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GoogleからPsychic VR Labに転職して4年近く経ったよという話

TL;DR Google辞めてPsychic VR Lab行って4年近く経ったけど毎日ハッピーです。

どういうわけか私、Psychic VR Labに転職したときに転職エントリーを書きませんでした。
先日人事系の方と話していたときに「転職体験記っていいよね」みたいな話になりまして、そのことを改めて思い出しました。ふと、転職直後ではなく月日が経ったあとだからこそ書ける転職体験記というものもあるのではと思い、今回書いてみたわけです。

転職から4年近くたったいま、はたして僕は幸せになれたのか。

ちょっと長い自分語りですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

転職にたどり着くまで

前職では、Googleで主にスマホアプリ開発企業向けの技術コンサルタント、といったような仕事をしていました。詳しい人向けに言えば、Firebaseのエヴァンジェリストを名乗っていました。ざっくりスマホアプリの仕事をしていたと思ってください。
実は元々ここに1000文字ちょっと使っていかにGoogleが素晴らしい会社かを書いていたのですが、長いし本筋と関係ないのでまるっと削除しました。
「ぼくがかんがえる最高の職場」みたいなのを妄想してもらったら、だいたいそれの100倍くらい良い環境なのがGoogleだと思ってください。普通に一生Googleいたら超幸せだなって思ってましたし、今でもそれはそうだと思っています。

転職した理由はたったひとつ。
それは、Googleが日本でVRやってなかったからです。

僕がVRと出会ったのは2014年。
ニコニコ超会議で体験したToLoveるラッキースケベVRが僕の初VR体験でした。あまりに感動して家に帰って予約中だったDK2をポチり、それからVR人生がはじまることになります。
と言っても、当時はほとんどTwitterをやっていなかったのと社外のコミュニティにもすっかり疎くて、ほぼ一人での活動でした。
Unity勉強してGoogle Playに自作のVRゲームを2つほど出したり、VRハッカソンに出て賞とってOSVRもらったり(ちなみにこのハッカソンで隣のテーブルにいたafjkさんが今の会社のCTOっていう縁がありました)。あとUdacityというオンラインスクールでVR Nanodegreeというそこそこ大変なコースをクリアしたり、Unity Certified Engineerの試験通ったりなどしました。
もちろんVR HMDも片っ端から買って、色々と遊びました。PSVRの発売日に有給とって何日も連続で遊び続けたのは懐かしい思い出です。

最初は趣味だったVRですが、2016年頃からは仕事でもVRに関わりたいなと思うようになりました。
手始めにGoogle JapanのVR担当を勝手に名乗り、社内のネットワークを活かして色んな部署の人から「クライアントがVR興味持ってるんだけど……」みたいな話で呼んでもらったり、Google Japan VR Summitみたいなイベントを開いてみたり、DaydreamやTangoのハンズオンセッション開いたり、TGSとかUniteとかいって名刺配ったりとかしました。

それなりに楽しい日々でしたが、それでもVRは「本業」ではありませんでした。
当時Googleの米国本社にはVRの部署があったのですが、日本オフィスには無く、日本にいながらGoogleでVRの仕事をするには「Google JapanでVRチームを立ち上げる」必要がありました。(ちなみにアメリカに行くという選択肢は色んな理由で考えていませんでした)
なんとかVRを本業にしたいと思って、本社の偉い人に何度も掛け合いました。マウンテンビューに行ってVR系の部署のManager(課長的な人)とかDirector(部長的な人)みたいな人に片っ端からアポとって、JapanのVR MarketのポテンシャルとGoogle Japanがやるべきことみたいな資料つくってプレゼンしまくってました。けれど、結局Google JapanにVRチームが作られることはありませんでした。

このころ私が感じていたのは、大きな焦燥感でした。
当時から私はVR(というかXR)の時代が必ず来るとそれはもう強く確信していて、XR以外のことに人生の(特に仕事の)時間を使うのは無駄だと本気で思っていました。スマホなんていう、どうせすぐにXRに置き換えられる前時代的なデバイスの相手をしている暇はねぇんだと思ってました。過激派でした。

それなのに日常の仕事はスマホを対象としたもので、大変なストレスを感じていました。当時の僕にとってのGoogleはVRをやらせてくれない場所でしかありません。それでも、なぜか転職するという考えはあまり頭に浮かばなかったのです。それはGoogleがそれだけ良い会社だったからというのがやはり大きいかなと思います。

そんな折に、とあるきっかけで私は転職を意識することになります。

そして転職活動

2017年末の冬です。
のじゃおじや輝夜月が登場してVTuber業界が一気に盛り上がりはじめたころです。

たまたまTGSで知り合ったVRスタートアップの方から飲みに誘われて、話の流れでその会社に誘われる、ということがありました。お誘い自体はたしか色々あって流れてしまったのですが、それがきっかけで「社外」の可能性を考えるようになりました。
そして考えれば考えるほど、転職以外の選択肢が無いような気がしてきます。Googleでできそうなことは大体やったし、もう自分は1秒でもはやくVR業界に行かないと頭がおかしくなりそうだったんです。
転職しようと決めると、今までの行き詰まっていた気持ちから開放されて、心が晴れ渡っていくのを感じたのを覚えています。解決策を見つけたぞっ、と。

転職活動の準備として私がやったことをいくつか紹介します。
まずはレジュメをガッツリつくりました。いわゆる職務経歴書というやつです。大学から会社までの主だった業績を全部載せて、念のため英語版も作りました。
ちなみにこれはお世話になっていた会社の先輩に添削してもらったりもしました。自分がやってきたことの評価というのは案外自分では控えめになってしまうものなので、職務経歴書を第三者に添削してもらうのはわりと有意義だと思います。
また、面接対策も行いました。具体的にはVRに対する自分の考えを詳細にまとめました。VRで何をしたいのか、VRの未来についてどう考えているのか、現在の業界に対してどう考えているのか etc。
もう何年も前ですが、新卒のときにかなり本気で就活をやった経験があるので、それを思い出しながら準備をすすめました。

転職活動で一番困ったのがVR企業ってどんな会社があるのか全然わからん、というところでした。
当時は2022年の今と比べると格段にXR企業の数が少なくて、さらにどこも立ち上げたばかりという感じで露出が少なく「VR企業を探す」事自体がとても難しかったのです。
ちなみに私がいまXRおしごとナビなんていう活動をしているのも、当時のそういった経験があったからだったりします。
それでとりあえずWantedlyとBizreachとLinkedInに登録して「VR企業に行きたいです」ってプロフィールに書いて様子を見ました。
今思うとこれだとスカウトを送るような採用活動をしている企業からのアプローチしか得られず、求職者としてはもっと幅広くいろんな企業にアプローチすべきだったのですが、当時は採用については全く知識がなかったので完全に受け身状態でした。あまりVRコミュニティに入れてなかったため、知り合いづてで会社を探せなかったというのもあります。

そんな感じでいると、何件かエージェントや企業の方から連絡をいただくことができました。そうして転職活動が本格化してきたのは2018年の3月頃です。ちょうどおめシスがデビューした頃ですね。

転職活動では大手からスタートアップまで4-5社くらいと話をしました。
今思うと、もっとたくさんの会社と会っておけば良かったと思わなくもないです。
これは転職相談を受ける際にもいつもお伝えするのですが、「転職活動中」という立場でしかできない話しやつながりというのもあるので、いま転職を検討されている方は気軽に色んな会社に声をかけてみるのをおすすめします。

そんななかでPsychic VR Labの面談にも行ったわけです。
僕は普段かなり時間を守るタイプなのですが、その日はたまたま時間を間違えて30分ほど遅刻して汗だくでオフィスに駆け込んだのを覚えています。
まずオフィスの入口が蔦だらけの螺旋階段な時点で少し違和感を感じました。オフィスについたら天井から水晶がぶら下がってる部屋に通されて、社長を名乗る人から「人類の超能力を覚醒したいんや」って言われて、これはやばいなと思いました。話の途中で自分を「ゴッドスコーピオン」だと名乗る青年が乱入してきて早口でなにか分からないことを言って去っていきました。もう今すぐ逃げなきゃって思いました。これがPsychic VR Labの第一印象でした。
正直やばい宗教団体にしか見えなかったのですぐに断るつもりだったのですが、エージェントの方からしつこく説得されて、社長ともう一度会うことになりました。
当時はうちの会社も採用フローみたいなものが確立されてなかったので、採用プロセスはとにかく腹落ちするまで何度も社長としゃべる、みたいな感じでした。
印象深いのは、社長と私のふたりでふたりとも0歳の子供を連れてカフェで面談したことです。ふたりで子供にミルクをあげながら、VRやARの未来について話し合いました。
結局のところ私が当時XRでやりたいと思っていたのはコンテンツプラットフォームで、ちゃんと話をしてみるとSTYLYとドンピシャでした。当時はVTuberブームがはじまったばかりでしたが、私としてはVTuber事業をやりたいわけでもなく、VRイベントがやりたいわけでもなく、ゲームがつくりたいわけでもなく、UGCのプラットフォームがやりたいという思いが強かったため、なんだかんだ完全にマッチしてしまい、怪しいスタートアップに入社を決めました。
ちなみに給料はそこそこに下がったので、妻を説得するのは大変でした。転職活動の過程で妻には一度号泣ブチギレされるなどあり、いまでも定期的に笑顔で「いつでもGoogle戻っていいからね」って言われますが、まぁ仲良くやってます。

転職してから。今、幸せ?

転職してしばらくプロダクトマネージャーをして、いまはCHROという名でコーポレート部門の責任者的な仕事をしています。(ここらへんは別のnoteにまとめています)

転職してよかったことをいくつか紹介していきましょう。

まずは何を差し置いても、XR業界に入れたこと。
念願かなって、XRのことだけ考えていれば良い状態になれたわけです。これは本当に転職してよかったポイントです。たぶんあのときに転職せずにいたら一生後悔していたと思います。やらない後悔よりやる後悔って朝倉涼子も言ってましたが、まさにそのとおりです。

もうひとつ良かったのは、会社の理念が思った以上に自分の考えとマッチしていたこと。
詳しく書くと長くなるので割愛しますが、転職当時そこまで深く考えられていなかった部分も含めて「自分の考えと会社の考えがあってる〜〜」と思う機会が最近多いです。これはメタバースブームでXRスタートアップ間での思考の違いが明確になってきたこともあるかなと思います。もしミスマッチしてたらと思うと冷や汗ものですね。
ビジョン面のミスマッチはとても怖いので、採用でも特に注意を払っている点です。

そして一番良かったと思うことは、とにかく色々なことを経験できていることです。
ここだけの話、転職して4年近く、私がやってきた仕事の殆どは私が人生で経験したこと無い仕事でした。特にこの半年位の初体験っぷりはやばい。それを根気と根性とはったりで乗り切ってる感じです。たぶん社内で一番たくさんの種類の業務を経験してきているんじゃないかと思います。スタートアップで足りないことがたくさんある中で片っ端から巻き取っていった結果という感じです。
これは色々経験して成長できた!みたいなのももちろんあるのですが、それ以上に自分の得手不得手が分かったというのが個人的には大きいです。
ほんとに色々なタイプの仕事をする中で、自分がどういう仕事が得意で、逆にどういったときにパフォーマンスが出せないのか、自分をうまく使う方法みたいなのがかなり見えた気がします。30代前半でこの経験をできたのは今後の人生的にかなりプラスだったなぁと思っています。

良いことばかり言う人は信じられないので、転職して良くなかったことも話しましょう。

まず、勤務環境が悪化しました。
まぁこれは天国だったGoogleからの比較ですし、転職前に何度もオフィスに訪れて織り込み済みだったのでいいのです。オフィスの模様替えの仕切りとか、改修工事の仕切りとか、オフィス家具の手配とかも経験しました。ちなみに弊社のオフィスがGoogleより優れている唯一最大の点が、屋上です。屋上でするバーベキューは最高です。そういえば入社初日の仕事は、屋上用に届いたソファーの設置でした(このnoteのカバー画像はその日に撮った写真です)。

他にも、上に書きましたが給料は下がりましたし、物理的な環境以外にも整ってないところが多い会社ですから、そういう不便さはあります。ただそれもこれも織り込み済みだし、そういう意味では想定以上の悪いことはなかったなぁと思います。強いて言えば、社長がたまにトイレの鍵閉め忘れるのとかはほんとやめてほしいです。

むしろ、不便さや整ってなさを伸びしろだと思ってテンション上がる人、誰もやってない仕事を見つけて「よっしゃ」ってなるタイプの人じゃないとスタートアップ向いてない気がします。僕はこれで未経験から気がつけば人事部長になっていたわけで。

そんなわけで、総じて僕は転職してよかったと心から思っています。

今後は、転職者がGoogleと比較してうちを選んでくれるような会社にしていきたいです。正直人事制度とかはバキバキにGoogleからパクってますが、今後はPsychic VR Lab初のものもたくさん生み出していきたいですね。

さて、軽く書くつもりの自分語りが大変長くなってしまいました。
なにか転職活動の参考になれば、あるいはPsychic VR Labの雰囲気が少し伝われば嬉しいです。
Psychic VR Labでは現在絶賛全方位求人中なので、ちょっとでも興味あるよっていう人は気軽に連絡ください!待ってます!

おしまい。

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