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本屋大賞ノミネート作品には何月刊行の作品が多いのか(24年版)

今年も、本屋大賞2024のノミネート作品が発表されました。

二次投票に参加するには、全作品を読みコメントを書くという必要があります。投票書店員さんたちは未読作品の読書と順位決めに奮闘していらっしゃるのではないでしょうか。
さて、本屋大賞には「9月に発売したら有利」という噂があります。そもそもその年の本屋大賞の対象作品が11月末日の発売作品までが対象です。9月頃まではこのミス等のその年の各種アワードの対象時期とも被っているため、9月に出して12月~1月の年末年始商戦を狙う…という作戦が多いものと考えられています。
では、実態はどうなっているのでしょうか。調べてみました。
まず、本屋大賞がスタートしてから今日まで、全21回の動向です。

本屋大賞第1回~21回の作品刊行月

確かに、最も刊行回数の多いのは9月。ノミネート点数だけでいうと9月だけで15%を占めています。
もう少し内訳を見てみましょう。
これまでの本屋大賞ノミネート作品発表は21回。7年ごとに分けて内訳を表してみたのがこちら。

回数別刊行月の内訳

もともと、9月が有利と言われ始めたのは本屋大賞初期からでしたが、初期7回だけを見ると刊行のピークは8月に来ています。そして9月がピークとなるのは中期、2011年~2017年の頃でした。
で、直近はどうかというと、グラフで見ると青い部分。ピークはさらに後ろにずれて10月が刊行月のピークとなり、11月刊行のシェアが増えています。

年々投票者数が伸びたことで、今はノミネートをされるためにはある程度の規模の票数をとることが必要になっています。これに対応するために、発売前にプルーフを作成しそれを読んでもらう、ということが恒常的な動きになってきました。8月~9月頃に書店員さんにプルーフを読んでもらい、11月刊行することで年末商戦への準備+投票準備を行うというマーケティングを行う社が増えてきているということでしょう。

一方で、直近のグラフの青い部分を見てびっくりしたこともあります。なんとここ7年は12月・1月の刊行がないのです。上半期にノミネート作品を選定したら大きくこういった動きが変わって、文芸市場が活発化することになるのかもしれません。

さて、では1位となった作品に限ってみたらどうなるのでしょうか。

1位作品の刊行月シェア

1月刊行はゼロ。そして、なんと8月、9月の刊行作品がそれぞれ5点と、半分を占める結果になっていることがわかりました。
今年のノミネート作品の刊行月はこんな感じになっています。このグラフがどう変わることになるのか、興味深く見ていきたいと思います。

『黄色い家』2月

『君が手にするはずだった黄金について』10月

『水車小屋のネネ』3月

『スピノザの診察室』10月

『存在のすべてを』9月

『成瀬は天下を取りにいく』3月

『放課後ミステリクラブ1』6月

『星を編む』11月

『リカバリー・カバヒコ』9月

『レーエンデ国物語』6月


今このタイミングに「来年の」本屋大賞は始まっています。関係者の皆さん、今からの準備と面白い本のオススメを頑張っていきましょう。

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