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サラリーマンが竜崎に憧れる理由について改めて考えてみた『一夜:隠蔽捜査10』

なぜ、人は竜崎に憧れるのか。

多分「正しい事を真っ直ぐ言えるから」なんじゃないかと思うのです。それくらい「正しい事」を言うのって難しいことなのですよ、きっと。

サラリーマンをやってると、多かれ少なかれ日々何かを飲み込んで生きてるわけで、空気を読まずにそれを口に出せる強さがあるかどうかの違いくらいしかないんじゃないですかね。
それくらい「わかっていても出来ないこと」は多く、それに気づかずに正義の側に立って相手を糾弾することは痛い事なのだと、昨今のSNSでの何か叩きを見て思うのです。

竜崎は「正しい事」を口に出せない人たちを決して馬鹿にしたりしないし、さらには、人の話を聞いて考え方の誤りを正し、朝令暮改する柔軟性も持ってる。何よりも「正しい事」をやり遂げる覚悟もある。

最初は煙たがってた周囲が変わっていくのもそんな理由からなのかなあ。

今回は、人気小説家が誘拐されるという事件です。実のところ、これまでの作品に比べると竜崎ほかなじみメンバーの活躍が少なかった気がします。ただ、着実に家族も周囲も成長したり時を刻んでいました。お話の中では、これまた別の人気小説家(こちらはミステリ作家)がちょっと変わった形で捜査参加するという姿も見られます。
警察側の面々は、彼から小説界隈の事情や力関係、裏話を聞くことで捜査の手を伸ばしていくのですが、出版業界や文芸事情についてのぼやきが多めです。この辺、業界関係者としては別の楽しみ方も出来るんではないかと思います。

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