オタク借金街道⑤ 〜4年前後半〜

9月〜11月
この辺りから仕事は徐々にもらえるようになってきた。
分割しなくても返済可能なくらいにお給料はもらえた。
ただ、分割すると楽ということを覚えてしまった私は、毎度、分割支払いにしていた。

服も新品を買わず、新古品や中古品を買うことを学んだ。
デパートに入っているようなメーカーの服を着ることがステータスだった。
少しずつだが節約を学んでいった。
なぜここまで服に拘ったかというと、私にバイトを勧めてきたフォロワーがかなり容姿を気にするタイプだった。
「そのカバン好きだよね」
この一言だけでも私には棘を感じた。
出社するときは毎回違う服と違う鞄で通勤した。月に1度、美容院にマツエクにエステと容姿にも気遣うことになった。
結局、服の値段は抑えられても、他で使うこととなってしまった。

フォロワーと会うときは容姿には気遣い、年下の学生フォロワーと会うときは少し多めに食事代を出し、夕食はtwitter映えするところで食事をする。
推しキャラのガチャがきたら惜しまず課金をし、分割して浮いた現金でフォロワーの同人誌を全部購入する。
不思議とこんな生活でも生きていけた。

仕事で出張へ行くこともあった。
海外出張もあり、飛行機代や現地ホテル代は自分で払い、それを分割支払いしていた。
24回払いなので飛行機代が24万円だったら、会社は現金で24万円しっかり支払ってくれる。
毎月の分割支払いの返済に当てると、余った分は現金しか使えない即売会やゲーセンで使う。
今思えば、これもただの現金化だ。

また、この海外出張がオタクアカウントでは映えた。
フォロワーには「海外で仕事されているなんてすごい」と言われることも多かった。
欲求は満たされていた。

12月〜2月
忘年会のときに、同じアルバイトのデザイナーさんに言われたひとことがとても怖かった
「もしかしたら、この会社の仕事がなくなるかもしれないよ」
「今のうちに新しいところを探した方がいいかもしれない」
詳しいことは書けないが、クライアントが倒産するかもしれないとのことだった。
ここでお金の危機を感じた私は早速年始に一番都合が良く、融通が効きそうなコンビニの面接を受けた。
学生時代にコンビニバイト一本だったこともあり、即採用された。
もちろんフォロワーにこんなことは言えなかった。
オーナーさんもとても良い人で、会社から貰っている仕事を優先していいとのこと。同時に原稿の時期は何日も休みを貰った。毎月10万ほどはコンビニで稼いだ。

3月
引越しから1年経過した。
1年で全身、そして持ち物が劇的に変化した。特に何もしていないのに、体重も10kg近く落ちた。
あるとき大家さんから突然の電話があった
「家賃1ヶ月分払えていないですよ」という内容だった。
どうやら一番最初の契約の際に2ヶ月分振り込んだ家賃の計算がずれていて、1ヶ月分足りないとのこと。
また、本来だったら先払いのところ、私だけ後払いの状態になっていたらしい。
なので、契約から1年を機にきちんと前払いにしてほしいとのことだった。
急遽家賃を2ヶ月分追加で払うことになった。
そんなお金はなかった。

12月に会社の人から忠告を受けた通り、仕事は徐々に減っており、出張費による現金化もできていなかった。
悩んだ末、アルバイトでも借りられると書かれた消費者金融(A社)の広告を思い出した。勤務先をコンビニにしたところ審査に通った。
わたしはここで30万円の現金を借りることになった。
月々の支払いと家賃2ヶ月分が丁度そのくらいだった。

そんなとき、あるフォロワーから勧められた新しいソシャゲがあった。
私はその沼に引きずり込まれることになった。
そしてこのフォロワーに勧められたそのソシャゲが、私の借金の大元になるのだった。


3年前に続く