現実的であること想像的であることはどちらが大事なのか

現実的と想像的の大事論はいつでもいたるところで見られるもの。

例えばビジネスの分野であれば合理的にきちんと現実を把握し、
安定したビジネスを構築するのが大事とする考え方がある。

と同時に創造性を発揮しイノベーションを起こし、
他者(他社)に先んじた結果を出すのが大事との考え方もあります。

どちらがビジネスにおいてより大事となるか?

結論から言えばそもそも役割が違うしどちらも大事です。

安定したビジネスを運営することは長期的に繁栄していく上で重要、
土台のもろい家が崩れやすいようにビジネスもまた同じ。

ただ、安定は現状が現状であることが前提としてなければならない、
安定とは言わばシステムであり過去の延長線上にあるからです。

過去そうだったからこれからもそうなるだろうという前提の元、
一定の成果をあげるシステムが合理的に構築運用されるからこそ安定する。

逆を言えば過去そうだったからという前提が崩れた時、
安定とは必ず崩れるものなのです。

崩れるとは言っても実際には一気に崩れ去ることはそうない、
大抵は段階的に崩れていくもの。

例えばライバルとなりそうな企業や革新的な技術等が生まれて、
徐々に認知度を上げていき影響力を発揮することで、
自身の影響力等が相対的に徐々に下がっていくとか。

何にせよ言えるのは前提が崩れはじめた時に何も対策を講じないと、
徐々に安定は崩れていくものということ。

そして、前提が崩れたはじめた時に現実的な考え方は役に立たなくなる、
現実そのものが揺らぎ始めたのだから当然のことです。

故に、過去そうだったではなく未来においてどうなるべきかが大事になる、
ようは想像的に創造性を発揮することが求められるようになります。

ようは、現実的というのは過去から現在を見るものであり、
想像的とは未来から現在を見るものだということです。

重要なのは今自分が置かれている状況、あるいは出したい成果などは、
どちらの影響をより受けているかをきちんと把握することで、
その時々に応じて両者を使い分けることにある。

これをうまくやっていたと考えられるのがビジネスの分野であれば、
アップル創業者のスティーブ・ジョブズさんでしょう。

ジョブズさんはイノベーターとしての側面が強調されることが多く、
実際にその当時では画期的なアイディアの数々を打ち出している。

ですが、特筆すべきはそのアイディアがきちんと形になったことにある。

例えばパソコンを小型化するというアイディアを打ち出し、
1977年に当時初のマイクロコンピューター『AppleⅡ』を発売。

しかし、それを実際に形にする技術者の方達は無理だと考えていた。

それまでそんな小型化の成功例もなければ、
そもそも考える人すらいなかったからです。

だけどジョブズさんは絶対にできるからとまったく妥協しなかった、
で、実際にやってみたらほんとにできたわけです。

つまり、パソコンの小型化は当時の技術であっても十分に現実的だった、
ジョブズさんのアイディアは決して想像の中だけのものではなく、
現実をきちんと反映させたものだった。

ようは想像に対して現実的だったわけです。

大抵の人が現実的なものだけを見て無理だと判断する中で、
ジョブズさんは未来をまず想像し現実をそこに照らし合わせることで、
人が現実的であるが故に乗り越えられない壁を突破させたのですね。

それがアップルという会社を成長させるために必要なことだった。

ただ、おそらくその成功によって現実的な側面が薄れおろそかになり、
想像的な面がはやっていく傾向が見られる。

その証拠にAppleⅡの発売以降は販売不振が続き、
社内での独断専行も目立ちはじめ様々な人間関係が悪化。

最終的にアップルを追い出される状況になります。

ただ、ジョブズさんが去った後も結局誰もアップルを立て直せなかった、
皆が同じようにイノベーションによって急成長した過去に縛られ、
安定した現在を築くために未来にどうあるべきかを考えられなかった。

アイディアベースで商品を作成販売したもののどれも中途半端で終わり、
プロジェクトの数だけが膨れ上がっていくという状況を招いた。

そんな時にジョブズさんが再び戻ってくるわけですが、
最初にやったことは何か新しいものを作ることではなく、
やるべきことに集中するために無駄を切り捨てることだった。

多くのプロジェクトを中止し大規模なリストラも進めることで、
必要なことを必要なだけ行い経営を安定させたのです。

そして、安定した土台のもとに徐々にイノベーションも起こしていく、
iPhoneやiPodといった画期的な商品の数々を開発し、
また一気に急成長を遂げることになるわけですね。

この流れをざっくり見るとまず想像性を駆使してイノベーションを起こし、
だけど現実性を発揮できず手痛い失敗を一度は経験しますが、
その失敗から学び想像的であることと現実的であることを両立させた。

個人的にジョブズさんの凄いと思うところはこのバランス感覚、
現実的でありながらだけど想像的であることも失わない、
2つの側面を必要に応じて使い分けられる能力にある。

このバランス感覚はビジネスに限らずあらゆる分野において、
見習うところが多いと思ってます。

人は現実から逃れることはできない、
現実的であることは避けれられない。

現実は過去からの延長線上にあるもので故に過去がしっかりしていれば、
現実的である限り安定した状況を構築することができる。

だけど、人間は意識を獲得した時点で未来を想像できるようになった、
であれば未来から現実を引っ張っていく人が出現するのは道理だった。

未来から引っ張られた現実は過去の流れから切り離され、
まったく新しくより大きい流れを形作っていくことになる。

そんな新しい流れに順応するためには過去からではなく、
未来においてどうあるべきかを考えれるように、
自身もまた想像的であることが求められるのですね。

そうして新しい流れの中で新しい結果を自ら生み出していき、
新しさを過去とすることでまた安定した状況を作る。

そうして人生という流れを上手く乗り越えられるようになってはじめて、
時に自らが小さくても新たな流れを形作れるようになって、
誰かや社会、世界に影響を与えていく側になるのでしょう。

と、いろいろお話してきましたがとりあえず現実的と想像的は状況により、
どちらも必要不可欠だということは覚えておいてもらえればと思います。

そうすればその時々に応じてどちらの選択肢も否定することなく、
必要な決断を下せるようになると思うからです。


では、今回はここまでです。
ありがとうございました。

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