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ため息俳句 寒しじみ

 明日は、節分。その翌日は、めでたく立春大吉となる。
 冬を惜しむという人がいるのかどうかは知らないが、寒中と云えるのは明日までである。

 我が家の家事分担では、食材購入担当は妻である。料理担当の自分が大体の献立計画を妻に伝えておくと、材料を買ってくるのだ。味噌汁の具材もいろいろあるが、浅蜊と蜆では、リクエストする回数からするとほぼ五分五分であるが、冬場は蜆のほうが優勢である。自分の中に、寒蜆は旨いという観念がある。それにもともと身体によいと言われているのだが、寒蜆は一層薬効があるとも云われている。
 ともあれ、寒い夜にしじみ汁はよく似合う。
 だが、しじみ汁は冬の季語にはない。大体に「汁もの」は冬の季語なのであるが、蜆の場合は、春になるのだ。自分としては不満である。
 
 そういうわけで、今夜はしじみの味噌汁であった。

 
「シジミ」といえば、石垣りんさんの詩を思い出す。
妻が買ってきたシジミを水を張ったボールにざざっと移し替える時、あの一節が頭に浮かぶ。

「夜が明けたら
 ドレモコレモ
 ミンナクッテヤル」

 凄い。

 蛇足だが、我が家は朝飯に味噌汁はないので、「日が暮れたら」ということになりますが・・・。


シジミの身ちまちまと喰う夕餉かな  空茶