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24/06/30 ねづっち様

昨日のことになります。

地元のホールに「漫才大行進」を観に行った。6組の漫才師が出て、休憩なしの90分。ざっくり計算で1組15分。TVで3分程度の漫才に慣れていると、長く感じるかもしれない。でもこれが本来の漫才なんだろうと思う。

6組中唯一ピン芸人のねづっち。過去に何度か拝見していて、その度に度肝を抜かれている。謎かけで15分保たせるなんて、神がかってるとさえ思う。1回の謎かけは約1分程度。彼の頭の作りは一体どうなっているのだろう。神に特殊能力を授けられたのではないか。謎かけはすでに神の領域である。

そのねづっち(以後、神と呼ぶ)。出番の終盤は客席からお題をもらい、即興で謎かけを作るという、神of神な時間がある。私はとても神にお題を出す勇気はなく、いつも他人様が出すお題を聞きながら「そのお題じゃやりにくいだろう」とか「このお題はナイスだわ」などと内心品定めしている。自分は挙手すら出来ないのに、姑息なやつだと我ながら思っているが、今更良い奴になっても仕方ない。

今回挙手をした中で、ひとりすごい女性いた。

どうやら彼女は神からの指名に「子どもにわかりやすくやってほしい」的なことを言ったらしいのだ。(彼女と私の席は離れていたので、彼女の声は聞き取れなかった。)これには神も客席も度肝を抜かれた。(ように感じられた。)お題を出す人以外、挙手するはずないタイミングで、神の芸へのクレーム発言。そりゃ度肝抜かれますよ。神のライブ、度肝抜かれることのてんこ盛りである。血圧高めの私には少々心臓に悪い。

確かに彼女の隣には、子どもが座っていた。私の席から斜めの位置だったので、それは見えた。子どもが「よくわからな〜い」とでも言ったのだろうか。そうかもしれないが、神は大多数の大人(しかもほぼ60over)に向けてやっているのだよ。たった一人の子ども(会場を見渡した私調べ)のために、わかりやすくなんて配慮が必要だと誰が思おうか。そこに配慮する必要はなかろう。ていうか、わからないことがあるのが、子どもでも大人でも当たり前じゃないか。わかりやすくしてあげるのが優しさではない。

しかし、神は切り捨てたりはしない。私のように意地悪でも心が狭くもないのである。その「子どもにわかりやすくやってほしい」をお題にして、ちゃんとそのココロは?に答えを導き出したのだ。素晴らしい。素晴らしすぎた。神様仏様ねづっち様だ。

そこまで感動しておいて、そのお題で導き出された神の回答である「そのココロ」をすっかり忘れている。それなのに、母親へのドス黒い感情は心に刻まれてしまったままだ。でもよく笑った1日だった。

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