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映画「銀魂」この愛は永遠じゃ足りない

映画「銀魂ザファイナル」を観てきました。
最初から最後まで、どこまでも銀魂らしくて最高でした。
特典がA4サイズなんて知らなかった。愛が大きすぎてカバンに入らないよ。

※ネタバレを含んでますのでご注意ください

高杉の「先生…」と銀時の「…っ!」の声で泣いた

戦闘シーンのかっこよさと、ギャグのテンポの良さはもちろんなのですが、登場人物たちの表情や行動の細かさに、ああ銀魂って最高の人情ものだなと改めて感じた。

序盤、戦う神楽と新八を見つけた銀さんの「成長したな…」という顔や、
階段を上っていく途中でバランスを崩したお妙さんをスッと支える新八など、セリフのない場面にも各キャラクターの人柄がでていて、それだけでもグッときた。それだけでなく、

復活した吉田松陽に高杉が「先生…」とかけた声と、高杉がこと切れたあとの銀さんの「…っ!」の声が、突き刺さって離れない。

ずっと先生を救いたかった、そして松下村塾に帰って、また昔のように過ごしたい(その中には、彼の幼少期の話も繋がってくる)という願いを、ひとり抱えて生きてきた高杉が、迫りくる死と闘いながらやっと会えた。
そのことへの安堵だったり、喜びだったり、あるいは、親のような存在でもあったはずの先生に、子供のように甘えたい気持ちもあったかもしれない。張りつめていた糸が、少しゆるんだような「先生…」に、胸が締め付けられた。

もう一つは銀さんの「…っ!」の声。
杉田さんの芝居って、台本だと「!」しか書かれてないであろう場面がめちゃくちゃ上手い。ただ息を吸うだけとかになりがちなのに、杉田さんはむしろ息を吐いて芝居するときもあるし、次のセリフにつなげるような呼吸の仕方で芝居をする。
銀魂の過去を振り返ると、「真選組動乱編」の終盤で鬼兵隊のヘリを見つけたときの「!」だったり、1期13話のハム子の回で、戦いの末トイレから落下するときの「うわー」の直前の「…っ」の言い方だったり。
変な話、声優学校では習わないであろう表現の仕方というか。

言葉にならないセリフに感情をこれでもかと乗せてくる杉田さんですが、この高杉の死後の「…っ!」の言い方がもう…そこだけで、これまでの二人の因縁の日々というか、「酒でも酌み交わしたかった」という、もう叶わない願いなどの様々な感情を凝縮した「…っ!」だった。

アニメならではの演出も最高でした

「酒でも酌み交わしたかった」のシーン、漫画では普通の1コマになっていましたが、映画では舟に乗っていました。ここの演出がもう、高杉の高杉らしさが出ているし、紫色の鮮やかさと、二人の間に流れるなんともいえない寂しさ(酒がないという描写など)が混ざり合って、とてもグッときました。

他にも、漫画を読んだときに「ちょっと難しいな…」と思っていた箇所が、映画では補完されていて、「なるほど、そういうことか!」と思いながら泣いたりしていました。

カラのコップに水が溜まっていくように

私にとって「銀魂」は、父と子の話だと思っていて、
「よく頑張ったな」って褒められたい、大人として認めてほしいと頑張ってきた子供が、親にやっと頭を撫でてもらったみたいな。
過去に大きな失敗をしてうずくまっていた子供が、再挑戦して成功させたような。最後の松陽先生の「ああ、しかと見たよ」が最高の救いというか。

空っぽになってしまった心が、
本当に欲しかったもので満たされていく話というか。

みんな何かを得て、心の中が満たされている話だなと思っていて、
それを目の当たりにできて、「ああこれが私の本当に読みたかった物語だ」と。

箱の中にストンとおさまるようなラスト

公式ファンブック「広侍苑」で作者が書いていましたが、彼らは背中を散々見せてきたので、読者のところに帰ってこなきゃだめだということで、こちらに向かって走ってくるラストになってるんですね。

それによって、心が満たされたあとの「これから」は一緒に。というメッセージが込められているように感じたというか、最後に抱きしめてもらったような感覚になるので、本当に大好きです。

銀魂と同じ時間を生きているなんて、幸せだなぁ。
こうして映画で見られて最高でした。ありがとうございました。

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