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Wes Montgomery. Road song (1968)

 CTIでの最終作は当時イージーリスニング界で人気のあったバロック調のアレンジをウェスの希望で導入しています。ただ個人的にはオーケストラが甘すぎるように思いCTI時代のウェスのレコードで一番最初に買ったものの一番聴いた回数は少ないです。イージーリスニング的にはこれでいいのかも知れませんがソロを増やすとかして刺激を加えた方がよかったかなと思ったりも。本作の録音から一ヶ月後ウェスは急死してしまいます。しかし聴いても亡くなる一ヶ月前の録音とは思えず、収録直後のインタビューでもさらなる成長を目指しているようにも取れる発言をしているので、これからもより良いアルバムを作るつもりだったと思うと残念な気持ちになります。ちなみに亡くなったときすでに次作の録音のためのスタジオやミュージシャンの確保が済んでおりそれはジョージベンソンのThe Shape of Things To Comeの録音に使われました。

メンバー
ウェスモンゴメリー:ギター
ハービーハンコック、ハンクジョーンズ:ピアノ
リチャードデイヴィス:ベース
グラディテイト:ドラム
レイバレット:パーカッション

Road song
リチャードデイヴィスのうねるようなベースラインとリズミカルなギターがかっこいいミディアムテンポのオリジナルナンバー。ストリングスが甘すぎないこともあって1番好きな曲です。

Greesleeves
ジャズミュージシャンに人気のあるイギリス民謡です。バロック音楽風のストリングとホーンが印象的な曲。ストリングやホーンをバロック風にする代わりにリズムは力強いジャズ風のビートにしているのが面白いです。

Fly me to the moon
ヒットソングのカバーです。オリジナルにはないバロック調のイントロから入り歌うようなウェスのギターが入ります。イントロも冴えていてとてもかっこいいです。

Yesterday
ビートルズの曲をバロックスタイルでカバー。ストリングスはいいですがバロック調のアレンジはジャズとはミスマッチな感じがしないでもないですがウェスのギターが始まればそれはもうジャズです。

I’ll be back
この曲もビートルズのカバー。ウェスのギターの上品なバッキングに縛られないワイルドな演奏が印象的です。

Scaborough fair
イギリス民謡のカバー。ウェスのアドリブパートも多く、バックもベースとピアノが中心なので比較的ストレートなモダンジャズに近いアレンジです。特にイントロのギターはジョーパスにも通ずるものを感じます。

Green leaves of summer
ヒットソングのカバー。歌うようなギターとそれを支えるほどよくスウィングしたピアノとドラムが印象的です。

Serene
ウェスのオリジナルのバラードナンバー。ほどよくブルージーでとつとつと歌うようなウェスのギターがかっこいいです。

Where have all the flowers gone?
ピートシーガーのカバー。ウェスの歌うようなギターとハービーハンコックのシンプルなピアノが印象的です。

コネクション
イージーリスニングジャズをよく聴く身としては比較してより楽しむためにも本物のイージーリスニングも少し聴いてみたい気はありますがイージーリスニングって他の音楽と比べて解説やディスクガイドが少ないうえに懐メロ集みたいなコンピが乱発されていて情報はないが選択肢は無駄にある状態で正直何聴くのがいいかわからないです。