オタク借金街道⑩ 〜1年前前半〜

1年前
4月
ガルバの仕事は新鮮で意外と楽しかった。
入って3ヶ月だったが、まだ固定のお客さんはいなかった。
常に誰かのヘルプか、キャッチでゲットしたお客さんの相手をする日々だった。
通りゆく人を捕まえることは店で一番上手かった。店長には褒められていたが、ある日
「お前、お客さんいないんだし、そっち上手いんだからそっち専門でやれば?」
と言われてしまった。
私にはキャストとしての魅力はないのだ。
だんだんと辛くなってきた。
引っ越して3年、田舎から出てきた芋オタクにしてはコミュ力がある方だと勝手に思っていた。
こうやってお客さんも呼べず魅力もなければ、正直店にとっては邪魔なキャストなのだ。
色々と自信を失ってしまった。
5月の原稿があったため、「◯日、休みもしくは0時退勤でもいいですか?」と聞くと罰金だった。
ある日、仮眠して寝過ごして10分遅刻した日も罰金だった。
夜の仕事の罰金制度に慣れておらず、原稿もやりたいこともあって週に1〜2度の勤務に変更してしまった。
出勤希望のキャストが多い日は22時出勤だったり、お客さんが来ないとそこから2時間で帰らされることもある。
そのためにフルメイクでいい服を着てタバコ臭くなりに行くことは嫌になってきてしまった。

5月
この月も新刊の印刷代を現金で支払った。
厳しかったが、毎月のカード会社の請求とA社&M社への返済がないだけで普通に生活をすることができた。
月末、フォロワーと出かけた際に私が現金で支払いをしていると
「えっ、◯◯さん現金とか珍しくね!?」
と言われた。
それほど私にはカード支払いのイメージが付いていた。
ガルバの方は固定客にもならない人とLINEを続けることが苦痛だった。
その時間をソシャゲに使いたかった。

6月
ガルバで私を指名してくれるお客さんが現れた。
「指名を取れた日は日払い5000円だよ」と言われて5000円貰えた。
また、先月分の給与計算ミスもあり、更に5000円貰えた。
帰り、その1万円で課金するためのカードを買った。

これが最後の課金になった。

多額の住民税と国民健康保険料の振り込み用紙が届いた。
去年の分も支払えていない。

7月
月末、帰宅すると玄関の電気が点かなかった。
室内の冷蔵庫もとても静かで、予約したはずのエアコンも入っていなかった。
カードが止まったため、電気代の支払いがされておらず電気が止められたのだ。
家のインターネット環境だけはコンビニで支払っていたため生きていたのだが、電源が入っていないため使えなかった。
ここで、スマホも使えなくなってしまうのでは、と焦った。
慌てて電気会社へ電話をした。
電気代を振り込みに行く際に、ポストを確認し、スマホの請求書を見つけた。
この2つを振り込み、電気はすぐに復活した。


1年前後半に続く