細分化する西洋的価値観と包括する東洋的価値観

西洋と東洋の価値観の顕著な違いは何かと考えると、
個人的には細分化と包括性の違いだと思っている。

例えば医学なんかはわかりやすいですが西洋医学は人体を細分化し、
箇所ごとに適切な処置を行うことを中心に考えられている。

逆に東洋医学は人体のみならず精神等も含め全てを1つに包括し、
全体の調和を取っていくことで病等を癒していく方向性の考え方をする。

現代において世界的に主流となった西洋的価値観から派生した科学も、
全体的な事象を認識できるレベルまで細分化し観察、データを集めて、
精度の高い仮説や論理を生み出すという方法をとっています。

元々は哲学として1つの学問によって世界全体を見ていたものが、
○○学というようにどんどん細分化されていくようになり、
研究等が進みその1つがさらに細分化されていくようになった。

あらゆるものを細分化し観測できるまで単純化していきながら、
この世界を紐解いてきたのが西洋的な価値観。

あらゆるものをありのまま包括し全体を調和させることで、
あくまでも全体像を見通そうとしてきたのが東洋的な価値観。

ざっくりとそのように言えるでしょう。

そして、2つはどちらかが優れているわけでも劣っているわけでもない、
どちらも等しく大事なことで必要な価値観。

言い換えれば細分化するのも包括するのもどちらも不完全だと言える。

細分化しすぎれば全体像がぼやけますし、
全体像ばかり見れば細かな点がおろそかになるからです。

故に細分化し解像度を上げた要素を最終的により広い像として統合する、
この2つを交互に行き来することがより世界を鮮明にする、
引いては成せることを増やしていくのに重要だと考える。

天才の代名詞であるアインシュタイン博士の相対性理論はその典型例、
バラバラだった多くの力の法則をより単純な計算式へとまとめた。

細分化し鮮明になった力の働きをより広い像として統合した、
西洋的価値観と東洋的価値観がうまく合わさり全体の解像度を上げた。

そこにアインシュタイン博士の天才性、偉大さが表れているなと思います。

と、ここまで2つの価値観についてざっとお話しましたが、
その前提を踏まえて現代の人間社会を見るとどちらかと言えば、
西洋的な価値観によって回っていることがわかる。

例えば個人主義は人間の総体である社会を個人レベルで細分化し、
個々人それぞれがそれぞれの幸せを追求することを目指した。

しかし人間個人ではただ生きていくことさえままならない、
どうあっても社会という人間の総体の力を借りざるを得ない。

だから時に個々人の欲求等を制限し全体としてより良く機能するように、
妥協点があろうと、あるいは個人の範疇を超えた理想なり信念なり、
包括された全体像へと統合する必要があった。

個々人の意志をより大きな像としてまとめ上げる必要があったのに、
個人主義、あるいは自由主義という細分化する思想のみをひたすら追求し、
全体を包括するという視点を放棄し続けてきた。

故に西洋的価値観の中心地、アメリカ社会が全体として混乱し続けており、
その影響を多分に受けてきた日本も社会全体が徐々に劣化していく。

今だけ金だけ自分だけという言葉がよく言われるようになりましたが、
細分化を追求する西洋的価値観のみに染まればそうなるのは必然だった。

で、そのことにアメリカや西洋諸国は気づき始めているように思う、
だいぶ前に大企業が哲学者を雇い始めたニュースがあったりするように、
リーダー像が外見的なものから内面的なものに変化する兆しがある。

個人がどこまでも表面的な欲を追求することが最善なのではなく、
全体的な調和を大事にしようとする傾向が表れ始めてるように思う。

逆にそういう東洋的な調和の価値観を捨て西洋的な細分化の価値観を、
どんどん取り入れて西洋の混乱の後追いをしてるのが今の日本でしょう。

西洋は今、細分化し続けた結果の混乱を乗り越えようと、
全体を調和させる包括的な思想を取り入れることで、
両者のバランスが取れたちょうどいい地点を模索している。

それをよしとしない勢力との摩擦がありながらも少しずつ良い方向へ、
進んでいこうとする意志が育まれているような状況にあるように思う。

そういう本質を捉えず表面的な細分化の価値観をひたすら取り入れて、
東洋的価値観を捨て去って混乱しているのが日本だと言い換えてもいい。

日本は西洋の後追い国家みたいな表現がよく使われますが、
これは極めて的を射てるなと思う。

社会の混乱から安定を目指すまでの過程がまさに後追い。

そして、この傾向は社会全体が何らかの衝撃を受ける、
大きな混乱でも起こらない限り転換は難しいでしょう。

故に、せめて個人として2つの価値観のバランスを取ること、
細分化し徐々に要素要素の解像度を上げていきながら、
全体として統合し包括する地点を見出していく。

そういうバランスの取れたあり方を何であれ模索することができれば、
心の安寧を得られるでしょうし成せることも増えていくと思うのです。


では、今回はここまでです。
ありがとうございました。

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