柔軟な対処に大切な予想と想定

よくお話しするのですが人間は意識と無意識、2つの思考傾向を持ち、
両者の違いはいろいろありますが大きな違いの1つは想像力にある。

無意識は目の前にある物事、あるいは学び経験した過去の物事を認識し、
それに沿って思考することしかできない。

ですが意識はあるきっかけから今この瞬間にはない何かを想像することで、
ないものをあるものとして認識することができる。

例えば未来を想像する、予定をたてるとか当たり前にやりますけど、
これは大抵の無意識的な側面しか持たない生物にはできない、
人間特有の極めて特殊な性質であるわけです。

人間は無意識という目の前の物事をよりうまく認識し、
言動等に変換する側面と意識という想像を用いて、
ないものをあるかのように考え先を見据える側面。

2つの思考傾向を自身の中で衝突させたり統合したりしながら、
最終的に1つの意志を形作り言葉を紡いだり行動したりしていく。

で、この想像することで思考する能力を最大限活用するうえで、
予想と想定の2つを別けることが大事だと考える。

予め想う(想像する)と書いて予想、想いを定めると書いて想定となる。

ある知識や情報、経験、きっかけからこれから先に起こること、
今の自分には認識できてないけどそこにありそうな何かを、
予め想像しておくのが予想という考え方。

先にお話した未来のことを予め想像しておくこともそう。

他にも例えば肉眼では見えない病原菌という概念は、
電子顕微鏡が開発される前から予想してる人がいた。

認識できる範囲の物事から予めあり得そうなことを想像し、
知識や情報として形をもたせていたわけですね。

と、このように予想することで今現在には存在しない、
あるいは認識できない様々な可能性を人間は見出すことができる。

ですが意識には1度に1つのことにしか向けられないという特徴があります。

故に意識的に物事を考えそれを実際の行動にまで落とし込もうとすると、
複数の予想から1つ選びそれを現実だと、現実にすると定める必要がある。

それがつまりは想定するということです。

目に見えない何か(病原菌)があるという予想が正しいものであると定め、
不完全だったり無駄が多かったりはしても対処法まできちんと定義し、
被害を最小限に抑えていたような時代もあった。

予想した可能性を想定することで具体的な何かに落とし込む。

人間という種全体で見ればそのようにして発展してきたのであるし、
個人として変化成長するにも規模の大小はあれど、
予想と想定という流れを辿っているのだと考える。

で、ここからが本題であり重要なこと。

繰り返しになりますが人間は1度に1つの物事にしか意識を向けられない、
それは言い換えればある時点において主観的な真実は常に1つであり、
加えてそれ以外のものを間違いだとして排斥する傾向がある。

例えば自分が正しいと思うことに都合が良い知識や情報ばかりに触れ、
それ以外はないもののように扱ってしまうようになる心理傾向、
確証バイアスは有名なので聞いたことがある人も多いでしょう。

想定するということはつまり複数ある、時に矛盾するような予想から、
1つを意識的に定めてそれを正しいものと暫定的であれ定義すること。

ですが、どれだけ精度が高くとも所詮予想は予想であり、
正しいこともあれば間違っていることもある、
部分的に正しかったり間違ってるということもある。

ある予想が絶対に全て正しいということはそうないのですから、
現実に沿わない部分は柔軟に対応したり誤ってることが確かになれば、
想定の誤りを受け入れてまた別の方向性を模索することも大事。

そのために複数予想する、あらゆる可能性の想像が大事なのですが、
先に話したように人間は1度に1つのことしか意識することができず、
1度正しいと定めたことを容易に撤回できない性質を持っている。

そのため1つの予想を想定してしまった時点で予想と想定が統合され、
1つのものとして考えられるようになり他のあらゆる予想、
可能性はないものとして扱われるようになってしまう。

故に間違っていることが確実であらゆることがうまくいかなくても、
予定や方針を撤回、見直しできずどんどん悪い方へと進んでいったり。

予想できてたことなのにそれを誤りだと退けてしまったことで、
いざそれが正しいものとして現実になるとうまく対応できず、
マイナスの結果等を引き寄せてしまったりといったことがおこる。

なので、予想と想定はきちんとわけて考えるのが大事に思う。

未知に対して1つの意志を形作りそれを言動へと変えていく過程で、
予想と想定はどんな人間であれ大なり小なり行っていること。

その際、予想は予想として例え矛盾等していても可能性として、
自身の中に留めておくという度量や余裕を持っておけば、
想定外のことが起こったとしても予想内の物事として認識できる。

柔軟に対応できる可能性が高まると思うのです。


では、今回はここまでです。
ありがとうございました。

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