スノームーンの夜も明ける

 夜は隠してくれる。このどうしようもない世界から私の存在を消し去ってくれる。愛していた人にもう二度と会えないと気づく手遅れさえも、冬の夜風は攫ってくれた。寒いのは嫌いだけど、夏の朝のあざとさよりはマシかもしれない。許されているからこそ認められない青さが、まだ体内にあると知ってほっとした。

 誰かにとっての大切より何倍も大事で数百倍くだらない正義や重要が私の世界にもある。理解なんてしなくていいから、攻撃だけはしないでね。探さないでください。が逆効果なことくらい流石に知っている。だからどうかただ見守っていてください。

 私に吉が訪れるなら、あなたには福が来るといい。一緒にずっと待っていよう。愛を誓わない誓いを盾に。

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