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ため息俳句 蚯蚓《みみず》鳴く


 ミミズは、夏の季語であるが、秋になると「蚯蚓みみず鳴く」となる。果たしてミミズは鳴くものかといえば、ミミズは鳴き声を上げられる器官を持っていないので、鳴けないのだそうな。ではその鳴き声の正体はというと、螻蛄けらではないかと云われている。
 その鳴き声が主がケラだとすれば、それはそれで愉快なヤツで、子供の頃捕まえては遊んだものだ。
 どちらにせよ、その鳴き声がどういう音かは知っている。庭の草むらのあたりから、まことに地味な声で鳴くのだ。

恋ひとつあらあらかしこ蚯蚓鳴く

宛先もおぼろになりぬ蚯蚓鳴く

想ひぶ蚯蚓の唄も消え入りぬ

ああ、静かだ 事務用便箋閉じにけり