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心鏡の湖 詩集『魚の骨が刺さりまして』

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心鏡の湖の詩をぶっ込むだけのマガジン。俳句を含みます。
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2021年4月の記事一覧

【詩】感性の毒

Twitter眺めていたら体が硬直したため、スマホから。 ここで世界が見えても、触れることはできない。私がいるのは独房で、大きなハエが嫌味のごとく飛び回る。日の光は何も語らず、歯並びは愚痴ばかりこぼす。風呂場に浮いた父親の湯垢を捨てては、空虚な人生だと頭を抱える。目が覚めるごとに老いていく。墓は元気に一歩を踏み出す。

【詩】何もない

何もない あるにはあるが、書くほどのことではない 私にとっては何もない あったらあったで、それはどうでもよかったり、傷ついたりする 退屈が続くと、それはそれでつらい そんなとき ちょっとした時間つぶしとして 自分との静かな対話として 詩を書いてみる それらしいことが書けていればそれでいい 日記や日誌ではないから 誤字も展開の破綻もいいダシになる どれだけ貧しかろうが、苦しかろうが、言葉のコース料理を好きなだけ堪能できる どんな味かはわからないし、味の保証はできない

【詩】お口直し

お口直しに麻酔をしておくよ 痛いのは嫌だもの ティラミスにクロワッサンとかどうかな 幾層にもなっていて見栄えがいい 甘みだけのお菓子だと食べていて疲れるからね 良きも悪きも人生 許すも人の良心 温かい紅茶でも飲んで 満足したら寝ていればいいさ *** 補足 紅茶飲めない それと何でしょうね、しばらくたって詩のスタイルが変わったかと思います。前は理屈っぽさがありましたが、かなり砕けて、感情と語感に寄り添った雰囲気になっているようです。

【詩】無力であること

無力であること 逃げてきたこと 立ち止まってみると、知らない場所にいた うなだれた 今までの過ち 後悔はしていないが、苦しくなる 地図もコンパスもない あるのはパソコン 動画とゲームだけできるパソコン おなかの張り めまい 頬杖をついて うなだれる 社会であれ創作であれ無力であること 苦しみから逃げてきたこと 首凝りと口内炎はにっこり笑った 今ここにいること 疑念 そして、隠された生き地獄