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#128 イギリスの、そして中高年のバレンタインはこんなもんだった



「今日は12日だっけ?」と訊いたのは夫。

「ううん、今日はもう14日だよ」そう伝える。内心『おいおい‥‥』と言いたかった。

私たちは週末に2泊でコーンウォールにプチホリデーに来ている。

民泊でファームコテージを選んだのだが、決め手は庭のホットタブ(家庭用ジャグジー)だった。
温泉が恋しい私が、露天風呂の疑似体験をするためだ。
なかなかどうして、雨の中でも風の中でも、40℃のホットタブのなかに体を沈めると、露天風呂の温かさを十分に思い出せた。ジャグジーをOFFにして静かにしっぽり浸かっているほうがなんだかよかった。

夫の日にちの感覚がない会話は、2泊して今朝ここを出るという朝のことだった。


コテージを後にしばらく走った車の中で、もう耐えきれずに言ってみた。
「今日はバレンタインズデーだね」

「あ、ほんとぉ?」と夫。

『えっ⁉』

この週末、一緒に歩いた街中で気づかなかったんかーい?
それはそれはどこもかしこもバレンタイン仕様だっただろが‥‥

昔ながらのスイーツショップ(日本の駄菓子屋さん的存在)ですらこうよ
ファッジショップでも。何のためにまっかな薔薇の花びらを散らせてあるのよ~?

第一、スーパーマーケットの入り口に目も覚めるような深紅の薔薇の花束がびっしり並んでいたでしょうが‥‥

あれに気づかなかったなんて、ほんまにどうかしているわ。
見ようとしなければ見えないんだな‥‥

そもそも、このホリデーは、最後の日がバレンタインズデーだってこと、私は意識してたよ‥‥


イギリスで Valentine's Day というのがどんなものかといえば、
男性が妻や恋人に花(定番は真っ赤な薔薇)やチョコレートなどをプレゼント。そして女性のほうはいつもよりちょっと豪華な料理を作ってワインやシャンペンを用意する(あるいは男性が買ってくる)感じかな。
双方がちょっとだけ意識して特別に過ごすという、そんな日という気がする。

子どもたちが家に居た時はそんなに特別に祝うような雰囲気もなかったから今更といえば今更だ。うんうん‥‥

だけど今は夫と私ふたりだけの生活になったんだよ。
しかも、せっかく遠出して日常から離れたというのに、バレンタインにつながる週末って意識がなかったんかい‥‥

今更、ラブラブなふたりを演じようというのでないのよ。歩み寄ってふたりの時間を大事にしようよ、って思っただけなんだけど‥‥

ここまで男と女の感じ方が違うと、やはり驚きでしかない。

そうだ、先日のピリカさんとMarmaladeさんのすまいるスパイスでMarmaledeさんも言ってたのはこの回↓

「男と女は違う惑星からやってきたと思えばいい」という話。

ラジオ聴いてて私も「そうだよそうだよ」って思ってた。

John Gray著、"Men Are from Mars, Women Are from Venus" (男は火星から、女は金星からやってきた) が出版されたのは1992年らしいけれど、私はイギリスに住むようになってから読んだので、その10年ほど後だったと思う。

もう20年も前のことだ、なぜか私が憶えているのは、『奥さんの何気ない日常のおしゃべりをご主人は自分のコンプレックスを突かれたように受け取りがち』という部分。
例えば奥さん「お隣のご主人新しい車に乗ってるね」
と(現象を)言っただけなのに、
ご主人は「妻は、僕のことを新車も買えないうだつの上がらない人間だといいたいのか」と受け取る‥‥そんなだったと、私は記憶している。
この記憶もめちゃくちゃ私の色に塗り替えているのかもしれないのだが‥‥

とにかく男と女は違って当たり前なのだ。
ちがう惑星で生まれているのだから、ということで無理なく受け入れよう。

バレンタインの想いは肩すかしだったけれど、
無事にホリデーを済ませて、我が家に帰ってホッとしている私たちがいた。
歳をとった証拠だ。

夕飯は蟹とリコッタのカネロニ。

ボソっと「Happy Valentine's day♪」と言ってみた。

抑揚のない「Happy Valentine's day」が返ってきた。

ワクワクもドキドキもなかったけれど
まあ私しあわせ、っか‥‥


カネロニを飲み込んだ。





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