壁を越えるには

「小1の壁」の正体は

「小1の壁」で右往左往する私は、まるで、学生の頃アパートの部屋に迷い込んできたスズメのようだった。

「小1の壁」とは、共働きやひとり親世帯が、子どもの小学校入学を機に、仕事と育児の両立が難しくなること。
私は、壁があることを知ってはいたものの、それがどれくらいの高さで、どんな材質で、どうすれば乗り越えられるのか、まったく見当がついていなかった。

「小1の壁」の最重要ポイントは、小学生の放課後の居場所確保。
保育園は19時まで預かってくれる。でも小学校は授業が終わるのはだいたい15時くらい。そこから、両親が帰宅するまでの間、どこでどう過ごすか。
息子の放課後の居場所の有力候補である、小学校内のこどもの居場所「はまっこふれあいスクール」は、預かり時間18時まででお迎え必須という情報をキャッチして、預かり時間19時まで、最大延長21時までの民間学童の申し込みを、保育園年長の秋には終えていた。
その民間学童は、いろいろと手厚い代わりに、月謝が高いので、「はまっこ」と併用することに。

「はまっこ」は、小学校内にあるので、原則としてその学校に通う児童が対象で、新1年生の利用は入学式後、という情報をママ友から入手し、慌てて「はまっこ」に問い合わせた。

入学式後だと何が困るのかというと、3月31日までは保育園に通うことができるが、4月1日からは行く所がなくなるから。夫婦共働きで、実家が遠方で頼れない我が家は、4月1日から入学式のある4月7日までの平日昼間の息子の居場所を確保する必要があったのだ。

「はまっこ」に問い合わせたところ、署名捺印した特例利用申請書を提出すれば、4月1日から利用できることがわかり、書いて出した。
そして、よかったら本番利用の前に体験しませんか?というご提案をいただいて、仕事をお休みして、息子を連れて、はまっこ体験を2度ほどさせていただいた。
(2018年には「はまっこ」から「放課後キッズクラブ」になり、預かり時間は最大19時になった。入学前の利用はどうなったのか、わからない)

そんなこんなで、とりあえず、放課後の居場所は確保できていた。
そして、3月31日までは保育園、4月1日から「はまっこ」と民間学童というスケジュールも決まったので、「はまっこ」から民間学童へ徒歩で移動する練習を、3月中に行った。

学校から学童までは徒歩5分程度。子どもの足でも10分あれば十分。
校門前と、学童前に、私と夫がそれぞれスタンバイし、息子にひとりで行き来させた。
なんら問題なし。

ふーっ、これで一安心。「小1の壁」なんて、たいしたことないじゃないか。そう思ったのもつかの間、ホントに大変だったのは、4月に入ってからだった。

・ 入学式に息子発熱して参列できず。2日目は病児保育、3日目にようやく初登校。
・ 入学式後1週間は給食がなく、毎日お弁当を作らなければならなかった。
・ 連日、学校から大量のプリントが配布され、悲鳴を上げる。
・ 授業参観、個人面談など、平日昼間の学校行事が目白押しで、たびたび仕事を休むことに。

そして、さらに、びっくり&右往左往案件が・・・・・・。
「はまっこ」から、小1の4月は帰宅時間に関わらず、必ずお迎えに来てください、というお知らせが。

な、なにーーーー?!
聞いてないよーーーーー!!

息子は15時半まで「はまっこ」で過ごし、民間学童へ徒歩移動するスケジュールだった。
練習したし、ひとりで行ける。
でも、お迎え必須というお達しは子どもの安全を第一に考えてのこと。その主旨は理解できたので、それを忠実に守らなければ! と思った私。
でも仕事が・・・・・・。毎日15時半にお迎えなんて無理だよ・・・・・・。

というわけで、民間学童の有料送迎サービスと、息子1歳半の頃からお世話になっている有償ボランティアのファミリーサポートさんにお願いして、なんとかかんとか、4月のはまっこお迎え大作戦を完遂した。

「小1の壁」は、壁ではなかった。学生の頃住んでいたアパートの部屋のような、狭い空間だった。

あのとき、迷い込んできたスズメは、部屋中を飛び回り、何度も何度も窓ガラスにぶつかりながら、出口を探していた。

結局、どうしたんだっけ?
そうだ、私が部屋にあったちりとりにスズメを乗せて、そっと外に逃がしてあげたんだった。

出口を探して右往左往していた私を助けてくれたもの。
それは、熱を出した息子と留守番をしていた私の代わりに、ひとりで入学式に参列してくれた夫。小1の4月に何日もお休みをいただくことに理解を示してくれた職場。送迎を請け負ってくださったファミリーサポートさん。新学期3日目が初登校だったのに何の問題もなくすぐに慣れてくれた息子。温かく優しく見守ってくださった学校や「はまっこ」や学童の先生方。数えあげたらきりがない。

そんなたくさんの救いの手のおかげで、ようやく外に出ることができた私。

そんな私は今、「小1の壁なんてこわくない!」というミニセミナーを自主開催している。
私のように、狭い空間に迷い込んでしまうかもしれない共働きママ・パパが、少しでも事前の準備や心構えができるように。
今度は自分が救いの手のひとつになれたら・・・・・・という想いで。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?