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オポチュニティを想って泣きました『宙わたる教室』

本屋大賞発表時には「いいなー、みんなこれからあの感動を得られるんだ」みたいな気持ちになるんです。が、今年はそういう気持ちにもならないくらいにこの『宙わたる教室』に感動して過ごしています。

来年の本屋大賞はこれになってほしい!って思ってるくらいなんですが、残念ながら発売日が昨年の10月だったので、今回の対象作品。無念。
ちなみに順位は14位です。

もともと伊予原さんは好きな作家ですし、この本についてはオビは仲野先生+信頼する本好きたちが絶賛しているのを横目で見ていたので、その情報だけで「絶対読む」だった1冊なんですけど、予想していたよりずっと良かった。
新宿の都立の定時制高校を舞台にして、そこに集まる様々な事情を抱えた生徒たちが「科学」に出会いある実験に夢中になっていくという物語。
多様性を、と言う割には、教育に関しては幼少期からの受験への煽りが大きくなっている気がしています。そして大人になったらなったで、リスキリングという新たな勉強の養成が…
そんなモヤモヤを抱えた中で読んだこの本には本当の「学び」というのが詰まっていました。勉強をしにいく場所であることはもちろんなんですが、この部活や人との交流を読んでいると「学校に通う」ということの意義についても改めて考えさせられます。
そんな訳あり生徒がとびっきりの実績を出すなんてこと、まあそうはいってもファンタジー設定だよね。と思っていると、この話にモデルがあるってこともわかって二度びっくり。諦めなければ道は拓けるんですね。

様々な人物が出てきましたが、私は登場人物の誰よりもオポチュニティに感情移入してしまって。第3章、あのシーンで泣きました。無生物にこれだけの感動ポイントもたせるなんてほんとすごいよ!
背筋を伸ばして深呼吸して頑張ろうって思えるような最高の小説でした。

こういう名作がゴロゴロ転がってる本屋大賞の投票結果もあわせてお楽しみください


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