現代語訳「閑吟集」(230)
【 原文 】
風に落ち 水には浮かぶ花紅葉 しばし袖に宿さん 涙の露の月の影 涙の露の月の影 それかとすればさもあらで 小篠《をざさ》の上の玉霰《たまあられ》 音も定かに聞こえず (230)
【 現代語訳 】
風に落ちて水に浮かぶ花や紅葉のように、涙の露に映る月の光をしばらく袖に留めておこう。――だが、どうやらわたしの思い込みだったようだ。あれから時が流れ、笹《ささ》の葉に降る霰《あられ》の音でさえ、はっきりと聞こえなくなってしまった。
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