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【シャニアニ】2nd season-2話 感想

※記事の特性上、2024年7月5日から公開されている「アイドルマスター シャイニーカラーズ 2nd season 第1章」のネタバレを含みます


まえがき

 シャニアニ2ndそのものの全体的な感想はふせったーに書いてあるのでもし見たい暇な物好きがいらっしゃったらこちらをどうぞ。

最初からnoteに書けよ、というのは……とてもそうなんですが……書き殴った方が……楽で……
 まあ要するに「良い部分も悪い部分も1期と同じスタンスで作られているが、ストレイライトが加入した分だけ演出上の派手さが増した」というのが概ねの印象である。
 その中でも、やはり一番気になったのは2話、
「Straylight.run()//playback」である。
 原作の同名コミュをベースにまるまる30分シナリオを展開したのはなんとこのアニメの累計14話目にして初の試みであり、それが個人的にかなり思い入れのあるこの話になったのはなかなか感慨深いものがある。そこで、今回はふせったーの延長線上として2話に着目してもう少し話をする。
 あとまあ、色々言ってますが1話のMVすごいんで気になってるなら見たほうが良いですよ。相当力入れたから使い倒したい雰囲気を若干感じるのはあるが……

原作ゲームにおける「Straylight.run()」

 まず、原作シナリオについて整理する。このシナリオは2019年にストレイライトが実装されてから初となるイベントコミュで、……2019年!?!?!?!?!?
 ……初のイベントコミュで、3人の出会いと衝突、結束までを書いている。時系列的にはおそらく3人ともWINGコミュをある程度通過していることが前提になっていて、冬優子の性格や愛依の上がり症については特別深く触れられること無く前提として進行していく。
 おおまかな流れは以下の通り。

  • 仕事をする冬優子、会話するシャニP

  • あさひと冬優子の邂逅、嘆息する冬優子

  • あさひと冬優子でティッシュ配りの仕事

  • センターへのこだわりを見せる冬優子

  • 愛依の登場

  • ミニライブ

  • あさひと冬優子を褒める愛依

  • センターに命名されるあさひ

  • 帰路にて、会話するあさひと愛依

  • 海イベントの決定

  • 作戦会議

  • 八百長の発覚

  • ダンス完コピあさひ

  • 冬優子の説教

  • アイドルが戦うってのがどういうことか、見せてやる

  • あさひの反省

  • 報酬sSSR【なるんじゃん?】

 基本的に冬優子の視点で進行しており、あさひのカリスマ性を至近距離でねっとりと見せつけられるフェーズも用意されている。こういった描写が感情移入のしやすさやインパクトの強さに繋がり、かなり人気のあるイベントコミュだと認識している。

「Straylight.run()//playback」について

 では、「Straylight.run()//playback」とは何か。これは上述のとおりアニメ2期における第2話として存在するシナリオで、1期にもあったような個別ユニットメイン回としての立ち位置で用意されている。これが原作シナリオベースのものになったのはストレイが初である。
 タイトルが変化している理由の1つは、アニメ全体としてのシナリオ時系列として2話は回想にあたるタイミングなので、「playback」が付加されているのだと思われる。
 展開は概ね原作シナリオに準ずるが、いくつかの前提条件の違いからカット/改変されたシーンが存在するため、今回はそれらについて着目していく。
 なお、前提条件の違いとして考えられるのは大きくわけて2つ。
「個別シナリオが存在しない=受けての各キャラに対する理解度の違い」と、最大の問題として「尺」である。原作シナリオをオート再生すると30分など余裕でオーバーするので、それにアニメーションをつけていっては時間が足りるわけがない。それなのに、個別シナリオが無い都合上で各キャラの概要を短い時間の中で紹介する必要がある。この二律背反が難しいところである。知らんけど

カットされたシーン

ティッシュ配りの後半

 翌日、いざ再び責任者に挨拶をすると前日に傍若無人ぶりを発揮したあさひの方が覚えが良かった、というシーンが無くなっている。「世界の理不尽さ」を強調して冬優子への感情移入を強めるシーンではあるが、アニメになって責任者に顔が付いた以上そのまま再現すると流石に露悪的になりすぎるきらいがあるのでまあ妥当な判断かもしれない。

ミニライブ

 代わりに練習するシーンになっている。WDCのショートVerをBGMに止め絵で画面が進んでいくが、更衣室で冬優子にちょっかいをかける愛依など、地味に原作でまだ見たことのない画面が挿入されている。嬉しい瞬間である。
 ミニライブの展開自体はティッシュ配りのシーンから続く、あさひの奔放さや奇抜さといった印象をより強くするものという感が強いので削る判断自体は妥当だと思われるが、ここでクールキャラを披露する予定だった愛依が割を食っている。

あさひと愛依の帰路

 あさひが冬優子に対しての思うところを愛依に吐露する場面。現状の再確認という面が強く、あさひは冬優子の努力をきちんと見ていて評価していることがわかりやすく示される効果が主なので削られるのもやむなしではあるが、ここは愛依があさひの気持ちを正しく理解して、それが冬優子の地雷を踏みかねないことに気付いた上であさひに忠告するという社交性の高さを示す場面でもあり、またしても愛依が割を食っている。

 また、ここのシーンの代わりなのかはわからないが、Pが社長に対して「後はもっと仲良くなってくれればいいんですが……」と零すシーンがある(社長からは仲良しだけが道ではないと諭されている)。お前ぴったりのメンバーを揃えたって最初に言ったよな?

冬優子の説教、「アイドルが戦うってのがどういうことか、見せてやる」

 厳密には後の「あさひの反省」と統合。まあ、ユニットからひとりずつ参戦のダンスバトル形式ではなくなったので必然ではある。
 会話内容自体はほとんど残っているが、最後に冬優子が「アイドルの戦い」を見せて、八百長まみれの勝負の中で爪痕を残したという事実が削除されているのは少し悲しい。
 また、素を見せた(そもそも「冬優子」の一面を素と表現するべきかどうかに議論の余地があるが、ここでは考えないものとする)冬優子について愛依が言及し、それに対して「そういうの、野暮って言うんだから」と返すシーンもなくなっている。何が「野暮」だったのかはこの後続く冬優子のシナリオで結構な意味を果たしてくるものであるし、シナリオの〆としてかなり口当たりが良かったのでやはり残念ではある。また、それなのにPに対して「もうこういう野暮な話、振ってこないで」と告げるシーンは残っており(こちらの会話が残っていること自体は冬優子のパーソナリティを表現する上で重要なのだが)、このオチを期待したのに無かったという点で少し肩透かしな印象はある。
 一方で、野暮のくだりはプロット的には完全に「余韻」の部分であり、ストレイライトとしての話を一度〆る必要がある原作シナリオに対してこれはまだ全12話のアニメの中の2話目である。であれば、ここはカットして「センターはあさひ」の部分を最後に持ってくるのは全体の尺を考えると十分にありえる判断だろう。
 ……まあ、そこまでして切り詰めた尺の先に何があるのかは別の問題である。

【なるんじゃん?】

 基本的に原作シナリオ内で出番の少なかった愛依の活躍を補完するカードの側面が強いので、これがまるまる消滅したとなると結局割りを食うのは愛依である。
 ただ、3コミュ目のあさひや冬優子を知ろうとする愛依のシーンは、ストレイライトというユニットが結束を強めていくうえで不可欠な部分だと思うのでここがなくなると流石に寂しい。
 勿論、上述の野暮のくだりと同様に全体の尺を考えれば多少の納得はできるが。

改変されたシーン

 原作シナリオからの改変とは逆の話だが、アニメでは基本的に無難なことしか言わないPが2話だけは原作ベースの台詞回しをするので急に存在感が出てちょっとウケる。

あさひと冬優子を褒める愛依

 原作ではあさひの行動の突飛さに言及しているし、冬優子が「頭を抱えている」ことに気付いている。また、「仲良くできそうか」という問いに対して【なるんじゃん?】での最後の台詞に繋がる回答を返している。
 アニメではあさひや冬優子を純粋に褒め、「ファンになりそう」というある意味脳天気なことを言っている。そして、Pからは「愛依だってすごいんだぞ」と自信を持つように促される。各々のWING編が無いことによる影響だと思われ、若干今更感が漂う会話になっているきらいはあるが、「愛依はこう見えて上がり症で、自分に自信がない」ことを示すうえでは直接的すぎない表現であり、改変の結果としてはある程度好ましいものだと言える。

海イベントの決定

 単純なオーディションへの変更になっているが、わざわざ放送に乗るようなイベントで八百長をするのはどやねんという話や、作中でハロウィンイベントが近いのに海入って大丈夫? という話(なお、同話中でPが提示したこの月のスケジュールは31日まで記載があったので作中時間は8月か10月である)もあり、何よりバトル形式は単純に尺を取るので致し方なし、という感はある。これ自体はそこまで気にしていないが、この「尺の問題」はこれ以降ずっとついて回る。

作戦会議

 大筋は原作と同じである。愛依へのアドバイス方針で揉める冬優子とあさひ、それを宥めたうえで話を纏める愛依の調和性の高さ。
 愛依の上がり症を説明するために車の中で事前に会話するシーンが挟まれており、確かに愛依が上がり性であることが語られているのだが、台詞数を削りすぎて流石にちょっと分かりづらい気もする。その分尺は圧縮されているので、全体的にガバ尺が目立つこのアニメにおいては尺を圧縮する意識を感じたと言うだけである種の好感があったりする。
 テレビイベントで無くオーディションになった都合で笑いかける対象が観客から審査員になり、アドバイスが妙に陳腐化した冬優子とか、愛依との帰路のシーンが削られているため冬優子の不興を買う可能性を知ってか知らずかいきなり喧嘩腰に話をぶち込んでくるあさひとか、クールキャラのくだりがなくなっている上に前触れ無しで話をぶち込まれたためにめちゃくちゃ言葉に困ってそうな愛依とかまあ思うところは色々あるが、概ねこの場面で言うべきことは言っているような印象である。

八百長の発覚

 原作では愛依が報告していたのを、冬優子が最初に知る形になっている。作戦会議の場面からの続きであるため、話の流れで最後列を歩いていた冬優子だけが廊下での会話を聞いてしまった、というところに問題はないが、愛依と違って冬優子にはそれを残りふたりに共有する理由がない。まあ胸に秘めておけというのも酷な話ではあるが……。
 また、「じゃあ、うちらが受ける意味ないってこと?」という愛依の発言についても疑問が残る。内々に合格者が決まっていたとしても、一定の立場を持つ審査員に対して自分たちの実力を披露することは後に繋がる可能性が高く、単純な対戦結果に対する八百長とは意味合いが違う。まあ愛依がそこについて考えが至ってなかったとしてもそれ自体に違和感はないが、この発言についてはこれ以上取り沙汰されないのでやや浮いた発言の感がある。

ダンス完コピあさひ

 原作ではステージ上でひとりで披露したあさひの完コピダンスが、「3人でWDCを踊る際に、自分だけダンスを変更し、完コピダンスをWDCのテンポにアレンジしている」というシーンになっている。これはまず映像的には中々のインパクトがある。既に複数回見せられている(これに関して別の問題がある気がするが、それは一旦置いておく)WDCのダンスとは全く違う振りが聞き慣れたイントロの時点で出てくるのである。しかも、隣で踊る冬優子と愛依を置き去りにして。あさひの運動センスの高さと、それがもたらす異物感を一瞬で理解させるのはまさにアニメの強みと言える。
 一方で、流石に論理展開が強引に感じる部分もある。原作ではダンスバトルだからこそダンスを完コピしたのに、歌を通してのパフォーマンスを審査していることになっているオーディションでダンスだけを完コピする理由にはならない。また、直前に「後悔させないっすよ」と冬優子と愛依に語っており、自分の行動がリスキーであることを認識している節が見られる。原作ではもっと無邪気に完コピダンスを持ち込んでいたので気になった点ではあるが、単純に直接的に他ふたりを巻き込むことになるからかもしれない。この語り自体は中の人の熱演もあり、痺れるシーンである。

あさひの反省

 上述の通り「冬優子の説教」のくだりと混ざっているが、概ねの会話内容は同じである。違うのは、原作では(全体としては勝てなかったにしても)ちゃんと冬優子のやり方が一定の結果を残したうえでのものであったことである。あさひがちゃんと反省する様子を見せたのはこれが大きいと個人的には考えているので、単純に自分の失敗に対して凹んでいる感じになったのは少々物足りない。
 ただ、原作に比べるとあさひの失敗もある意味派手なものになっているので、そういう意味では流石のあさひも堪えたということなのかもしれない。
 「あさひが失敗→冬優子が説教→冬優子が実践→あさひが反省」の流れだった原作に対して、
 「あさひが失敗→冬優子と愛依は責めない→あさひが反省→冬優子が説教」の流れになっているアニメでは、少なくとも理屈は通っている。
 原作にもアニメにも存在する「たくさん我慢できる人は強い人っす」というあさひの台詞を、冬優子と愛依が実演してみせたということになるので、結果的にはどちらも冬優子及び愛依の強さにあさひが白旗を上げる形になったのは変わらない。
 のでまあ、アニメ1話分の最終的な着地点としては案外悪くないんじゃないか、という結論になる。彼女らには、あと10話ぶんの時間が残っているのだから。
 なお、直後に流れるEDはWDCの歌入りである。またオフボーカルじゃなくてよかった、と少しだけ劇場で笑ってしまった。結果的に1話と2話で5回ほどWDCのイントロを聞いたことになってしまったが……。

その他雑感

 単純にカット/改変されたシーンに目を向けるとやはり無理のある箇所が目に付くが、それを加味しても「映像化された」ということ自体は非常に嬉しいものである。
 「冬優子」を見せた瞬間にセルフ肩もみを始め、ふんぞり返って足を組む冬優子、ライブに入った瞬間に目のハイライトが消え、手を左右に広げて走るあさひ(これに関しては若干誇張しすぎた表現ではないか? と個人的に思うが、ゲームではできない表現をしている点についてはやはり嬉しさがある)、愛依に頬を触られてもちもち伸びるあさひや、気が狂ったように胸が揺れる愛依(なんで?)。階段を上るシーンでも三人の性格や身体の動かし方の違いが表れており、嬉しい表現は多い。原作BGMは当然アニメに合わせてフィルムスコアリング的なアレに置き換わっているのでそこで違いを感じないでもないが、まあ完全にド素人なのでどっちが「良い」ものなのかは……知らん!

まとめ

 愛依が大きく割を食っている印象ではあるが、それ以外は必要な部分をおおよそ残したという印象が強い。カットされた部分はいずれもストレイライトの今後の成長や直面する問題に関わってくるものであり、それはアニメのこの先の展開で触れるものだと仮定すれば、ある程度の一貫性は感じられる。また、WINGの個人シナリオに相当するものがないアニメ版では、カットされた部分に触れるのは時期尚早であるという見方もある(特に、【なるんじゃん?】のくだりは前フリとなる会話ができないのもあって、WINGなしには難しい)。
 少なくとも、作中時系列は「2話→1話」であり、1話のあさひは「冬優子の言っていることを事実だと認識しているが、自分の中に答えはない」状態である。2期のうちにもう一段階ストレイの成長回があると予想するのも、おかしい話ではないだろう。
 何より、この原作シナリオをアニメ1話分に纏めたものとしては結構な満足感がある。まずはこれを見られたことに対して、感謝を捧げたい。

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