リアコ、なのか?

「リアコ」という言葉の意味を、ネットで検索してみた。「推しの芸能人に、リアルに恋する」ことを略しているらしい。

 五年くらい前まで、そこまでハマるような芸能人はおらず、ただぼんやり生きていた。
 だが、あるドラマで、すっかりハマってしまった。
 それは、「おっさんずラブ」の牧くん。林遣都くんが演じていた。
 春田さんを一途に愛す、切ない牧くん。
 今から考えると、牧くんにハマっていた時の私は痛々しかった。牧くんにハマりすぎて、牧くん=林遣都くん、という認識になっていたのだった。
 おっさんずラブ関係のグッズやら、DVDを特典目的で買い漁り、イベントに応募して外れ、当選した人たちのTwitterを見て呪っていた。
 また、一般のファンのノリの濃さにドン引きした。自分たちを総称する呼び方で、Twitter内で集まる状況が怖かった。
 そして、劇場版は近隣の映画館ですぐには上映されなかったため、少し離れた市の映画館の付近のホテルを取り、三日間映画館へ通った。今、考えると、ほんとにどうかしてたとしか思えない。
 また、林遣都くんが主演をする舞台のチケットが取れたので、観に行った。このあたりで、ふと気づいた。
 もしかして、私は牧くんが好きなのであって、林遣都くんが好きというわけじゃない。
 劇場版も、おっさんずラブの主人公、春田さんと牧くんの結婚式ではなかったので、内容に感動はしたものの、それを見せてほしかったと思った。
 そして、おっさんずラブに見切りをつけ始めたのは、林遣都くんが牧くんを演じるということを拒絶してるという噂、続編は春田さんこそ主人公であるが内容も相手役も全然異なるものになるということだった。
 それでも、続編は好きな俳優さんが出てるということもあり、最後まで観た。ラストシーンで、は? と、なった。
 そして、決定打は、林遣都くんと大島優子さんの結婚だった。それに伴って、林遣都くんがAKB好きで片っ端から声をかけてたとかいうのもネットの記事で見た。実際、大島優子さんと付き合う直前まで、付き合ってた人も元AKBだったから、ネットの記事もそこそこ当たってるのか? とも感じた。
 事実かどうかは知らないが、牧くんを演じていた人なのに、ものすごく落胆した。芸能人に夢を見過ぎていたんだと思った。
 そして、去年か今年の初めくらいに、春田さんを演じていた田中圭さんと林遣都くんが番組で共演するという番宣を見た。
 何だそれ! 今まで共演NGとか言ってたのに! と思い、腹が立った。

 このあたりで、牧くんに対して、私は「リアコ」なんじゃないかと思って、相当ヤバいし、このまま行くとまずいと考えた。

 そして、すっかり芸能人に嫌気がさした私が次にハマったのがハイキューだった。
 同僚から、「すごく感動する」と勧められてはいたが、おっさんずラブの痛手から、しばらくは何かにハマるということを避けようとしていた。
 しかし、コロナ禍で色々と気分が塞ぎがちだったこともあり、ちょうど放送されていたアニメを観た。見事に、ハマった。
 特に、主人公の日向翔陽くん。
 バレーをやるには、身長がハンデになる。しかし、彼はそのハンデをものともせず、自分の努力で道を切り拓いていく。
 電子書籍でコミックスを全巻揃え、アニメも配信で観て、グッズも買い、散財した。
「グッズを買うことで、アニメの製作費用に貢献できる」とせっせと買った。
 しかし、続編は、映画で作られることになった。この内容を映画で、たかだか二時間で出来るのか?
 私が期待していたことと違う。
 そう思って、離れることにした。

 自分が気に入らないからって、文句を言うくらいなら、そのジャンルから離れた方がいい、というようなことを、どこかで読んだことがあるからだった。
 おっさんずラブは、離れられなくて荒れたあげくに、嫌いになってしまった。ハイキューは、そうなりたくなかった。

 そして私は、またぽっかりと心に穴が開いたようになっていた。
 毎日、面白いこともなく、どんよりした心地だった。
 そこで、前から観ていた「ラヴィット」という番組で、「だてさま」と呼ばれていた彼を知った。
 宮舘涼太くん。なんか不思議な雰囲気だった。なんで、歳上の川島さんから「だてさま」なんて呼ばれているんだろう?
 そして、同じ曜日に隔週で出ている「さっくん」、佐久間大介くん。カワイイ!
 調べると、だてさまとさっくんは同じ「SnowMan」というグループだということを知った。
 同僚(ハイキューを教えてくれた人)に話すと、「YouTubeとかあるから観るといいよ」と勧められた。早速観て、ハマってしまった。そして、愉快なだけじゃなくて、ダンススキルも高くて、かっこよかった。
 それから、滝沢歌舞伎Finalのライブビューイングも観に行き、すっかりSnowManのとりこになってしまった。
 それから、ネットで検索して情報を集めたり、Twitterでファンの方々がツイートしてることで、彼らを詳しく理解することができた。
 その後、ファンクラブにも入った。五月から行われたドームツアーは、抽選に落選して行くことができなかった。けれど、ほとんどの人が落選するということを知ったので、諦めがついた。また、参加できたファンの方々が、Twitterでライブレポしてくれるおかげで、楽しむことができてよかった。

 そして、YouTubeにSnowManのチャンネルがあるおかげで、毎日彼らの映像が観られる。活気がもらえる。
 また、SnowManにハマっていることを書いて、文章講座の同期会で発表した。
「年齢を重ねてくると、やっぱり支えが欲しくなるから、推しという所在があると、元気に過ごせる」、「星崎さんが元気なのは、そういう存在があるからなんだね」とも言われた。

 SnowManについては、リアコにならないように気をつけている。
 あまり踏み込み過ぎないように、冷静になって応援しようと考えている。




 ※つい先日。「おっさんずラブ」の続編がまた始まるということを知った。しかも、林遣都くんが、牧くんを演じるという。牧くんのその後が知りたいけど、作品と林遣都くんに対して、かなりの不信感、そして今は名前を見るだけでも嫌悪感があるので、モヤモヤしている。
 ハイキューの続編の映画については、監督・脚本が満仲勧さんで、YouTubeで観た予告がとても綺麗だったので安心した。
 地元の映画館で上映されることも決まったので、初日は全ての上映時間を制覇したいと思っている。