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心のVIPルームに居座り続けるひと

気がつけば25歳。
今年の6月でアラサーの範囲内に足を突っ込む。
小中学生の頃の旧友たちはドンドコ結婚していくし、結婚してなくてもみんな当然のようにお相手がいらっしゃる。

ツイッター(頑なにXと言わない)のフォロワーたちは独り身が多い上に、現実を見たくなさすぎてリア友たちと繋がっているインスタを全然見ていないうちに、こう。

私はと言えば、最後にまともな恋愛をしていたのはもう5年前。それ以降は何だか独り身でいることが楽なことに気づいてしまって、浮いた話も出会いも無いまま2024年を迎えた。
別に恋人がいなくたって楽しいし、ままならない事はままならない。ご飯は美味しいしゲームは楽しいし労働は悪だ。

しかしながら、こうも知ってる面々が結婚して苗字が変わっていくのを見ると不思議な気持ちになる。
ああ、あの頃一緒にいた旧姓のあの子はもういなくて、私よりも旦那さんの方があの子を知っているんだなと思うとやや寂しくなる。でもめでたい事なので素直に喜ばしく思う。

ただ1人を除いて、だ。

中学2年生から高校1年生くらいまで好きだった人がいた。1年間まるまる片思いをして、2ヶ月付き合って別れて、1年引き摺った。

過去のことなのでこの話をする時は必ず言ってしまうのだけど、その人のことは本当に本当にめちゃくちゃ好きだった。片思い真っ只中の中学3年、最後の運動会の選抜リレーで走るその人のことを見て感極まって涙が出そうになるくらいには好きだった。

奇跡的に付き合って爆速で別れて、1年間その人のことをずるずる引き摺ったあとは段々と落ち着いていって、友人に落ち着いた。
時間が経つにつれて変わっていくお互いの考え方とか話し方とか、そういうことの違いでなんだコイツもう知らんとキレたこともあった。盲目的に好きだった頃に比べれば、幻滅できるくらいには目が覚めた。

今は生活を送る上でその人のことを考えることはほぼ無い。LINEで連絡を取ることもない。

その人は海外の大学へ進学し、獣医になるべく異国で勉強している。
年明け、インスタグラムのストーリーに新年の挨拶が投稿されていた。どうやら今年で大学を卒業し、そのまま日本に帰国することなく現地で就職するらしい。なんとまあ、立派になられて。

それじゃあ、当分帰国することもないんだな。
一時帰国する時は連絡すると言ってくれたけど。

この人は私の中で、めちゃくちゃ好きな人、めちゃくちゃ好きな恋人、めちゃくちゃ好きだった人、憎たらしくて憎みきれない友人を経て「中高生時代の旧友」というポジションになった。でも他の誰とも違う。

私の心の特別な所にいる。
ずっとずっと、干支が一周してしまうくらいの期間ずっと。言わばVIPルームだ。この人は私の心のVIPルームでポジションを変えて私の中に鎮座している。

なんだよお前、結局私の中の特別なんじゃんか。


周りが結婚報告をする中、未だ彼にも浮いた話は無い。ただ、もしこの先、彼の結婚報告を目にすることがあったら結構凹むんだろうなと思った。

もし、突然帰国してきた彼に「もう1回やり直さない?」とか言われたら今までの様々なこと全て吹っ飛んで頷いてしまいそうな自分がいる。恐ろしいやつだ。


惚れた弱みっていつまでも弱みなんだ。


でもこんな突飛な話はまあ起こらないだろうし、せめて、せめて結婚とかするならちゃんと連絡して欲しいなと思う。しないならこっちから連絡してやる。

VIPルームに居座り続ける彼に祝福くらいしてやれる余裕のある私でいさせてくれよ、ね。

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