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世の中の争い事は全部”グリコ”で解決することにすればいいのに『地雷グリコ』

タイトル聞いたとき、地雷原みたいなところでグリコをやって人がどんどん死んでいくですゲームみたいな話?
って思ったんですよ。『バトルロワイヤル』みたいな。

そのイメージで、各賞を総ナメと言われながらも手を出さずにいたのですが、直木賞ノミネートと聞いて腰を上げました。
そして第1章の『地雷グリコ』を読んだ段階で「世の中の争い事、全部グリコで解決すればいいのに!考えた人天才じゃないのよ」という感想に大逆転し、喰わず嫌い、どころか印象だけで判断していたことを深く反省したのでした。

舞台は高校です。成瀬もそう、『死んだ山田~』もそうですが、高校生が無駄なまでに一生懸命になるバカバカしい案件ってのは、キラキラしてますよね。表題の”地雷グリコ”だって、文化祭での一等地を賭けて変異ルールのグリコをやる、という話です。
「いい大人」と呼ぶには早いけれど、大人を凌駕する知力を持ち合わせているからこそ出来る遊びを堪能させていただきました。

じゃんけん、グリコ、坊主めくり。
暇つぶしにやっていたそういった遊びに、ひとひねりの条件を加えることで、ゲームは格段に面白くなります。ただただ、これまでの当たり前のルールに従うのでなく、自分たちでルールを作っていく子どもたちの頭脳戦と、彼らが守ろうとする価値とかのアンバランスさも面白かったです。

自分の子どもについても思う事なんですが、超進学校に通ってほしいというよりも、こういう面白いヤツが自由に生きていられる学校の方に行ってほしいんですよね。最近小説に出てくる学校ってそういう感じのところが多いので、それ自体がもしかしたらファンタジーの世界かもしれないのだけれど。

繰り広げられるゲームというか、頭脳戦・心理戦のレベルが高く、複雑な密室ミステリのような図解が必要になります。こういう謎解きもあるのか、とミステリの奥深さにも触れた1冊になりました。直木賞どうなるかなー


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