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Vol.004【月探査】中国:新しい宇宙船の着陸で将来の有人月面探査への道が示された

中国の宇宙開発はもう止められません。

1.要旨

中国の新しい宇宙船による高速での大気圏再突入及び着陸は、中国が宇宙飛行士を月や深宇宙に送る道筋を示しました。

この新しい宇宙船は、今週火曜日に長征5号(Long March 5B)という大型ロケットの初回として打ち上げられました。無人で打上げ、7回軌道上に載り、最終的には8,000㎞まで到達したとのこと。

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軌道離脱噴射は米東部時間で午前1時21分に完了し、続いてモジュールが午前1時33分に分離されました。

過去の小型機、神舟8号(8-ton Shenzhou)では1つでしたが、今回は3つのパラシュートを用いることで降下速度は減速しました。

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中国航空宇宙科学技術社(CASC)は、午前1時49分、東風砂漠への着陸を確認したようです。CASCによれば、再突入速度は秒速9㎞を超えていたとのこと。

最初のミッションのゴールは長征5号が将来的に20t級のモジュールを打上げ可能と証明することであり、ペイロードは次世代の有人宇宙船となります。

低軌道突入がいったん成功すると、深宇宙ミッションの可能性が出てきます。2014年オリオンでの67時間のテスト飛行ミッションに似ているものの、より高度まで到達しています。

長征5号の20t級コアステージは現在、地上から151~317㎞、41度の傾斜角の軌道にのっています。大気の抗力が増加すると、5月11日には使用済みブースターが制御されずに再突入します。

コアステージの長さは31.7メートル、直径は5メートルです。これは、2018年4月に公表された未制御の再突入を行った天宮1号(Tiangong-1)におけるスペースラボ試験場の重量の2倍以上です。

2.新しい宇宙船について

新しい宇宙船は、CASCによって、2つのモジュールの、2つのバージョンが開発されました。これらは、低軌道向けの14t級のモジュールと、深宇宙用の21.6tの大型モジュールです。

低軌道バージョンは、6人の宇宙飛行士、または3人の宇宙飛行士と500㎏の貨物を運ぶことができます。将来的には、モジュールと宇宙ステーションとの間の主要な輸送手段として神州の代替手段となります。

低軌道を超えるための新しい中国の宇宙船の長さは8.8m、最大直径は4.5mです。切り離される部分は21.6mtです。

新しい宇宙船は、神舟とは異なり、部分的に再利用可能です。遮熱板が取り外されて交換され、宇宙船の多くを再利用できるようになります。

「折りたたみ式のシールドを設計しました。飛行中、宇宙船が宇宙ステーションとドッキングする必要がある場合、シールドが広がり、ランデブーとドッキングのメカニズムとセンサーが露出します。」宇宙船の副主任設計者である郭濱はCCTVに語った。

プロトタイプは、3月5日の長期打上げスケジュールがさらに延期される前の、2019年に予定されていました。CASCの子会社である中国宇宙技術院(CAST)の関係者によると、当時の計画には生命維持装置を設置しておらず、宇宙船はいまだ正式名称がついていないということです。

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完全に機能するバージョンの宇宙船は深宇宙への任務を促進することができますが、中国の有人月面探査計画は曖昧です。中国当局は2030年代半ばの任務を発表していますが、輸送機や着陸機については未発表です。

長征5号の打ち上げとその後の低軌道ランデブー、将来的な長征9号による打ち上げと月面探査機とのドッキングに関するコンセプトが提示されました。

別の見方として、有人宇宙飛行用の新たな打上機の開発初期段階にあります。直径5メートルのコアを3つ使用し、YF-100エンジンのクラスター駆動です。

3.ミッションやモジュールについて

宇宙船は実験と技術検証のために10個以上のペイロードを運びました。複合材料の3Dプリンティングシステムは、宇宙船の構造を表すハニカム構造とCASCのロゴを作成しました。

CASTによれば、宇宙での連続繊維強化複合材料を用いた3Dプリンティングは世界初とのこと。

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時間起動のイーサネットシステムは、時計同期、マルチソースのデータサンプリング、及び高解像度画像伝送の検証を完了したと、国営メディアは報告しています。

中国有人宇宙飛行局(CMSA)は、着陸後、宇宙船がさまざまな種をバンアレン帯内に運び、放射線被ばくさせ、微小重力やその他の領域に関連する宇宙空間実験を発表しました。

宇宙船から配備された膨張可能な貨物再突入実験モジュールは、5月6日の再突入中に異常が起きていました。これは、酒泉発射場に近い砂漠地帯の東風近くの陸地によるものでした。

このモジュールは、中国航空宇宙科学工業社(CASIC)によって開発されました。軽量のLi-CFxバッテリーも試用していました。


元記事

New Chinese spacecraft landing marks step toward future crewed lunar missions by Andrew Jones — May 8, 2020

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