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ため息俳句番外#37 春惚け

 今日は、鉄道で琵琶湖を一周した、琵琶湖線のとある駅から出発し、近江塩津まで行き、その駅で湖西線に乗り換えて山科まで、山科からまた琵琶湖線に乗り、出発駅まで戻る。
 途中下車したのは、彦根、木ノ本、余呉、近江塩津、今津、高島、膳所の各駅。
 所期の計画では、今津から連絡船で竹生島へ渡り、竹生島から長浜へ、長浜から琵琶湖線で戻るというものであった。しかし、今津の遊覧船乗り場で乗れなかったのだ。すでにバスツワーの皆さんがいて乗船券が売り切れしまったのだ。そんなわけで、一周に切り替えざるを得なかった。
 こんな風に出たとこ勝負というのは変だが、状況次第で旅程を自由に変更できる、そこは気楽なものだ。
 しかし、その気楽さは思わぬポカをやらかしてしまう。
 それが、今日にことだ。
 余呉で降りたのは、噂に聞いていた余呉湖畔の桜の様子を見ておきたいと思ってのことだ。
 折しも桜まつりが開催されていたが、肝心の桜は今にも咲きそうでいて、しかし、開花してない。イベント関係者の地元のご婦人たちも苦笑いしていらっしゃった。

余呉湖4月2日

 目に映るのは花ではなくて、色づき青む柳ばかりであった。とはいえ、それはそれでよい。
 その余呉から一駅で近江塩津、そこでポカした。乗ってきたのは敦賀行き。その到着ホームの向いに湖西線京都方面が入ってくるとアナウンスがあった。のにである。なんと、うかうかと人の流れにつながって、階段を降り、別のホームへ移動している自分がいた。移動したホームに着くと、自分が降りたホームへ反対方向からやってきた電車、あれ、あれ、と初めて気づいた。接続電車は同じホームの向かいにやってくると、聞いたではないか、それなのに、どうして・・・・。
 それから1時間待つことになった、一時間に一本しかないのだ。誰もいなくなったホームに取り残されたのであった。
 小型版時刻表をたよりに、結構あちこち一人旅してきた俺が、こんなミスをするとは、いや、これは惚けそのものだ。
 誰もいないホームで、・・・・、ちょっと情けなく、・・・・。
 やりきれない。腹も減ってきた、12時を回っている。そこで、年をとるのが悪いことばかりでないという話になるのだ。
 余呉の前、途中下車した木ノ本の北國街道脇のパン屋さんで名物「サラダパン」を買っておいたことを思い出した。あの時、一人旅では何が起きるかわからんぞと、非常用食料として調達しておいたのだ。これこそ「転ばぬ先の杖」、おおなんて俺は知恵者、と自画自賛。

マヨネーズ味のサラダパン

 素晴らしく旨いパンだ。こんなにうまいのだから全国展開してほしいとしみじみ思いつつ、その内凹んだ気分が薄れてきた。
 そこで、これは「春惚け」としておこうと、・・・・、こういうごまかしこそ、年の功、生き続ける知恵であるのである。
 「春惚け」そんなの聞いたことはないと、・・・、固いことは言わないようにお願い。