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キャリア的視点222 -日本社会のハンコ文化-


毎日ブログ 222日目(2020/10/7)

テレワーク移行の障害

日本はまた過渡期にあります。
菅政権に代わって既に様々な施策が発表されましたが、中でも私の目を引いたのは「判子」撤廃の動きです。

前内閣からの「働き方改革」の一部でもあるテレワーク移行も、コロナの感染拡大防止の観点から、誰も想定していない急速な速さで広まりました。ですが加速が急すぎて多くの企業が対応しきれないままコロナの落ち着きと共にテレワークを解除し、旧来の出社スタイルに戻りつつあります。

先日私はテレワーク移行は焦らない方が良い、と記事に書きました。詳細はリンク先で見ていただければありがたいです。

コロナの混乱が落ち着き、準備の整った企業から改めて移行すれば良いと考えています。
私自身はテレワーク推進派です。焦ってはいけないと唱えているだけで、準備が整えばバンバン移行してくのが良いと考えています。
接客の現場を始めとするテレワークにできない職種を除いて、変わっていって欲しいと感じています。
企業は経費削減、従業員は時間の有効活用などメリットを多く感じるからです。

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ただ「今回のテレワークの解除の背景にはどんな事情があったのか」と言えば、
「決裁時の判子をもらうために出社する」
という話をよく耳にしました。
他にも多々あるのでしょうが、その流れで、冒頭の様な、政府主導による「判子撤廃」の流れが起きたわけです。問題を一つづつ解決していく訳ですね(^^)

クールビズ推進のためにアロハを着た職員がいても民間にはなかなか響かなかった施策もありましたが、今回の判子撤廃の動きはどうなのでしょうか。


実はかなり前から検討されていたのです

話は10年前に遡ります。
当時私が勤めていた企業において、稟議書決裁の簡素化を狙って、判子を電子化しようというプロジェクトがありました。広告宣伝課と言う直接関係のなさそうな部署にいた私にお声がかかったのは、たまたまその責任者と直前のプロジェクトで一緒にやっていたからにすぎませんが、今振り替えてみれば10年前にしては画期的なプロジェクトだったのではないかと思っています。

稟議書ですから、複数の役員の押印が必要になるのですが、いかに判子が押された書類を短時間で回せるか、業務のスピード感を増すという考えがプロジェクトの発端でした。役員が支店を巡察に回っている間は、どうしても決裁が止まってしまうのです。

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とは言え、結論を言えば上手くいきませんでした。とにかく判子をデジタル処理で押す、印刷した際に判子の印影を書類に残すと言うことに執着してしまった事が原因だと、今になって思えば気付きます。その印影データを盗まれたら「なりすましが起こり得る」としてプロジェクトはとん挫したのです。
その数年後に私が転職をしてしまったので、現在その会社がどのようにしているかはわかりません。

なお愛知県に本社のある印鑑メーカーのシャチハタは、Windows95の時代からデジタル判子の開発をしていたとの事です。シャチハタに依頼すれば10年前に解決していたんでしょうね^^;


判子文化は浪費に繋がる

改めて現在の話に戻りますが、決裁書の押印一つのために出社するというのは、何という時間と経費の浪費なのかと思ってしまします。

テレワークが始まる前でももちろんその手の時間の浪費は多々あります。先の例の様に稟議書決裁も含めて、決裁者が出張などでいないと場合によっては数日待たされることもあり得るのです。時間の浪費の最たるものです。
だからと言って、電話で承認をもらって、
「判子は机の引き出しに入れてあるから押しておいて~」
「成りすまし(刑法159条:私文書偽造罪)」に成り得ますので、やってはいけません。

と言うことで菅新内閣の指示として出されたのは、テレワーク移行を妨げる「判子」文化の撤廃に向けた実証実験からでした。
全てのアナログがデジタルに取って代わられるものではないと思っていますが、判子文化はデジタル化することによって、仕事の形態は大きく変わっていくのだと思います。

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繰り返しますが、私はテレワーク推進派です。テレワークに移行するためには、従業員個々人のキャリア自律が必要なのですから、推進のためにもキャリア的自律を促していきたいのです。
キャリア自律とは、自分自身のキャリアを管理監督できることを言います。主体性を持って業務に取り組むことができる必要があるのです。

判子撤廃の動きと同時進行で、従業員一人一人のキャリア自律を成すための施策も必要なのではないでしょうか。


まとめ

現在はテレワークへの過渡期と最初に書きましたが、日本のキャリア開発制度も過渡期です。
日本型雇用システムが崩壊し、キャリアもニューキャリア理論;プロティアンキャリアが台頭を始めています。
プロティアンキャリアではキャリア自律によって個人の心理的成功を求めていきます。
そしてテレワークへの過渡期はニューキャリア理論にも絡みます。相互関係があるのです。

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冒頭のリンク先でも書いているのですが、テレワークを焦ってはいけないというのには理由があります。
キャリア自律をできていないと、上司や同僚の目の届かない場所でのテレワークは、環境に対する不安や不満を募りやすくなります。結果業務もギリギリになり… 悪循環に陥りやすくなるのですね。
ジョブ型雇用に移行すると転職が増える事のネガティブな要因になりかねません。

心理的成功に向けて個々人のキャリア自律を促して、時代の流れの一つであるテレワーク・業務委託などのジョブ型雇用への変化に対応していきましょう(^^)


最後に余談ですが…

秦の始皇帝より以前の時代から、人は『印』を利用してきました。玉璽(ぎょくじ)と呼ばれるものもその1例です。責任者の責任を明確にする為の証です。

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そのため権力の象徴として偽造や横奪をはじめとした陰謀の対象でもありました。
これからは印がデジタルへと形を変えていきます。それでも結局はデジタルでもコピーは起こり得ます。きっと犯罪とのいたちごっこで進化をしていくのだと推測できますね。
最後に必要なのは、コンプライアンスなどの使う者の心理的自律、つまりキャリア自律なのだと思うのです。
自分を磨いて行きましょう(^^)



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