2021 年ビール大手各社事業方針 勝手分析

今年も大手四社の事業方針が出揃いましたね。一応毎年書いているので今年もまとめてみます。昨年書いたものはこちらです。

基本的に、各社の今年の方針などを読み比べて、ビアファン目線で「今年はこんな面白そうなことがありそう!」と一年ワクワクして過ごすために書いています。数字やマーケティングの話はあまり踏み込まないしそのあたりは本筋ではないので念の為。

【各社の2021年事業方針】
アサヒビール
https://www.asahibeer.co.jp/news/2021/0106_1.html
キリンビール
https://www.kirin.co.jp/company/news/2021/0106_01.pdf
サッポロビール
https://www.sapporobeer.jp/news_release/0000012357/
サントリービール
https://www.suntory.co.jp/news/article/13819.html

【全体と各社の数字】
先ほど書いたこととはいきなり矛盾しますが、まずは数字の話です。

2020年からアサヒビールが出荷数量ではなく売上額を公開するようになったため、各社横断で数字を見るのが難しくなりました。この状況であまり各社同士を比べても仕方ないので、全体やカテゴリごとの増減の傾向を主に見ていきたいと思います。ここでは明記しない限りは出荷数量の話だと思ってください。

2020年の大手四社の市場全体の数字は、キリンビールとサントリービールがともに前年比 91% としています。アサヒビールは金額ベースの数字を出していて、前年比 89% 程度とのことです。大手四社全体の数字はこれまでも減少基調ではあったものの、それでも下げ幅は例年 2-3% 程度でした。それに比べて2020年のおよそ10%減という数字がいかに悪かったかよくわかります。

各社毎に見ていきましょう。アサヒビールは売上金額ベースで前年比 84.28% と市場の 89% よりも大きく下げました。キリンビールは前年比 95.51% で市場を上回り、サッポロビールがだいたい市場並みの 91.90%、サントリービールが 89.16% という数字でした。こう比べるとキリンビールが一番踏みとどまり、アサヒビールが大きく下げ、他二社がだいたい市場並みという形です。

酒類のカテゴリごとに見ていきます。全体の数字は前述の通り大幅減なのですが、実はカテゴリごとに見ていくと悪くない数字も出ています。アサヒビールのスタイルフリー(発泡酒)が前年比 105.41% 、キリンビールの新ジャンルが 104.59%、サッポロビールの新ジャンルが 118.04%、サントリービールの金麦ブランド合計(新ジャンル)が 100% 程度と、前年維持もしくはかなり伸びています。対してビールが各社とも厳しくて、アサヒスーパードライが 78.00%、キリンビールが 81.31%、サッポロビール 82.24%、サントリービールのプレミアムモルツブランド合計が 73% と、非常に大きく下げました。このあたりは如実に業務向けビール需要の落ち込みと、その代わりの巣ごもり需要でのリーズナブルセグメントの缶消費増加が反映された結果だと考えられます。

2020年はこのような状況だったので、どの社が良かった悪かったというより、もともとビール大幅減のダメージが少ないようなカテゴリ構成になっていた社が結果的に有利となり前述のような数字となった、という捉え方もできるように思えます。各社ともビールの落ち込みが激しく、新ジャンルがなんとかもったという構図であるため、カテゴリ構成比でビールの比率が小さかったキリンビールの数字が相対的に一番良かったし、逆にアサヒビールが大きく下げたのもビールの構成比が一番大きかったことが要因の一つと考えられます。

こういった数字の状況に対する、各社の2021年の取り組みを見ていきます。

【アサヒビール】
アサヒビールの2021年の事業方針は「主力ブランドの価値向上と新カテゴリーの創出で、お酒の楽しみ方を提案し、新市場を創造する」とのことです。
2020年の方針では明確にスーパードライに力を入れる形になっていたけれど、残念ながらそれが裏目に出たことは否めません。それを受けてか2021年はビールと新ジャンル、発泡酒といったそれぞれのカテゴリや、業務向けと家庭向けなど、比較的まんべんなく取り上げられている印象です。面白いと思ったのは、家庭向けビールサーバーであったり、業務向けではスーパードライ版タップスターのタップエリート制度など、面で広くおさえる取り組みではなく個別の消費者接点をより深く掘り下げるような取り組みが出てきたところです。アサヒビールはこれまでこういったあたりの話はそれほど出ていなかった印象なので、どういう形を目指すのか興味深いです。また、あとでも取り上げますが、ノンアルコールの潜在マーケットの話にかなり紙面を割いていることもとても目を引きます。このあたりはまさに、数字ではなくて新たな価値を向いた話なので、どのような取り組みを行っていくのか注目したいです。
ひとつ気になるのは、消費者の飲み方が多様になっていくという認識に対して、ブランドの絞り込み、注力という方向性の整合性です。2020年も「コト消費」を挙げつつもスーパードライ一本勝負のような形になっていて気になっていたのですが、今年もこのあたりのちぐはぐさはすこしひっかかりました。

【キリンビール】
キリンビールの2021年の取り組みは「強固なブランド体系の構築」と「課題解決による新たな成長エンジン育成」の二本柱で整理されています。
キリンビールは2018年に新ジャンルの出荷量がビールを抜いて以来、三年連続して新ジャンルが伸長を続けているのですが、2021年は少し凹むという予測のようです。その中でも「本麒麟」は前年比110%を目指すとのことなので、「のどごし生」の落ち込みが大きくなるということなのでしょう。アサヒビールもそうですが、新ジャンルはコクや味わいを目指すブランドと、爽快さを目指すブランドとが分かれてきているので、新ジャンル内で複数のブランドを維持しつつ棲み分けていく方向のようです。特にキリンビールは、2020年のビール全体の落ち込みの影響でビールと新ジャンルの比率が 1:1.75 程度にまで拡大し、新ジャンルが売上の大きな部分を支える構成になってきているので、ここでどのようなバランスを目指していくのかは注目したいです。

【サッポロビール】
サッポロビールは事業方針の冒頭で『新しい「お酒」の魅力をカイタク』と『お客様の課題と社会課題を解決』を挙げています。
サッポロビールは2020年はブランドを絞り込むのではなく、多様なブランドを持つことを強みとして打ち出していました。2021年の方針では一転して、ビールについてはヱビスに注力するようです。サッポロビールの方針で興味を惹かれるのは、オンライン、オフラインともにイベントの実施について触れている点です。2020年はなかなか難しい状況で、サッポロビールもかなりコンサバにイベント系は軒並み中止していた印象でしたが、今年は
オンラインイベントに加えてニューノーマル対応のオフラインイベントの路も模索するようです。この動きは楽しみにしたいです。

【サントリービール】
サントリービールは相変わらずの飄々としたリリースですね。2021年の取り組み予定については教えてくれるんですが、それをなぜ行うか、どういうマーケット理解でいるか、といったあたりの話はほとんど出てきません。特に、飲食業界に多大な影響を引き続き与えるであろう、新型コロナウィルスの話が一切出てこないのが象徴的かなと思います。
2021年の取り組みも、神泡、四季の金麦など、基本的に2020年を踏襲する感じのようです。新しいものは『料飲店における「一杯」がより大切になる中』ということで業務向け取り組みをなんから行う様子なのと、金麦のエクステンションとして「飲みごたえと心地良い後味」を謳う「金麦 ザ・ラガー」が挙げられています。ん、でもコンセプトをみると「金麦 ゴールド・ラガー」の後継かな?特に新しくはないのかな。
ちなみに2020年の事業方針では金麦がプレミアム・モルツよりも先に挙げられていて、とうとう主役交代かと思ったものですが、2021年はプレミアム・モルツが先頭に返り咲いていました。

【各社方針の共通項】
ここまでの各社の方向性を眺めてみると、大方針のレベルで次のような共通項が見られます。
ブランド強化(アサヒビール、キリンビール)
新規ニーズの掘り起こし(アサヒビール、サッポロビール)
課題解決(キリンビール、サッポロビール)
このあたりを少し掘り下げたいと思います。

【ブランド強化】
ブランド強化はアサヒビール(主力ブランドの価値向上)とキリンビール(強固なブランド体系の構築)が挙げています。
ここに注力する理由は二社ともに酒税の一本化を挙げています。これまでは酒類カテゴリーごとにセグメントが分かれての競争でしたが、今後はカテゴリーの差異がなくなり一つのマーケットとして一本化されます。その過程で、全体として残るブランドの数がある程度整理されていくであろうという見通しなのかと推察します。
アサヒビールはビール、新ジャンルといった現行制度によるカテゴリー分けのもとでそれぞれの中心になるブランドをそれぞれ1つないし2つ注力する方針のようです。一方のキリンビールはポートフォリオの整理の性格が強そうです。特に、今後価格競争力が削られることになる新ジャンルが現在の売上の中心になっているので、このあたりは慎重に強みや位置づけを整理していく必要があるはずです。
もちろん各社とも酒税一本化に向けた取り組みは数年来継続しており、これらが全く新しい取り組みというわけではありません。しかし一本化の期限が着々と近づいているので、ここの取り組みはより重要性を増していると考えられます。

【新規ニーズの掘り起こし】
新規ニーズの掘り起こしはアサヒビール(新カテゴリーの創出)とサッポロビール(新しい「お酒」の魅力をカイタク)が挙げています。
アサヒビールはのこの一文がそれにあたりそうです。

アサヒビールではこれまで、アルコールが好きで飲める人を中心とした商品を提案してきました。今後はアルコールが飲めない人やあえて飲まない人などの潜在ニーズを掘り起こし新たな市場を創出していきます。

そしてスマートドリンキングの項目でかなり分量を割いて説明しています。ノンアルコールのバーが現れたり、アルコール文化の流れを汲みつつノンアルコールというニーズは確実にあるし増大しているのは間違いないので、アサヒビールがこれを明言してこれだけ力を入れて書いていることは興味深いです。今のところ挙げられた具体的な取り組みが、アルコール度数1%未満のいわゆる「ノンアルコールビール」だというのはまだもっと踏み込む余地はあると思いますが、こういったアルコールに限らない流れを作っていく動きは注目していきたいです。また、他各社もそうですが、飲料会社(アサヒビールの場合はアサヒ飲料)との棲み分け、シナジーなども気になるところです。
サッポロビールは「カイタク」という特徴的な表記をしているので、これを文中から探すと「おいしさや機能、利便性を追求し、ノンアルコール市場をカイタク」が相当することがわかります。こちらもノンアルコール(アルコールフリー)ですね。しかし、ノンアルコール(アルコールフリー)市場自体はこれまでもあったわけで、それだけだと取り立てて新規性があるわけでもありません。事業方針では具体的施策が書かれていませんが、なにか新しくて面白い取り組みが出てくると期待したいです。

【課題解決】
課題解決はキリンビール(課題解決による新たな成長エンジン育成)とサッポロビール(お客様の課題と社会課題を解決)が挙げています。
両社とも消費者が抱える「課題」という表現をしているんだけど、その中身は、在宅時間を充実させたい、大切なものを厳選したい、気軽さ手軽さを追求したい、みたいな話で、それは「ニーズ」のようなものに思えるけど「課題」っていうのかしら。このあたりは言葉の捉え方と使い方の話なので正解とか不正解ではないと思いますが、2つの会社で同じような言葉の使い方をしているので、これは界隈ではこういうものなんですかね。いずれにしても、両社とも新型コロナウィルス感染症による社会や消費行動の変化を念頭に置いた取り組みのように読めるので、2021年の取り組みの中でも特に重要なものとなるのではないかと思います。
また両社とも社会課題の解決も挙げていて、キリンビールは「地域社会コミュニティ」「環境」の話、サッポロビールはサスティナビリティの話を取り上げています。これは両社とも2020年から引き続きの取り組みですね。ただ、キリンビールは2020年は「CSV経営の推進」を事業方針の三本柱の一つに挙げていたのが2021年は扱いがかなり小さくなっていますし、サッポロビールも2020年では掲げていたグループサステナビリティ方針「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」についての言及が2021年はありませんでした。マーケット状況を鑑みるとなかなか難しい部分もあるとは推察しますが、社会課題についての取り組みは単年度でどうこういうものではないはずなので、ぜひとも継続してもらえたらなと思います。サスティナビリティについての取り組みがサステインしなかった、なんてなるとね。
アサヒビールは明確に「社会課題」を大方針では挙げていないけれど、個々の施策ではスマートドリンキングやCO2排出量削減などを挙げていて、こういったところは同じく社会課題の解決として整理できるところかなと思います。

ここからはトピックごとに各社横断で見ていきます。

【新型コロナウィルス感染症】
このトピックは 2021 年もまだまだ避けて通れないでしょう。ただ先程も書いたとおり、驚くべきことにサントリービールだけはここにまったく触れていないので、残り三社の話となります。
各社が挙げている新型コロナウィルス感染症の影響は、業務向けセグメントの縮小、経済的打撃によるリーズナブル志向、飲用機会の減少、厳選によるプレミアム志向、健康志向の高まり、といったあたりに整理できるかと思います。
アサヒビールは事業方針全体を通じてリーズナブル志向にはあまり触れていないのもあり、主に健康志向としてスマートドリンキング、機能性商品の話になるようです。
キリンビールは業務向けで回転が悪い状況でも高品質なビールを提供できる TAPPY、健康志向とプレミアム志向の交点としての一番搾り糖質ゼロ、在宅飲みプレミアム志向に向けたクラフトビールなどが挙がっています。
サッポロビールは健康意識の高まりからノンアルコール、そしてニューノーマルの中でイベント実施を模索するといった話が挙げられていました。

【家庭向けと業務向け、プレミアムとリーズナブル】
そういった新型コロナウィルス感染症の影響とも関連するのですが、各社とも2020年は業務向けの落ち込みを家庭向けで補ったという構図があり、2021年も引き続きこれまでとは少し様子の違った力の入れ方を強いられることになりそうです。また、各社が書き方は違うものの言及している通り、コロナ禍による経済的打撃からの節約トレンドと、逆に飲用機会をより大切したいという充実ニーズとがより明確化しているようです。
このあたりを少し整理してみます。

【業務向けプレミアム】
業務向けについては、サントリービールが「料飲店における「一杯」がより大切になる」と書いているよう、各社とも質を重視した取り組みを挙げています。アサヒビールの「タップエリート」、キリンビールの「TAPPY」、サントリービールの「神泡」などです。

【業務向けリーズナブル】
業務向けはやはり機会の減少を見込んでか付加価値をより高める方向を向いているようで、各社あまり業務向けリーズナブルセグメントへの言及はありませんでした。唯一サッポロビールが言及していて、RTD や RTS を活用して家庭向けリーズナブルセグメントと連動した「おうち居酒屋提案」という取り組みを行うようです。

【家庭向けプレミアム】
ここはやはり盛り上がるセグメントになりそうで、各社とも様々な施策を挙げていました。
アサヒビールは「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」、ピルスナーウルケルの缶商品。そして非常に気になるホームサーバーの投入です。キリンビールはクラフトビール、Home Tap の名前も挙がっていました。サッポロビールはヱビスのエクステンションをいくつか投入するようですが、面白いのがオンラインフェスを明記している点です。サントリービールはやはりプレミアムモルツ。

【家庭向けリーズナブル】
ここは各社とも新ジャンルや RTD / RTS の缶商品を挙げています。面白いのは先程も書いたサッポロビールの「おうち居酒屋提案」の取り組みです。RTD / RTS は個人的にはあまり飲まないカテゴリではあるのですが、この取り組みは面白そうだなと思うのでちょっと注目しておきたいと思います。
アサヒビールだけが家庭向けリーズナブルにあたるような取り組みについては特に言及がありませんでした。とはいえ新ジャンルの缶製品は売っていくはずなので、何もしないということではないと思いますが、少なくとも事業方針では明言されていませんでした。

【イベント】
さすがにこの状況ではなかなかイベントの開催まで見通すことは難しいとは思うのですが、サッポロビールが家飲みに向けたオンラインライブイベントやニューノーマル対応のリアルイベントについて言及していて、この動きはとても期待したいと思います。
アサヒビールもオンラインイベントには言及しているのですが、これは東京オリンピック・パラリンピックのオフィシャルスポンサー関連の項目で、そもそも大会自体の開催がどうなるか疑問視する声もある中なので、期待しつつもどうなるのかちょっと気になるところです。

【ノンアルコール(アルコールフリー)】
ノンアルコールについてはこれまでも各社が継続的に取り組んできていて、例年の事業方針で機能性に振れたり味わいに振れたりしながら続いてきました。それが2021年はちょっと大きく動きそうです。「新規ニーズの掘り起こし」の項でも触れたとおり、アサヒビールがスマートドリンキングとしてノンアルコールに大きく注力するようですし、サッポロビールも大方針で挙げた「新しい「お酒」の魅力をカイタク」がノンアルコールの取り組みのようです。
アルコールフリーは、例えば仕事中や車の運転時など、酒類とは全く異なる飲用機会をカバーできるジャンルとして、ぼくもこれまでとても期待してきました。アルコールフリービールテイスト飲料の味もどんどんと良くなってきていると感じています。これが2021年はさらに、味や機能性というこれまでの枠組みを超えて大きく進展したらいいなと期待しています。

【クラフトビール】
例年、クラフトビールを大きく取り上げるキリンビール。2021年も各社比較では依然としてキリンビールが一番紙面を割いてクラフトビールについて言及していますが、その分量は2020年と比べると劇的に減ってしまいました。それでも、事業方針の二本柱のうちのひとつ「課題解決による新たな成長エンジン育成」として高付加価値セグメントを支えるものとして言及されているので、2021年も力を入れていくのかなと思います。ただ目を引くのが、取り組みとして挙げられているのが Home Tap だという点です。これまではここには SVB やブルックリン、もしくは Tap Marche の名前が挙げられたであろうポジションです。SVB、ブルックリンの名前が挙がらなかったのは非常に寂しいですね。また、業務向けの Tap Marche ではなく、家庭向けの Home Tap です。それが理解のできるマーケット状況ではあるものの、Tap Marche と Home Tap は似ているようで性質やインパクトがまったく異なります。Tap Marche はプラットフォームとして他社クラフトビールも扱っているし、それが全国に20,000店舗近く展開(予定)することの意味は非常に大きいものとなるはずでした。それが2021年は殆ど取り上げられていないのは残念です。2020年の秋から展開を始めた TAPPY (*) が 、仕組みほぼ Tap Marche という感じなので、Tap Marche から TAPPY に軸足が移っていってしまうのか、TAPPY という形でプラットフォームがさらに拡大していくのか、このあたりの展開の方向が非常に気になるところです。
(* TAPPY : ビールとしては一番搾りのみを扱う、3L PET ボトルを使う業務用サーバー)

2020年はクラフトビールへの言及がなかったサッポロビールは、2021年も残念ながら言及なしでした。SORACHI 1984 の名前は挙がっていますが、クラフトのセグメントと言うよりは、サッポロラガー、サッポロクラシックとともにメインストリームのほうに並ぶ形です。

サントリービールは2020年の TOKYO CRAFT の話はもう出てきませんでした。そもそも東京での大規模イベントをほのめかしつつの、かなり微妙なラインでの言及でしたしね。

アサヒビールは例年通りクラフトへの言及はなしです。

【ホップ】
残念なことに、2021年は各社とも、ホップの取り組みについての明確な言及はありませんでした。
サッポロビールが事業方針四本柱の四本目「サステナビリティへの取り組み」で『独自の「育種」技術に基づく「原料への取り組み」』と取り上げていることと、「SORACHI 1984」の名前が挙がっているという二点が、かろうじてホップに関わりそうなものですかね。
キリンビールはこれまで CSV のカテゴリでホップの取り組みを取り上げてきたのですが、2021年は一切の言及なしです。残念。とはいえ CSV は単年度の業績でどうこうするのではない長期的な取り組みとの理解なので、ここに書かれていないだけで取り組みは継続されていくものと信じています。

といった感じで、なかなか先の見えない状況ですが、2021 年もビールを楽しんでいきましょう。

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