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淡彩スケッチについて

1.淡彩スケッチについて

 戸外でスケッチをする時は鉛筆やペンで線描した後、淡彩をかける手法を前回書きました。
 本格的に水彩画を描くのももちろんいいことですが時間の関係や、数多く描きたい時はこのような描き方をします。
 線描の後、淡彩を施す場合では
 1・ペンで線描した後、水彩で淡彩を施す表現
 2・鉛筆で線描した後、水彩で淡彩を施す表現
  (鉛筆の線を強調した描き方)
 その中でペンと鉛筆のそれぞれについて自分の経験を書いてみます。

1.ペン淡彩

 ペンを使って描くときは線の太さが一定になるので2種類の太さのペンを使い分けても面白いです。
 また、フェルトペンはペン先を横に寝かせて腹でこするように描く手法もあります。ペンをこすりつける回数で濃さの違う表現ができ、力強い描き方になります。
 ペンは耐水性のものを使いますが、水性のもので描いてにじませる作家もおられます。
 サインペンは耐水性のもので太さは0.3~0.5㎜程度のものが使いやすいと思います。


柘榴元

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2・鉛筆淡彩

 鉛筆は大変優れた道具で誰もが小さな頃から使っています。色々な濃さがあり、その使い方は多彩です。
 自分は静物画では鉛筆で細密に描いて淡彩を施す描き方が多いのですが、風景画の時は薄めに線描きして水彩を掛ける方法と濃く線描きして鉛筆の線を強調して描くことがあります。私は短時間でのスケッチでは濃く描くことが多いです。


 鉛筆の線は力の入れ方で太さも変わり、面白い表現ができます。
 なお、濃い鉛筆を使われる時はフィキサチーフ(定着液・スプレー型)で押さえることが必要です。


 鉛筆画をメインにして描かれるときは表現したいものに合わせて濃さの違う鉛筆を使い分けますが、通常のスケッチなら2B~4B程度の濃さの鉛筆を数本用意します。
 鉛筆でスケッチをする時には消しゴムを使わない方が良いです。ペンで描いている時と同じように修正できないつもりで進めてください。

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3・竹ペン淡彩

 竹などの先をペンのように加工して、インクを付けて描く描法を竹ペンスケッチと名付けてみました。
 使う道具は竹以外にも鳥の羽根や葦、割りばし、Gペンなどなんでも構いません。要するにペン先にインクを付けて描くというものです。これだと描いている内にインクがかすれてきて線が一様ではなくなるので面白い表情になります。


 写真は私が使っている道具で、竹ペンは画材店などでも市販されていますが、これはいらなくなった習字用の筆を削ってペン先の形状に自作しました。昔に作ったものです。
 インクは耐水性でこれはパイロットの証券用インクです。最近画材店で紹介されたのはクレタケの漫画ブラックというインクでした。耐水性が高いそうです。


 また、金属製の筒状のものは昔の万年筆のようなもので、「矢立(ヤタテ)」といって先の方が墨壷になっています。私はここに脱脂綿を詰めてインクを染み込ませています。こうすると持ち運んでいてもこぼれないので重宝します。持ち手の部分に筆などが仕舞えます。

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 この描法はこだわらずに思いっきり描けるので短い時間で仕上がり、描いていてとても楽しくなります。線はデッサンなどあまり考えず手を動かしていく方がいいです。


 また、着色は原色に近い明るい鮮やかな色を塗るのがきれいに仕上がります。 一度試してください。


 竹ペンが入手しづらい場合はGペンか、また最近使いだしたのですが、magic社のAQATECslimなどもお勧めします。竹ペンに近い表情を出せました。水性顔料で耐水性です。

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5・額装

 完成したら額に入れて自宅に飾ってみましょう。額も絵の一部です。
額に入れると絵の雰囲気も大きく変わります。
 世界で1枚しかない絵です。日付や題名を入れて記念として残しても素適です。額のマットはカラーのものもあります。
 額縁を販売しているところでカットして額装してもらえます。