オタク借金街道② 〜5年前前半〜

5年前
4月
いつも通り幼馴染とファミレスへ行ったときに「このゲーム知ってる?」と勧められたゲームがあった。
ソシャゲをここで初めてプレイすることになるのだ。
ガラケーのゲームで「課金」が問題になったことを知っている世代なので、「ソシャゲ=課金=悪」という式が自分の頭の中にはあった。
そのため、なかなかお金を出してまでするようなゲームではないと認識していたのだ。
「まあ、課金は絶対にしないし、無料で遊べる範囲で遊ぶとするか」
友達が盛り上がっている中、ひとりだけ拒否するわけにもいかず、帰宅後にゆるりとゲームを始めてしまった。
勧められたゲームはブラウザゲームとスマホアプリゲームだった。

5月
こんなコスパ最強の遊びをしていた私だが、年に数回は地元を出て遊ぶこともあった。
大学の友人(これまたオタク)と、地方都市で会う約束をしたのだ。
今だと考えられないが、当時は貯金というお金があったので、自家用車で地方都市へ行き、友人と会うためにホテルを1泊分予約した。
高速代、ガソリン代、ホテル代、向こうでの交際費を考えると、友人1人と会うために3〜4万のお金を使っていた。
でも、こんなことも1年に数回なので都心に住む人がリフレッシュで一泊二日の旅行をするようなものだろうと考えて欲しい。
そしてこの友人に勧められた「twitter」というものが、私の借金の始まりになるのだった。

「そのゲーム始めたんだ? てかtwitterはやっていないの?」
いろんなSNSを使っていたけれど、続いたものもなく、twitterもそのひとつだった。
「絵、上手いんだし、twitterにそのゲームの絵とか投稿してみたら?」
何の特技もなかった私にとって、いきなり絵が褒められるなんて思いもしなかった。
時々pixivに描いた絵を載せることはあったのだが、無名の描いた一次創作絵なんて注目もされず、ただの倉庫と化していた。
友人に流されるように作ったtwitterのアカウントに、最初は一緒に行ったカフェの画像を載せた。
「もっと、趣味の合う人フォローしていったら楽しいよ」
言われるがままに、気になっていたカップリングのことを呟いている人をフォローした。
数名からフォローバックを頂いた。

6月
幼馴染とファミレスへ行かない日は、母とまったりすること以外、何もすることがない。
今、思い返せば母にとってはこのまったり時間がとても心地よかったのだろう。申し訳ないことをした。
ある日の夕食後、さっさと自室に戻り、大昔に買ったペンタブを引っ張り出してきて、絵を描いてみた。
久しぶりの二次創作であり、UPして誰かに叩かれるのではないか、という不安も多かったがtwitterにUPした途端にたくさんの反応があった。
他に趣味もなかったので、暇な日は何枚もUPした。ものすごい数のフォロワーになってしまった。
たくさんの人と友達になれた気がした。

7月
まったりと2つのゲームを並行して続けていた。
だが、スマホゲームの方に、気になっていた子のガチャが来てしまった。
これが課金への扉か、そう思ったが、意外とその気になる子は最初の10連で出てきてくれた。
Twitterを見ると爆死爆死爆死というツイートが並ぶ。
「無課金だけど出ちゃった⭐︎」なんて言えばせっかくできたお友達が消えてしまうのではないか。
そう思ってすっと「無事に入手できました」と画像を1枚だけ上げた。
たくさんの「おめでとうございます」というリプライが付いた。リア友とはまた違う友情を感じていた。

8月
だんだんとそのゲームとtwitterの生活が中心となってきた。
母にも「ごはんを食べ終わったらすぐスマホを触る」と何度も怒られた。ブラウザゲームをしていること、絵を描いていることも気付かれていたのか「何をコソコソ部屋でやっているの」と怪しまれた。
どうせすぐ飽きると自分では思っていたので、正直に言えず「好きにさせて!」と喧嘩をした。
この頃、twitterでとても仲良くしてくれる人が数名できた。ほぼ、東京都に住んでいる人たちだった。


5年前後半に続く