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お昼寝の時間に見た夢


 どこでどう出逢ったのか、
あるとき、わたしは 小さな国をまとめている若き王の妻だった。

王は 5歳、歳下だった。

とても優しく 広い温かいこころで 愛されていたし、わたしも 王を深く深く愛していた。

やっと 出逢えた運命の人と思い、大切に思っていた。


わたしは ごく普通の一般的な家で育っている。
ふつうの一般的な家というと 落ち着いた幸せな家族と 想像するのかもしれないけれど それとは違っていて どちらかというと 幸せとは程遠いが、特に 不幸せでもなかったという程度だ。


結婚前の生活は 記憶にない。


ただ、今が とても幸せだった。
愛し愛されることの充実感で満たされていた。

王に 名前を呼ばれると その声は、こころの奥底に響いた。


普段、王は公務で忙しくしていた。


会えない間、わたしは、その国に暮らす人達と 仲良く 談笑をしながら、花を摘んで 飾りを作ったり、
木の実をすり潰して
ご馳走の準備をしたり たのしく暮らしていた。

差別のない、穏やかな日々を送りたいと思っていた。



 あるとき、
あるイベントが行われることになった。

何もかもすべてを隠して 怖がり、
震える人達が まだこの国には 少数いて、その人達の不安を 少しでも 取り払いたいと思い、わたしが このイベントの指揮をとっていた。


ところが、
いっしょに 手伝いをしてくれていた仲間だと思っていた者のなかで 一部 裏切りを企てていたようだ。

それに気づかずに
わたしは、不安を抱える人達に 怖がらせないようにひとりひとりに 声をかけてまわり、
気晴らしをしましょう、と イベントへの参加を勧めていた。


 誰かを疑うことをまったくしていなかった。


そのイベントには 王も参加する予定だったので わたしは いつも以上に 楽しみにしていて、わたしも王の力になりたい、国の力になりたいと 精一杯の努力をして みんなが喜ぶ笑顔を 想像しながら ときに にやけて楽しみにして 頑張っていた。



イベントの日、
事は起きた。

 ほんの少しの景色の歪みを感じる。

違和感を抱いた瞬間に
敵が現われ、一気に襲ってきた。


慌てて
みんなをたすけようと 駆け出そうとしたが すぐに間もなく、国は 跡形もなく 燃やされる。

王は…?
王は無事…?


宙に輪っかができて そこから 見知らぬ人が降りてきた。
『静かに。王は… 残念ながら…。夫人、どうか 落ち着いて』

と 絞り出すような声で わたしに言った。


何もかも 把握できないまま
泣き崩れた。

辛いとか悲しいとか悔しいとか そんな言葉なんて間に合わないほどの、
重たく苦しい感情に 溺れた。


その見知らぬものに
抱き抱えられたまま、
わたしは その場を離れることになった。




降り立ったところは
見たこともない世の中だった。

わたしは ずっと泣いていた。


わたしの半分以上がなくなった。
王に 今すぐ会いたい。
王に会いたい。会いたい。
たすけられなかった。

わたしだけがたすかっても 仕方がないのに。

誰の声も 耳には入らなかった。
泣き続けた。


たまたま ふと見た大きなヘリコプターの中から 見覚えのある女性の顔を見つけた。


どうやら
ここは 未来の場所。
違う次元。

あの女性は 生きていたんだ、と 思った。


ずっとずっと記憶の螺旋上にいる女性だ。



わたしは、ここから始めなければ 終わらないことを知った。
王を失ったことで 泣き続けるだけでは 何も終わらないのだ。


大切に愛してくれた記憶を 紡いでいくことが 残されたわたしの、
王を愛する気持ちを本物にする証なのだ。


 現れた敵は それらを良く思わない者たちの仕業らしい。
その者たちの思いはわからない。


わたしは この敵をも まとめて 幸せに満ちる未来を つくりたいと心から思った。


すべてを明るみに出せる世の中にしたい。
怖がらなくていい。
みんなで 幸せになれる未来を、目指そう。



という夢を見ました。
しかも お昼寝での夢です。

目が覚めた時 しっかり泣いていました。
起きた後も 余韻が残っていました。

夢でも、王との別れや国の人達のことを想うと とても苦しいけど なんだか 最後、決意するところは 自分を褒めてあげたいです(笑)


というか、
この夢 数年前にも見た気がします。
更に 話が深くなっていました。

要するに、
わたしは どんなにきつくても苦しくても 決断するその瞬間が、その自分が、とても好きなんだと思います。

強い自分が好きなんです。
自分で自分を応援したくなります。




先に進むよ。

愛する人たちの思いを無駄にしたくないから 紡いでいくんです。





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