リモートペアプロに適したツール

2020年に入り、コロナが流行って以降、リモートでペアプロをするプロジェクトをいくつか経験しました。リモートでペアプロを行うにあたり、いくつかのビデオ会議ツールを使ってきましたが、最近 Pragli というとても素晴らしいツールに出会ったので、この記事で少し紹介したいと思います。

リモートペアプロを行う際の課題

どうすればリモートでもペアプロを行えるでしょうか。簡単に思いつく実現手段としては、

・ビデオ会議ツールを使って、ドライバーがナビゲーターに画面共有
・ペア毎にビデオ会議のルームやURLを分ける
・Git の push/pull を使ってドライバーとナビゲーターを交代

などがあるかと思います。これだけでも、ペアプロを行う二人の間では十分にコミュニケーションを取れるようになり、リモート作業に慣れさえすれば、同じ空間にいた頃と同様のパフォーマンスを発揮するペアも出てくるでしょう。

しかし、本当にコミュニケーションやリードタイムを重視するスクラムチームにとっては、

・同じフロアで作業をしていた頃は、別のペアの会話も横耳で聴くことが
 できた(実はそれがかなり役立っていた)
・ペア間でのちょっとした相談やPOへの気軽な質問が、同じ空間に居た頃
 にはできた
・リモートでもそのような状態を実現できないか

といったことが課題であったりします。どうすれば、ペア内だけでなくペア間のコミュニケーションも高められるでしょうか。

文化+ツール

後に紹介しますが、ペア間のコミュニケーションにも特化したビデオ会議ツールは既に世の中に存在します。しかし、ツールだけでなく、ペア内だけでなくペア間でもコミュニケーションを取ることが大切であるという文化をスクラムチームに根付かせることが大切です。

そういった文化を根付かせる方法は工夫次第です。ペア間のコミュニケーションの重要性をふりかえりの議題に挙げてみたり、日々の朝会で呼びかけたりすることもできるでしょう。リモートペアプロにおける Working Agreements をチームで考えるのもいいでしょう。あるいは、各ペアがコミュニケーションを取る時間帯(ランチミーティングや15時のおやつ休憩など)を明示的に設けるなど、文化を根付かせる方法は様々です。

ペア間のコミュニケーションに特化したビデオ会議ツール

ペア内だけでなくペア間のコミュニケーションも重要だと、スクラムチームが気付ければ、あとはどうやってリモート環境下でもその状況を実現するかです。私が知っている限り(使ったことのある限り)では、 ZoomPragli というツールがその状況を作るのに適しています。

Zoom には、「ブレークアウトルーム」という機能があり、ホスト側が任意の数だけルームを作成してビデオ会議の参加者をそれらのルームに自由に割り当てることができます。ペアプロの数だけルームを作成すれば、各ペアをそれぞれのルームに割り当てることで、ペア毎にルームを分けられることができます。また、ホスト側が全参加者に「共同ホスト」という権限を割り当てることで、各参加者は自由にルームを移動することができるようになり、ペアを超えてルームを自由に行き来できる状況をリモートでも再現できます。

Pragli というツールでも、自由にルームを作成したり各参加者が自由に部屋を行き来できるので、ペア毎にルームに入ったりペアを超えてルームを行き来するようなことができます。

さらにPragliでは、ホスト権限を持っていない各参加者でも自由に部屋を作成できたり部屋の行き来ができるので、Zoomよりも参加者主体で自由にコミュニケーションの取り方を工夫することができるようになります。その点では、個人的にZoomよりもPragliのほうが若干リモートペアプロに向いている印象です。また、地味に便利なのが、Zoomでは誰か1人しか画面共有をできませんが、Pragliでは複数人が同時に画面共有を行うことができるので、ナビゲーターが参考情報を共有しつつ、ドライバーがそれを見ながら実装を進めるようなこともできます。

Zoomで普通にペアプロはできるけど、少し不便だなと思うようなことがあれば、試しにPragliを使ってみることをお勧めします。

とはいっても、どちらのツールにも個人的に大変お世話になっていますし、どちらも便利です(笑)

まとめ

個人的な、リモートペアプロにおけるツール選定の観点は、以下の通りです。

・ルーム(ビデオ会議の場)をペア毎に分割することができるか
・誰もがルームを自由に作成できるか
・誰もがルームを自由に行き来できるか(ペア間のコミュニケーションに
 適しているか)

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