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ため息俳句 かつ丼日和

颱風が接近中だ云うのに、ようやく秋晴れ。
空が広く感じられて、つい外に出た。
気になっていた前橋の文学館に開催中のアレに行こう、アーツ前橋にも寄ろうかと。
久しぶりに高崎線の下りに乗った。
新町駅を過ぎると、車内放送でJR八高線への乗り換えの案内があった。
それを聴くと、急に八高線に乗りたくなった。
寄居から高麗川辺りまでは、何度か乗車しているが、高崎・寄居間は未乗車区間である。
そう思うと、前橋行きはどうでもよくなった。
高崎駅で乗り換えることにした。
八高線に乗るだけなら、随分と時間に余裕が出来る。
昼飯を食って、食後のコーヒーでも飲んでと、急にのんびりムードになった。
駅周辺で時間調整して、何を喰おうかとぶらぶらしていたら、嗚呼あのかつ丼にしようと決めた。
こんないい日は、かつ丼がぴったりだ。
駅から10分ほどは歩くが、地元では昔から愛されているかつ丼屋さんだ。
カウンター席のみ、一列に肩を並べてほぼ全ての人がかつ丼を食う、それ以外のハンバーグなんていうのもあるが、それらを頼む人は少数のようだ。
ここの定番は、ソースかつ丼のようなもので卵でとじていないたれのみの丼である。これも、旨いのだが、自分は卵ありの方を好む、とじてある丼だ。この方が、自分にはかつ丼としてしっくりくる。
店内はカウンター席の背中側は、壁までそう余裕がないのだが、壁際にベンチがあって、後から来た客が腰を下ろして待機する。立っている人もいる。食べながら背後の人を感じているので、少し落ち着かない。
さっさと食べてしまうのが作法と思うのだが、この頃は昔のようにさくさくと食べることが出来ない、我ながら何だかもさもさしていて、面白く無い。
昔、神保町あたりの「いもや」で腹を満たしていた頃は、てきぱき喰えたものなのにとちょっと悔しくなった。
おいしいし、安い。
いい店なのだ。
高崎駅に戻って、涼みがてらコーヒータイム、それから八高線に乗った。
寄居まで行き、秩父線で熊谷へもどった。


かつ丼や憂ひなしとす秋の雲