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何をするために生まれてきたのだろうか

〜「フィーヒ・マー・フィーヒ」 マウラーナ著 「ルーミー語録」からの引用〜

『彼(イブラーヒーム・イブヌ・アドハム:スーフィズムの代表的人物)がまだ(バルフの)王子だった頃のことである。ある日狩りに出た彼は、一匹のカモシカをおって馬を駆ったが、そのうちお供の兵士たちから遠く離れてしまった。馬は疲れ果てて汗びっしょり、それでもなお無理に駆り立ててゆく。広漠たる砂漠の真っ只中で、ついに精根尽き果てた時、突如、カモシカが言葉を語りだした。くるっと振り向いたかと思うと、「こんなことのために創られた貴方ではあるまいに」と言う。こんなことをさせようとして神は貴方を創造なさったのではあるまい。私を狩りの獲物にするために、わざわざ無から存在界に移しなさったわけではあるまい。仮に私をつかまえたとしても、それが一体何になろう、ということだ。
 
それを聞くやイブラーヒームは一声絶叫し、馬から跳び下りる。見渡せど、この広い砂漠に人影もなく、たった一人だけ羊飼いがいた。きらびやかに宝玉を飾った王者の衣を武器や馬もろとも差し出して、「さあ、これをみんなあげる。その代わり、そなたのあら織の着物をわしにくれ。誰にも言わないでくれよ。わしの身に何が起こったか一切話してくれるなよ」と懇望し、その羊飼いの着物に着替えて、いずこもなく立ち去っていった。』

あなたは何のために生まれてきましたか?




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