見出し画像

Spinners - 2nd Time Around(1970)

スティービーワンダーとシリータライトによるIt’s a Shameがとても有名な本作ですが他にも甘酸っぱいスウィートソウルがいっぱい収録されています。アレンジャーはウェイドマーカスで後のBNLAでマイゼルブラザーズに知名度では劣るものの枚数ではそれ以上、作品のクオリティでは同じくらいの仕事をした人物です。他にももう2人クレジットがありますが2人に関しては僕の知らない人です。スウィートソウルらしい甘さはもちろんシャウタータイプのボーカルやファズギターなどのほどよい辛味や隠し味程度にサイケな要素もあってこの時期らしいサウンドが聴けます。

メンバー
ビリー・ヘンダーソン
ボビー・スミス
G.C.キャメロン
ヘンリー・ファンブロー
パービス・ジャクソン
リードボーカルはG.C.キャメロンですが前作ではエドガーエドワーズが、フィリー時代ではフィリッペウィンがリードボーカルを務めており彼がリードを取るアルバムは本作だけです。ちなみにフィリッペとG.C.キャメロンは顔見知りらしくG.Cが脱退する際に自分の後任としてブーツィーコリンズが組んでいたバンドからフィリッペを引っ張ってきたそうです。(おそらくフィリッペがスピナーズを辞めたあとPファンクに加わり彼のセカンドアルバムにPファンク軍団が参加しているのもその縁だと思います)演奏メンバーは不明ですがおそらくデトロイトのファンクブラザーズな気はしますが分かりません。

It’s A Shame
スティービーワンダーとシリータライトが共作した曲で重さと軽さがちょうどいいバランスで本当にいい曲です。本当イントロのギターからグッと掴まれてしまい気がつけ

I’ve Got To Find Myself A Brand New Baby
跳ねるビートにファンクをミックスしたリズムやポップながらもどこか切ない曲調、聴いている人の高揚感を高めてくれるストリングスなどこの頃のモータウンらしさが詰まった曲です。

Togher We Can Make Such Sweet Music
It’s A ShameのシングルB面だった曲であまり語られることのない曲ではありますが個人的にはとても好きな曲です。この甘さの中の切なさが見えるコーラスや引っ掻くようなリズムギターがとっても好きです。ちなみにモータウン時代のベスト版ではフィリー時代にも度々リードをとっていたボビースミスが歌った没テイクにストリングスを被せたフィリー風の別バージョンが収録されています。他にもスプリームスは自分たちだけで一回、フォートップスとの共演盤でもう一回歌っています。

Bad Bad Wether (Till You Come Home)
雷雨を再現したイントロやファンキーなビートがかっこいい曲。このアルバムってやたらと長い曲名が多いなと思いましたが同時期にPファンクもアイザックヘイズもカーティスメイフィールドもバリーホワイトも(というかソウルミュージック全体的に)やたらと長かったりかっこで長い副題をつけていますがなんでなんでしょう?

Pay Them No Mind
繊細ながらも荒々しさが垣間見える演奏とボーカルが最高です。ホーンアレンジはトムベルがフィリーでやっていたのと似ていますがそのあとスピナーズがトムのプロデュースでヒットを飛ばすことを考えるとたまたまだろうけど面白いです。

My Lady Love
雲の上に乗っているかのような柔らかい演奏とボーカルが印象的な一曲。途中から少し力強くなりますが空を飛んでいるようなストリングスとコーラスがクセになります。

Souly Ghost
ソウルフルな一曲。JBやジャズっぽいホーンセクションやシャウト(というか絶叫)で強い喉を披露するG.Cキャメロンのリードボーカルが最高です。

O-O-H Child
ステアステップスのカバー。囁きからシャウトまで歌いこなすスピナーズの歌唱力の高さに驚く一曲です。

In My Dialy
ダイナミックでどこか不思議な曲調のバラードナンバー。

My Whole World Ended (The Moment You Left Me)
テンプテーションズのリードボーカルだったデヴィッドラフィンのカバー。オリジナルよりも荒削りなアレンジにファンキーに唸るベースラインがかっこいいです。

(She’s Gonna Love Me) At Sundown
60s中盤のモータウンっぽい曲。演奏が少し前のスタイルでボーカルがG.Cキャメロンではない(おそらくボビースミス)ので穴埋め的な一曲として入れられたと思いますがかっこいい一曲です。

Can I sing A Rainbow / Love Is Blue
ポップでムーディな一曲。ボーカル回しや語尾を長く伸ばしたりと歌唱力の高さをアピールしています。