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ため息俳句 時刻表

 気持ちは、今月のある日、旅に出る。とはいえ、まだすべては未定。
 ぼんやりとだが、北陸から若狭へ抜けて・・・・。
 とりあえず時刻表を買ってきた。小型版の「コンパス時刻表」である。JTBの時刻表は、情報量は多いが文字が小さすぎる。携行して見る場合、いちいち老眼鏡を取り出すのは面倒だ、それなら、この「コンパス」の方であればかろうじて裸眼でも読むことができる。
 ほぼ毎年、7月の時刻表は購入している。結局旅に出なかったという年も還暦過ぎてからは、多くなった。それでも、買うのだ。これは、初めて一人で旅に出た19歳の夏からの個人的な習慣である。
 本当は、体力的には随分と楽になるはずの車で出かけたいのだが、妻子が反対する、「もしものことがあったらどうするの」といわれれば、諦めるほかない。車だと事故を起こすと人様に迷惑をかけるからやめろというのだが、重い荷物を持って疲労困憊、脱水症で駅のホームで倒れるかも知れない老いたる夫のことは想像できないらしい。オロカモノメガ。
 
 ともあれ、時刻表を読むのは楽しい。

夏座敷寝転んで読む時刻表


 というのは、嘘だ。これは、ずいぶんと若かったころの話だ。眼をしょぼしょぼさせながら老眼の眼鏡越しでは、とうてい寝転んでいては無理だ。時は容赦なく過ぎていったのである。

あの「夏」に降り立つ駅は今は