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部活指導は何のため?

こんにちは,HARuです。今日は中学校ならではの部活指導について考えたいと思います。

部活動が無いと学校が荒れる?

 ある先生の話では「部活動が無かった頃は学校が荒れて大変だった。だから今部活動をしている。子供たちは部活動をしなければ時間を持て余して遊ぶことに使ってしまう。それでは子供たちの成長のためにならない。」と。なるほど。確かに過去にはそういう時代もあったようです。(ここでの「荒れ」とは喫煙や暴力行為,バイク等の無免許運転などを指します)スポーツや文化活動に熱中することで学校の荒れが落ち着いたと。では,近年部活動が実施出来なくなったことはなかったでしょうか?それが,あったのです。全国一斉休校2020年3月から最長で3ヶ月程度,学校は一斉休校になりました。その間,当然部活動は実施されませんでした。では,家庭にいた子供たちは「荒れ」たのでしょうか?いいえ。子供たちは落ち着いて生活をしていました。もちろん1日中ゲームばかりだった子供たちもいます。ですが,子供達が「荒れた」という話は全く聞こえてきませんでした。(精神的な面で子供たちや保護者の方への負担が大きかったことは忘れてはいけないことですが)

つまり,部活動がなくても子供達や学校は荒れないということが図らずも証明されたのです。

部活動指導は誰がすることになっている?

以前も引用した文部科学省の「学校における働き方改革特別部会」の資料(平成29年12月26日)によると,部活動は学校の業務だが,必ずしも教師の担う必要のない業務に分類されています。

つまり,教師が顧問をする必要は無いということです。さらにいえば,部活動の設置・運営は法令上の義務ではありません。多くの学校が自主的に部活動を設置・運営しているという状況なのです。

部活動はなぜ設置されている?

学習指導要領(先生方が指導する時に参考にする書籍)には部活動について以下の様に書かれています。

教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するもの
とする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、 スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、 学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、 教育課程との関連が図られるよう留意すること。

これによると,部活動は生徒たちが自主的に集まってやっていることで,学力以外の力を伸ばすためにあるということです。部活動の設置の義務はどこにも書いてありません。では,なぜ設置されているのかというと多くの先生のお答えは「子供達のため」だそうです。さらに詳しく言えば,授業では学べないチームワークや礼儀を学ぶ機会になる,生徒が成長する機会を与えられる,チャレンジ精神を養えるなどなど様々な理由が出てきます。本当にそれが目的でしょうか?もちろん一面として上記の様な内容を体験することもできるでしょう。しかし,多くの先生や子供達の根底にあるのは「勝利至上主義」ではないでしょうか。一部の先生の中には,自分が現役選手時代かなえられなかった夢を子供達に託して(背負わせて)子供たちの指導にあたっている人もいます。それは本当に教員としてすべき仕事なのでしょうか。実は先ほど引用した学習指導要領には続きがあります。

その際、学校や地域の実態に応 じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携 などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにするものと する。

学習指導要領にも,教員だけじゃなく地域の人たちの力を借りてね部活動の運営をしてねと書いてあります。もちろん外部の力をお借りすることは中々難しい問題でもあります。例えば,金銭的な問題。現在の外部指導員の手当はとてもそれだけで生活できるレベルにはありません。土日も実際の稼働時間では無く,自治体に決められた時間分の給与しかでないこともあるようです。これでは,どう考えても誰も外部指導者として活動しようとは思いません。さらに教員が心配していることとして,子供達が部活動指導者の話は聞くけれど教師の話を聞かなくなったらどうしようというものです。つまり,今までは全て子供たちの面倒を自分たちがみていたのに今度は外部の人が入ってくる。外部の人に子供たちの信頼を奪われたらどうしようという訳です。個人的には信頼関係を作るのは部活動だけではないと思っているので,多くの先生方が心配する様なことは起きないと思っています。それ以外にも様々な問題を含む部活動指導。学校教育アドバイザーの妹尾昌俊氏は記事の中で以下の様に述べています。

 「なんのための部活か」と問われて、「生徒の成長のため」という考え方は、「教育の論理」だ。だが、これがいつの間にか、競技の論理のほうにすり替わっていないだろうか、あるいは「競技の論理」のほうに押されてはいないだろうか。

部活動は本当に生徒たちの成長のために行われているのか。私たち教員はもう一度よく考える必要がある。


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