エッセイ| 田舎で育ったこと
朝、カーテンから眩い光が零れてくる。窓を開け放てば、一面の緑が風に揺らいでいた。ふっと鼻先をかすめる草木にかかる朝露の香り。花や色づく木の葉を拾っては、季節の移ろいを感じます。澄んだ夜の帳にかかる無数の煌めきは億光年をわたってきた、宇宙の息遣いの様でした。つまり、田舎なのである。くそ田舎なのである。
生活圏にあったのは、スーパーが一軒と魚屋が一軒、それから小学生のたまり場となっている駄菓子屋が一軒。山や木々の緑と海の青に囲まれて、必要最低限のライフラインがあるばかり。最寄