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『ラストマイル』待機列へ捧ぐ 『バスタフェロウズ』感想

表題にも記しておりますが、個人的に『バスタフェロウズ』シナリオに野木亜紀子脚本との共通点を感じてなりません。
女性主人公が交流を経てヒーロー達と交際関係を結びはするものの、恋愛や甘い台詞というよりも2人の人間が手を取って生きていく話が描かれています。ヒロインはデフォルトネームならボイス入りで呼ばれる上に彼女のボイスもON/OFF出来るし、逃げ恥が楽しめるなら青信号灯ってるも同義だと思うので、是非乙女ゲームに触れたことが無い方も触れてみてほしい。
特に『アンナチュラル』『MIU404』のテーマ性と似たものを感じるので、要約すると今夏公開予定の『ラストマイル』を楽しみに待つ民は、是非プレイして欲しいよ……!

以下『バスタフェロウズ』シナリオネタバレあり。公式ガイドラインに則りあくまで所感に留めておりますが、ご承知おきの上でお読みください。




スケアクロウ

何にも知らずに見たので、登場遅めのスケアクロウにフォーカス当たるターンなのかと思ったらいつの間にか個別ルートに入ってた。猫ちゃんの名前が一番好きな√。

「裏社会のボス」という名乗りで声だけの情報を与えられてるところから、テウタとの初対面も椅子が回りすぎちゃって格好がつかなくて、これだけで可愛い人だなって思わせてくれる。
いわゆるオチ要員というか、アニメラストの黒丸で見える範囲がどんどん狭くなるアレの処理を断トツでされてる子で。ああムードメーカーで楽しい人なんだなってすぐにわかる。

そんな人の個別√のハイライトで持ってきてるシーンがアレで、テンション上がりました。こんなん口角上がっちゃうよな。ごめんね。
名前の音が似通ってることもあって思わず連想した影響もあるとは思うのですが、『ジャックジャンヌ』の根地黒門√を思い出しながら読み進めました。√に入った途端に二面性を出してくるところや家族との関係、メインヒーローを意識されているだろう織巻寿々(リンボ)√の逆位置を行く感じが似てる気がする。

他の攻略対象の√でも、一番家族や仲間という言葉を使ってこの6人の関係性を繋ぎとめようと言葉を尽くしてくれるのがスケアクロウで、最初に彼の√を通ったからこそ「そうだよね、大事な家族だもんね……」とより共感しながら読めました。
バッドエンドの描かれ方含めて、家族がどれくらい大事な存在であるかっていうのがかなり開示されているキャラだと思います。

他人との結びつきが希薄だと、他人にも自分の想像し得ない範囲の大切な存在がいるという当たり前のことへの想像力が及ぶ範囲がどんどん狭くなるように感じています。
別に自分で選びとって一人でいるのは自由なんだけど、それでも人間関係に恵まれるのってすごく難しくて希少なことで。この6人がお酒が飲める年齢に達してからスケアクロウの家に集まって、家族みたいな絆を築けているということの価値を誰より噛み締めてるのが彼だと思います。

攻略対象達の中で最年少で、瞳が大きくて感情表現豊かで前述の通り可愛さを前面に出したキャラ。ただそれに反して、抱えている事情がまあ重い。結局彼のトラウマから生まれただろう別人格問題って解決したんですかね。
全テキスト回収してなお、意外と一番The乙女ゲーム感が強いのもまた一見アンチヒーロー枠にはまりそうなスケアクロウの個別√でした。よく「乙女ゲームは、主人公がヒーローをカウンセリングするゲーム」のような表現をされますが、一番このテンプレに当てはまってるのがクロのように感じています。

彼の本名のクロウ・ミラーっていうのも二面性の象徴のようで、うたプリアニメトキヤのウユニ塩湖とかリピラブのクラ組のキーワードとして見たことあるように感じて……アメコミヒーローが好きで同人誌描いちゃうくらいのクリエイティブな愛を抱いてる一方で、身振り手振りが大きくてその大きな瞳を手で隠してしまう程に自分の像がはっきりしない人のようにも思う。
好きなものはたくさんあるし得意なことも沢山あって金も十二分に稼げる能力を持つ一方で、お金で買えない人間関係に一番わかりやすく固執しているというか。この辺りの凹凸がミスマッチでとても魅力的なキャラクターだと思います。

前述の通り私は何となくリンボの対に立つ人が彼のように感じているのですが、水という万物の生命活動に影響を与えるものへの恐怖心が共通点として作用しているように思います。水って生きるために絶対に必要なものなのに、明確にスケアクロウは自分の、リンボは助けたかった人の死と結びついてしまっている苦痛。

もちろんテウタは攻略対象全員を精神的に救い上げているのですが、個人的にはスケアクロウ√が一番攻略対象の過去も未来も抱きしめられる√のように感じました。わかりやすく彼や大切な存在の命も助けてるけど、それとは別にスケアクロウ自身に生きてていいという赦しをも与えているので。
これから先、彼が自分の技術を駆使して更に大勢の人を救ってくれれば良いなと思います。恐らく他人を助けてこそのやりがいを一番感じられる人だと思うよ。幸せでいてくれ~!幸多からんことを!

モズ

君の√は乙女ゲームじゃない。野木亜紀子脚本作品だよ。
特に『アンナチュラル』と『MIU404』で描かれてるテーマの総なめで鳥肌立った。
スクショの山が出来ました。大好き過ぎて、下手に感想文が書けないタイプの刺さり方した。リンボの死を回避することから物語が始まる本作で、検死官の個別ルートだけあって全てが哲学チックだった。ずっとサカナクションが流れてませんか。

個別√に入ってもテウタが希望的観測により声掛けや慰めの言葉を口にすることを、モズは断固として拒みます。
対して2人の関係性が拗れるのは、彼が絶望的観測による主観の押し付けをしたからで。自分で自分の言葉を証明してるように感じました。
モズは元来余計なことはあまり口にせずに1人でモグモグ食べてる人で、そんな彼が言葉を尽くして誰かに語りかける時の言葉はどれも本当に美しいと思います。寡黙な人の言葉ってフレンチのフルコースみたいになってることが多いからこそ、一品一品の量は控えめなんだろうな。
私は、バスタフェの登場人物の中ではモズの骨が一番綺麗だと思う。

悩むことこそ自己同一性の証拠だ、未来のあなたが過去の私を助けてくれた、許すか許さないか……
台詞が直接引用出来ないストレスが凄い。ネタバレ防止の為仕方が無いとはいえ、その人にしか発せない言葉を雑にまとめるしかないのがあまりにも惜しいよ。

テウタとモズの関係性の深まりとして、視覚、聴覚、嗅覚、触覚ぜーーんぶ丁寧に描写して、他√と同じく食事について言及してるシーンも多くて。
強烈なインパクトを残す死の話をすることで、逆説的に今を生きてる2人の話をしてる。
綺麗な服を着て、美味しいものを食べて、生活をする衣食住の話をしてる。構図的には傷の舐め合いになってもおかしくないのに、痛みに堪えながらも好きな人と手を繋いできちんと生きていく話だった。
全部野木亜紀子作品で見た!!!ついでに言うなら、私が大好きなフリゲ作者のせがわさんの作品で見た!!!

『ラストマイル』関連作品好きな人は、是非モズ√読んで欲しい。ちょっとわかりやすいヒロインへの口説き文句が加わってるだけで、いつ米津玄師が歌い出してもおかしくないシナリオだった。
余韻が抜けなくて、3日くらい寝かせてから別√を進めました。いや、すーーごい。とんでもなかった。

リンボ

待ってたよ、メインヒーロー!改めて全シナリオを読み返し、万全の態勢で迎えました。
暗い茶髪に青い目、赤いシャツに黄色のネクタイと三原色揃ってる感じがまさに主人公感溢れてていいね。

アダムにもらうキャンディアップルがアーカイブスで詳しく描かれたり、バッドエンドがあれだったり、リンボはテウタの顔が赤いことをしょっちゅうからかってくる辺り、服装でこの2人が共通でもつ原色の赤色は、やっぱり生きているからこそ体内に通い続ける血の色なんだと思います。
生きていく為に必要なことをしょっちゅう入れ込んでくれるシナリオが大好きなもので、更にバスタフェのシナリオは毎回誰かの生死がかかってきてるものだから、頻繁な食事シーンで野木亜紀子喜びしました。
いや、本当にバスタフェロウズ、『ラストマイル』待機列に刺さるシナリオだと思うんだよ……

モズ√でも薄々感じてたけど、バスタフェは基本的に「しないことを選び取る」難しさとその重要性を問われてる気がした。
ダークヒーローのルートで、テウタだけじゃなくてリンボサイドに度々カメラが渡されるのアツい。
リンボルートで特に顕著な、2人の目線があったら良いことが起きて、目線が合わなかったらすれ違うやつ!!!うたプリで散々見たよ!!!愛の話してくれてありがとう!!!!やったー!!!!!!ってスタオベした。真面目にやってる時orトンチキ成分排除した時のクレイ・シーゴットを感じる。

Limboってどういう意味なのか調べたんですが、「天国と地獄の間で、洗礼を受けなかった幼児やキリスト降誕以前の善人などの霊魂の留まる所」「刑務所」やら出てきて、バスタフェのメインやってるだけあるなって思いました。悪いこともたくさん描かれていて、それに若干手を染めながらも前を見て進んでいく彼らのセンターにピッタリで。
オープニング始まってすぐ、最初に会話するのがリンボっていうことへの思い入れも強まった。

共通シナリオでどうやらいいとこのお坊ちゃんっぽいぞというのが仄めかされてからの、ピアノペラペラ弾けたりニューシーグアカデミアのOBであったりと明かされて、その上で恵まれた者だからこそ驕りたくない、真実から目を眩ませてなるものかという彼の堅い意志を感じて、ノブレス・オブリージュに近い気高さにより惹かれました。かっけえ。
イリーナさんやイーディといった立場の弱い者への言葉の掛け方が、格別好きだ。最後の晩餐の話なんて、彼の強かな笑顔まで含めてリンボ・フィッツジェラルド性に溢れてるじゃないですか。テウタ哲学に近い、その人にしか言えない説得力があってワクワクした。
これを登場キャラクター全員に言わせてるminetakaさんの手腕が凄まじくて。別名義で参加されてた作品とかあったら是非教えて頂きたい……無理だろうけど……

そして彼が立て板に水のように弁論術で検察側を薙ぎ払うの、めちゃくちゃ格好良かったです。個別√分岐後、他のキャラに「リンボは怒ったり悲嘆したりしないよね」のように言われても、プレイヤーの私はあまり共感できないところがありました。
しかし法廷でペラペラ語ってるところを見ると、静かな怒りは確かに込められているとはいえ理性で自分をコントロールして話す人なんだなとは感じた。別デバイスの「悪徳弁護士」リンボ・フィッツジェラルドさんにお越し頂いて喋ってる感じというか、大分ペルソナ被ってるような印象を受ける。

確かにこういうところはリンボの他人と自分を切り離す能力や賢さを感じるけども、最近『成功したオタク』を見て、”入れ込んでいる他人に引っ張られない/勝手に失望しない為に、まず全幅の信頼なんてしないべきなのでは?”とか思ってる私には好ましいものとしか映らなかったんですよね。

これって冷たいのかな。彼の職業や気高さや恵まれた環境は、真実から目を背けない強さを作ったと思うんだ。
どちらかというと、やたらと喜怒哀楽のマイナス感情を他人に押し付ける浅はかさを優しさと呼ぶ方がリスキーじゃないのかな。ナヴィードとの対比だからか、他人の為に自分の生活の基盤を揺るがすことを優しさと呼ぶ方がずっと怖い。
傘も持たず雨に打たれてる自分と同じように傘を手放す行動のみを「優しさ」と知覚できる状態って、相当精神的に拙いと思うんですけどどうですかね。自分に傘を差し伸べるリンボの手をずっとナイフで狙ってるナヴィ―ドの姿は、キャラとしては嫌いになれませんが実生活で出会うならたまったもんじゃないな、と思いました。
そしてこんな報復を受けても、彼のことを本気で憎み切れないリンボも甘いですよね。いいとこの坊ちゃんの甘さが悪い意味で出てて良かった。なんで会うのを止めるとバドエンを踏むんだよ!!

喜怒哀楽のうちの怒と哀のマイナス感情にフォーカスしているだけあって、とりわけスチルの表情差分が好きでした。目を合わせてるスチルが好きでさあ……テウタは可愛いし、リンボは格好良い。ただただ2人の人間が向き合った時のパワーを噛み締めてた。ラストスチルのリンボの表情が全て好きです。うわーかっこいいってドコドコ太鼓鳴らしたくなる良さ。
そしてKENNさんは何であんなに姉持ちの声が上手いんだろう。リンボ、絶対に姉がいる声をしてる。キレてるお姉ちゃん、優しくて強くて最高!

リンボ√バドエンBのラスト、テウタのハミングにリンボが続いて1人で口遊んでる感じが、スケアクロウとテウタの連弾の不器用な心の合わせ方にちょっと似てて胸が苦しかった。一応今作のメインヒーロー枠とアンチヒーロー枠やってる2人だと思うので、そういったリンクっぽいのも見てて面白かったです。

ヘルベチカ

バスタフェは焦点を黒に集中させることで、逆説的に白の話をするのが上手すぎませんか。醜い話を突き詰めると、最終的に美しくなるのだ、みたいなシナリオ展開で素晴らしかった。絶対この立場の人は出てくるだろうと思ったけど、それこの人でやるのかって思いました。
意外とリンボよりも歳下で、攻略対象の中だと丁度真ん中の年齢なの、いいですよね。

最初にマグダの素顔を見た時は、思わず呻きました。横溝正史の『悪魔の手毬唄』みたいなことするじゃん。美しさって何だってチェーンソー振り回してくる。
そして執着してる対象が意識を失った瞬間彼女が取り乱してるところを見ながら、どこか猟奇的な美しさみたいなものを感じました。今まで出会ってきたヒールキャラよりも攻略対象と接した時間の密度がより高いからか、哀れみとか同情をしやすい土壌が出来上がっていたのかもしれません。

ここで火傷を負っている目が、マグダは左目でヘルベチカは右目なんですよね。古代エジプトのホルスの目の逸話で右目は太陽の目で過去の象徴、左目は月の目で未来の象徴らしくて。
マグダは左目を負ったからこそ過去に囚われ続けており、ヘルベチカはこの火傷で右目を負いようやく過去との決別が出来たのではないかと感じました。
バッドエンドなんて、他の子達とは比べ物にならないくらいあっさり終わるのが残酷でたいへん良かったです。
命の散り際にも立ち会わせてもらえず、決定的にただ道を違えた他人でしかない。いやーヒリヒリする。

ヘルベチカ、あなためちゃくちゃ脱ぐタイプだし半裸スチル多くて笑っちゃったんだけど、儚いよ勘弁してくれ。シャワースチルが本当好きで。美しい人がボロボロになってる姿って、なんでこんなに目を奪われるんだろう。背徳感とかの為せる業かな。

そして名前フェチに刺さる話題が多くてニヤニヤしっぱなしでした。
彼が捨てた名は「人民の中の勝者」って意味があるらしくて、一方でヘルべチカはスイスで作られたフォントの名前らしくてへえ~ってなった。永世中立国がルーツってなると、優劣を決める場所に立つことをやめたいという思いが今の彼の名前に込められてるのかな、とか邪推したくなりました。
めちゃくちゃメジャーなフォント名らしくて、なんかこう、普通に迎合したい欲についても思いを馳せました。個性的で良い名前だね。

クリスマスパーティーじゃなくて、ハロウィーンパーティーをやる流れになるシナリオ構成も見事だった……帳尻の合わせ方が上手いし、普通の人間が化け物の振りをする日っていうのも皮肉めいてていいですよね。偶然かわからないけど、10/30が彼の誕生日らしくて。
1日は同じ1日だろって言うのはわかる気もした。クリスマスもニューイヤーも同じ1日なのは確かにそうなんだけど、でも同じ日は100回迎えられるかわからないんだから、祝ったもん勝ちだとも思うので大事な人と楽しみたいテウタの気持ちもたいへんわかる。

人を食ったようなところがあって掌の上で転がされまくるんだけど、他の面子よりもテウタが突っ込んで聞かないと好感度なかなか上がらないの、本当そういうとこだぞって思いました。
なかなか掴ませてくれない人だなって思ってはいたけど、結構踏み入れないと逆にダメなタイプなんだね……
リンボやモズ√で敢えてしないことを選ぶ難しさを描いてるのに対して、ヘルベチカはすることを選ぶ難しさも描いてるように思いました。サウリ先生の問う「わざわざ生きる意味」にリンクしてるようで、凄く良かったです。

そしてスペシャルエピソード、もしかして存在しない料理名挙げてるのかと思ってワクワクしながら検索かけたけど、実在する料理らしくて悔しかった。存在しない料理をどう料るのか見たいの!?いい趣味してんねえ!って勝手にスタオベ始めてたんですが、着席したよね。
そこまで性悪じゃなかったか……ヘルベチカの素直で可愛いところ出ちゃってたか。プレイヤーの方がタチ悪くて申し訳なかった。
ところでどこで食べれるんだその料理。「ほとんどヘルベチカが作った」ってご丁寧に言及されていて、かわいくてほっこりしました。そりゃあ料理下手が知らない料理を作れと言われても、だよねえ……

シュウ

ちょっと一旦シュウを置いといて。ヤン〜!!!!!!好きだ〜!!!!!!!!
初見から声がまあはちゃめちゃに好きだった。「お嬢ちゃん」と呼びかけられる度に、テウタの首に巻きついてる私が尻尾振ってました。
シュウも多くを語るタイプでないからこそ少ないフレーズの中に色んな温度の音を乗せる人だと思うんですが、その家族としての立ち位置がこの人なのが殊更良かった。込められてる感情の微妙なニュアンスの違いが何より雄弁で。

本職の方に言うのは失礼なのは承知の上で、2人とも演技が上手すぎてその声を追えるだけでも楽しかったです。個人的にはどちらかというと感情が表情に乗りやすい人の方が好きなんだけど、それはそれとして関係性が好き。それぞれの内側に相手の面影が残っているんだろうなってわかる話し方で、2人が話す度に燃えさしから火花がパチパチ生まれてるみたいで。
ヘルベチカやスケアクロウの個別√を見た後だったからこそ、家族への思い入れが伝わってきました。

恐らく登場人物の中でもシュウは指折りで横顔が綺麗な人だと思うんだけども、観覧車スチルがいっとう好き。あのカラフルな背景に対比して、かなりシンプルな色調の彼とカラフルなテウタが向かい合ってる構図が綺麗で。
シュウ、顔の一部が髪で隠れてることもあるんだけど瞳がとても印象的ですね。白髪の中で金色?茶色?緑?名状しがたい色を持ってて、他の子に比べて情報量やたらと多くて好きです。
家で過ごすときのルームウェアの時、前髪上げてるのあっざとくない?そいつ最年長ですよ。

あと攻略対象達の中でも最年長だけあって、テウタを口説くのがまあ上手い。私はかっこいいねえってニヤニヤしながらテウタのほっぺ突いてた。
考えてること隠せずに全部口から出るクロちゃんがちょっと気の毒になるレベルだし、突然爆弾渡して相手がアワアワしてるうちに手中に納めてるタイプだ。ズルい。

共通の知り合いでない死者の話を気を遣わずに楽しく話せるシュウとテウタ特有の関係は、掛け値なしにとても素敵だと思う。
彼らが語るように、身近な死者について語ることは気を遣う。だからこそ死について語る必要が無ければ、死者という情報を隠してその人との思い出を語ることもよくあることに思います。
それでも現世にいる者にとって、死者は死という決定的な終止符が打たれてるからこそ、生者に引けを取らないエネルギーを持つ場合があるのではないかと一個人として思っています。死者について語ること自体は同情を求めるでもなく信頼しているからこそ語られているだけだと思うので、聞き手にはただ耳を傾けて欲しい。そして明るい話だったら、普通に笑ってやってほしいな。死者は死者であるが故に、永遠に生者の傍にいる場合があるから。

ところで猫に真面目に名付けないのは、余計な情が湧くのを防ぐためだったりするのかな。彼が自覚してるのかはわからないけど、お師さんやヤンが自分の世界から喪失したことへの失望があまりに大きかった反動なのかなとか思ったりしました。
スルッと人の懐に収まる感じとか飄々とした雰囲気とか、この6人で一番猫っぽいのもシュウなんだよなあ……好感度最大で解禁されるサブエピソードにて彼にカメラが渡される時の、テウタへの甘さが切なくて優しくてほろっときました。

アダムルートとルカルートが無い なぜ

バスタフェ唯一かつ最大かつ最悪の不満点は、ルカとアダムの個別ルートが無いことです。既プレイヤーの友人に何回嘆いたかわからない。幼馴染フェチにめちゃくちゃ刺さる信頼関係を何回も見せつけられてるのに!?ルートがない!?!?!?ルンファクの結婚できないバグかな?
それはそれとして、石川界人さんにテーマソング歌わせたのはGJ……ありがとう……なぜあんなに格好良いアダムルートは無いんだ……良い雰囲気のBGM真っ先に流しながら、青い薔薇渡してくるどイケメンなのに……

幼馴染の何がいいかって、自我なんてとっくに確立してる歳になった今でも、昔から繋いできた幼馴染との手の境目は曖昧になりがちなところなんですよ。
君がハッピーならそれでよし、悲しいなら自分も悲しい、を昔から積み上げてきた時間がより強固にしてくれる感じがあって。ルカとアダムとテウタの3人にそれを感じるからこそ、√が無いの、本当に理解出来ない……

1杯乾杯する為だけに仕事の間の10分を縫って駆けつけるアダムの姿に惚れました。特に週末の幼馴染会のあのスチルの会話はどの√分岐でも大好きなんだけど、モズとシュウの個別シナリオが格別好きかな。失恋同盟組まないで。プレイヤーはあなた達と恋愛したいんだよ。
テウタと親しい登場人物達がテウタを立派に仕事に務める女性だと認めた上で、彼女の子供っぽい瞳や無邪気さや素直さといった遊び心を愛でているところが本当に好きで……こんな兄や姉が欲しかったと長女プレイヤーは思っています。

テウタの首に巻き付いてる私も2人のこと大好きなのに?こんなに美しい絆を見せつけられているのに?
なーーーんで個別ルートが塞がれているんですか!?
家族愛に性愛は混ぜちゃダメだろうけど、血縁関係では無い3人の強固な関係性に魅力があるからこそ、ペアエンドが見たかった……ぐう……
バスタフェ2では個別ルートあると思っていい?期待してます。


真相√に寄せて

簡潔に。
minetakaさん、あなた良心って知ってますか。最悪だよ。ありがとうございました。

なんていうかこう、人間ってこういうもんだよねを最後まで突きつけてきて嫌なゲームだな……『BLUE GIANT』ミリしらで観に行って、頼むからこうならないでくれと思ったらちゃんとそうなった時の気持ちになりました。
フォーカスが当てられてる人の名が「地面」や「人間」って意味なのがまた業が深くて嫌だ。前半のフリがあんなに綺麗にお膳立てされておいて、後半全部ちゃぶ台返しされて笑うしかなかった。
万が一二次創作で触れたら、毒マロ送りかねないタイプの構成してて凶悪すぎる(超褒めてます)。急に二郎系ラーメンみたいな性癖の盛り合わせ始めないで。

公式サイトのインタビュー、1人だけ異様な人いるなあと思ったけどなるほどなーってなりました。こういうの意味も無くふざける方じゃないと思うので、キャラの歪みとして現れてくれた時に想起しました。良い体験だった。

ほんっとこのシナリオ力あればいくらでも大団円に出来たわけじゃないですか。いきなり鬱ゲーの筆頭作みたいな一人称にしないで欲しかった。普通主人公以外のカメラで世界が見れるなんてご褒美タイムだと思うじゃないですか。
それがずっと、うわあ……しか言えない気持ちにさせられて、どうすればいいんですか!?あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます!の心境。
初めの一歩を踏み出すキャラって、作者からしたらめちゃくちゃ可愛がってるからこそだとは思うんだけど……享受する側は狂うしか無い。

せめて次回作では救われたい。プレイヤーの感情を鎌で刈っておいて、そのままにさせないでくれ……という願いでいっぱいです。
minetakaさんマジで人の心無いよ!!(賞賛の拍手をしながら)ありがとうございました!!!

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