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VRC環境課 Silly dream編

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Silly dream(3)

AM7:00 庁舎地下駐車場

「うーし、全員揃ったな。んじゃ、行くか」

バンの前に集まった課員を目で一周し、雪貞を先頭に一人ずつバンへと乗り込むと、運転席の課員に出してくれと声をかける。
現地へ行く道すがら、車内では画面越しの情報係と調査の段取りの再確認が行われる。今回の任務は通常の調査業務とは異なり、面倒な事態になってしまった場合、相手方は”もみ消す事”に手慣れている。正確な対処が求められる

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Silly dream(2)

AM10:00 病室

空腹で目を覚ますと、何度見たか分からない天井のシミが目線の先にあった。

「またここかよ...腹減ったな。」

倒れる度に担ぎ込まれるここのベッドは見慣れたもので、最早自分の家のような安心感が――いや、ない。病院臭いので正直嫌いなくらいだ。

「よっと。」

毎回ここに寝てる時は重症の場合が殆どで、目覚めた時はほぼほぼ体が動かない。しかし今回は例外らしく、目覚めと同時にスっ

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Silly dream(1)

AM12:30 給湯室

カシュ

「...うーん...これはイマイチですね。では次。」

備え付けの小さなコンロや、流し台が設置されているその小部屋は、本来は課員であれば誰でも利用する事が出来るが、訳あって来客をもてなす時以外はあまり使われない。が、何やら今日は次々と缶の蓋を開ける様な音が聞こえてくる。

「...宗真さん?」
「おや、ガメザさん。」

給湯室からなり続けていた音の主は、課員の中

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