けてるアクセサリー類のデザインが七宝だから。


ど~しても七宝を入れたかったけど自分のセンスじゃそんなのうまく活かせない……! というジレンマを解消すべく、ここで登場。


14.入稿

で、最終的には全部PDFで入稿。↓こんな感じ。

入稿データ

扉の裏など、白紙にしたいところはHakushiとして白紙データを作成。

これをZipファイルにして送信! Wordで入稿できる印刷所さんもあるけど、私がお世話になったSTARBOOKSさんはPDF入稿だったので。


STARBOOKSさんの入稿システムのすばらしさは、すでにいろんな方が書かれているからググってみてね!


次回は表紙の装丁について




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?